雑談掲示板

第十一回SS大会 お題「無」 結果発表
日時: 2014/02/27 20:57
名前: 死(元猫 ◆GaDW7qeIec
参照: http://www.kakiko.info/bbs/index.cgi?mode=view&no=16247

第十一回SS大会 お題「無」
>>523に第十一回大会結果紹介

始めましての方は、初めまして! お久し振りの方達はお久しぶり♪
何番煎じだよとか主が一番分っているので言わないで(汗
余りに批判が強ければ、削除依頼しますので!

題名の通りSSを掲載しあう感じです。
一大会毎にお題を主(猫)が決めますので皆様は御題にそったSSを投稿して下さい♪
基本的に文字数制限などはなしで小説の投稿の期間は、お題発表から大体一ヶ月とさせて貰います♪
そして、それからニ週間位投票期間を設けたいと思います。
なお、SSには夫々、題名を付けて下さい。題名は、他の人のと被らないように注意ください。
 

投票について変更させて貰います。
気に入った作品を三つ選んで題名でも作者名でも良いので書いて下さい♪
それだけでOKです^^

では、沢山の作品待ってます!
宜しくお願いします。

意味がわからないという方は、私にお聞き願います♪
尚、主も時々、投稿すると思います。
最後に、他者の評価に、波を立てたりしないように!



~今迄の質問に対する答え~

・文字数は特に決まっていません。 
三百文字とかの短い文章でも物語の体をなしていればOKです。 
また、二万とか三万位とかの長さの文章でもOKですよ^^
・評価のときは、自分の小説には原則投票しないで下さい。
・一大会で一人がエントリーできるのは一作品だけです。書き直しとか物語を完全に書き直すとかはOKですよ?

――――連絡欄――――

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_____報告
第四回大会より投票の仕方を変えました。改めて宜しくお願いします。

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Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.135 )
日時: 2012/02/16 00:06
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 初投稿


「Get up!  You are a criminal!?」
「ん? 何?」
目やにが付いているせいか目が開けづらい。目を擦りながら目を開いた
「You killed Chairman Azuma!?」
俺の周りは三人の人間、黒服の日本人とチャライ格好をした青年、僕に向かって英語をしゃべっているアメリカ人が立っていた
「東さん? となりだよ」
隣を見ると東さんは座ってはいなかった…… まさかあのジジイ僕を殺し屋の身代りに逃げたか!! 
一瞬僕が寝ているところをゆっくりと跨いで上空から飛び降りる東さんを想像したが、さっきアメリカ人が言った言葉がとても気になった。

You killed Chairman Azuma!?

お前が
東会長を
殺した?

僕の脳裏ににやけたジジイの顔が浮かんだ。
「東さんが殺されたんですか?」
嘘だ。嘘と言ってくれ
「そうだよ!!  初めて殺人現場にいて俺は動転している!!」
「こっちだ」
青年が暴れそうになっているのをアメリカ人が羽交い絞めしている様子を見ながら虚ろに黒服が指した方向を見た。
東さんは誰かが引いたブルーシートの上に載っていた。顔は隠されていたためどんな表情かは全く分からなかった。すこし呆然となった……久しぶりに楽しい話ができると思っていたのに……どうして……
そしてなんで僕が容疑者?
東さんの死んだときの顔はどうなっているかが気になった。もし笑っていたのなら良かったと思えるだろう。
 東さんの遺体へ動こうとしたとき
「青年……そこを動くなよ。」
黒服の男が僕に対し命令をした。周りの乗客はこっちを困った顔で見たり指で指したりと恥ずかしい……ふと僕の頭の中で疑問が浮かんだ
「なんで僕なんですか! もう犯人は逃げているでしょ!」
腕組をして何故僕が容疑者というか犯人扱いになっていることを聞いてみた
「残念ながらまだ飛行機は飛んでいる…… 空という【完全密室】だよ……」
「おめぇは、通路側に座っていた。そしておめぇが善じゃない限り、犯人は寝ているおめぇを横切って毒物を飲ませることはできない!」
「Say the truth!」(本当のことをしゃべれ!)
まず……この状況を整理しよう。とても暗い気持から強制回復すると状況を整理した
1、東さんが殺されている
2、まだ飛行機は飛んでいる
3、2により犯人は逃げていない 1より東さんは窓側だから僕を跨がなければならない
4、3より、不運なことに僕が犯人。
うん、こうなるな。やはり【赤毛】の名は恐ろしい…… というか呪われてるのか?
「毒物ってなんですか? というか毒殺ってわかったんですか?」
黒服の男がいたって簡単に一言でみんながわかる言葉をしゃべった
「アーモンド臭。甘酸っぱい香りがした」
なるほど。つまりシアン化カリウムを飲まされての死因か……シアン化カリウムつまり青酸カリウム……ミステリーでよく使われる毒物
 青カリ……この前なんかあったな。ちょっとだけ苦笑いしながら三人に聞いた
「あのう。さっきのカプセルの話聞いていましたか?」
僕は、三人は聞いていないというのを待っているのだが……
「もちろん」
「ああ」
「yes」(はい)
周りの目が僕を犯人だと確信したらしい……
「わかりました。わかりました では僕の無実がかなうまで静かに待機しています」
僕は東さんの座席を調べることにした。あぁあ、親友よ僕は【赤毛】と言われるのは必須のようだ。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.136 )
日時: 2012/02/16 00:06
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 初投稿

 まず、僕が寝ていた時に話していた子分が犯人の可能性が高い…… それかどこかの組織の暗殺者か…… まず東さんを見ますか……
僕がブルーシートに手をかけた途端、さっきとは別のアメリカ人に手を抑えられた。オールバックの金髪に賢そうな青い眼、会社に行くとき用のスーツを着ている。

「Stop destruction of evidence.」(証拠隠滅はやめろ)

金髪で女性にもてそうな男だと再認識させられた。アメリカ人の手を無理やり放すと小声で言い放った

「I am looking for the dying message!」(僕はダイイングメッセージを探しているんだ!)

アメリカ人はすこし驚いている。たぶん英語をしゃべることが出来ないと思ったんだろう。そんなやわな頭はしていない。僕の運が悪いせいで――――だったからな!

「I need to be called Gil. It turns out that there is a dying message why?」(私をギルと言ってくれ。何故ダイイングメッセージがあると分かる?)
いきなり名乗り出してきたな。ギル…… いい名前なのかわからないが武士道に乗っ取ろう

「My nickname is red hair. There is no strength to the extent that potassium cyan ate dies instantly. It is troubled at the maximum for 15 minutes. Therefore, there is a message!」(僕のニックネームは赤毛。 青酸カリウムは即死するほどの強さは無い。最大でも15分は苦しむ。だからメッセージがある!)

ブルーシートを少し少し捲ると東さんがそこにいた。問題の東さんの顔は別に苦痛に見てはおらず逆に【重要任務を成し遂げた時のような顔をしていた】。僕は良い夢でも見て苦しむこともなく死に行ったと解釈した。
オールバックの髪形を整えるとギルはブルーシートをめくりシャツを探り始めた。僕もそれに連れられて一緒にズボンのポケットから靴の中まで調べた。
「It takes and is ! The notebook was found!」(おい! 手帳を見つけたぞ!)

ギルの手には黒く分厚い手帳が乗っていた。それを素早く奪い手帳の中をのぞくと――――

「永田町の闇」 山沢議員は21年前から闇献……

はい、パンドラの箱!!  誰も見たらいけない!! 手帳をすぐ閉じて地面に置いた。
「It did what?」(どうした?)
ギルが死体をあさる手を止めて手帳に手を伸ばした。見る前に忠告しておこう
「A title is "the darkness of Nagatacho" although it was visible for a moment.」(一瞬見えたのだが、題名は「永田町の闇」。)

二人の間に沈黙が流れる。どちらも冷や汗をかいている。ギルがこの沈黙を破った
「It is better not to touch……」(触らない方がいいな……)

手帳をゆっくり東さんのポケットに戻し手を合わせた。

「ん。じゃ次は座席を見に行こうか」
やはり、日本語はまだ残っているらしい。ギルはまだ日本語は慣れてないかもしれない……僕がもう一度英語でしゃべろうとするとギルはそれを止めた
「ハハハ。日本にはなんども行っているから大丈夫」
腕を組んで大笑いし始めた。まるで二四東さんのように……
地球が破滅するまで笑っているのでだんだん腹が立ってきた。
「사람에게는 틀림이 있다. 시끄러운 남자이구나」(人には間違いがある。うるさい男だな)
相手の気分を悪くしないように韓国語で喋った。僕は人の悪口をその人の母国語以外でしゃべることがたまにある。そうすれば、相手も気が付かないしストレス発散になってみんな幸せだ。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.137 )
日時: 2012/02/16 00:07
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 初投稿

「うるさいだと? それは悪かった。私に気づかれないように喋ったみたいだが、実は私も韓国語がわかるのだよ」
ギルは気分が悪くなる笑いを止めると謝ってきた。静かに日本語をしゃべった。僕は悪口を見抜かれて後悔よりも驚愕していた。悪口を見抜かれたのはこれが初めてだ
「私は、英語と日本語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語などいろんな言語を知っていて普通に使える。」
「君はいったい何のかな…… 普通の会社員じゃないだろ」
「会社員とはだれも言っていない。そうだね……お前ぐらい面白い人間はいないから私のニックネームを教えてやろう。
私のニックネームは

【天災と天才】

と言っていいだろう。 もちろんギルは偽名だ。私の本名は【シュリ】。」
静かに地球滅亡を待っている男という人間と認識した。ギル……いやシュリはいったいどんな仕事についているのだろうか……とても気になる。
 シュリは静かに東さんの口からアーモンド臭をもう一度確かめると、座席の方へ向かった。さっきまで僕のことを見ていた乗客はそれぞれ好きなことをして空港までの暇つぶしをしていた。

「OK…… La causa di forza maggiore disse di essere una mossa di genios……」(さぁ…… 天才と言われた天災が動きますよ……)

シュリはイタリア語でつぶやくと座席へ向かった。だれにもわからないようにイタリア語で喋っただろうけど残念ながら僕はイタリア語を知っている。親が英語の塾にいれようとして満員で入れず、不運だがイタリア語を習いそれでも英語の塾が満席で中国語を習った。だから英語塾の席が空くまでいろんな語学を学んでいる。だから彼と同様いろんな言語知っている。ほんと僕は不運で不幸だ…… 
「おかしいな…… 青酸カリウムは即死という訳ではなく最大15分は生きることが出来る…… なのに【ダイイングメッセージが無い】」
座席を探してもまったく変わっていない座席を見て、シュリは考え込んだ。10分間静かに目をつぶっていたが突然溜息をついた。
「【ダイイングメッセージは無い】これがダイイングメッセージだ。私には謎が解けた。お前も静かに眠るといい……【お前は絶対に無実だ】」
シュリはウインクをすると名刺を手裏剣のように僕に渡し、優雅にビジネスへ戻って行った。何故シュリにはわかったのだろうか……もうすこし探ろう。そして東さんのために犯人を見つけてやる!!
 気合を入れなおして席を立つと通路を挟んだ左側の席の20代の日本人女性が腕をつかんだ。長く伸ばした黒い髪で薄化粧の美人だった。
「会長のために静かに眠ってください」
その声はさっきの男の声だった。この女、いや男なのかもしれないがそんなことどうでもいい! 犯人を見つけたのだから!
 腕をつかみ高々に犯人を捕まえたと言おうとしたとたん、眠気に襲われた。
視界が歪み、頭痛が始まる。睡魔に苦しみながら後ろを向くと注射針を持った【シュリ】だった……
「……シュリ! 何故君は!」
「東さんの為だよ。頼む……お前と私の為に眠ってくれ」
――――ほんと僕は【赤毛】だ。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.138 )
日時: 2012/02/18 18:47
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 初投稿

今、僕はアメリカで刑務所エンジョイしているのでなく、アメリカのニューヨークで買い物を楽しんでいるわけでもなく――――


「この前は大変失礼しました」


日本の普通の一軒家で薄化粧の美人とテーブルでお話をしていた。
「……確かに失礼しただろうよ。ま、僕は無実だったから日本へ戻れた」
お茶をすすった。宇治のお茶は渋みがあることで有名……
「私の名前は二四三七三(ニシミナミ)です。変な名前でしょう? 南の予定でしたが、祖父が勝手に三七三にかえたのです」
フフフと口を隠して優雅にしゃべった。この人もシュリのような人間だなと思った
「僕もアメリカで、じっくり東さんがなんで殺されたかを考えて正直分かったよ……」
また一口お茶をすすると溜息とともに言葉を吐き出した
「あまりにも裏社会で生きていたから消したかったんだろ?」
永田町と言えば日本の政治家がわんさか群がっている場所……そして闇献金が多いところ……トップに近づけば近づくほど裏社会へ染まっていたのだろう。だから家族や会社にも悪影響を与える……
「そうですね。祖父はいろんなところへチョッカイを出していましたから。」
「だから、殺したと?」
普通の一般人の会話とは思えられない……
三七三さんは馬鹿にするように嘲笑した。
「その通り! 会社も消されたら大変なので…… しかし、あの金髪の人は頭がいいですね。貴方も考えたらあの状態が危なかったとわかったでしょう?」
冷静に考えれば【人が死んでいるのにほとんどの人が静かに思い思いのことを飛行機の中でしていたということが異常だった】。
三七三さんはお茶を飲みほし僕の方へ湯呑をスライドしてきた
「ま、祖父をこの世から消すのは大変だったよ。なにしろ【一度に何百人のも仲間を入れるのは】…… おかわりね」
つまり、三七三さんは【飛行機内を自分の手に染まった人間だけにして殺そうとした】。 密室だからできることであり、膨大な金が必要だ。
 ゆっくりとお茶を注ぎこぼさないようにコトンと机に置き頬杖をついた。
「……一秒の間に僕とシュリが入ったのは不運だった。 もしあの時暴れていたら僕は殺されていた。ねえ、【シュリ】」
お茶を注ぐと三七三さんへスライドで渡した。その同時に玄関が開いてオールバックのシュリが現れた。
「ま、私が麻酔を持っていたからお前を助けることが出来たわけだ。良かったな。私にもお茶をくれ」
「ほらよ。シュリは天才だからな」
天才発言を別に喜ぶ様子もなく普通に席に着いた。何故訪ねてきたのかは一目瞭然だろう。そして僕が落ち着いているのはいつも【ややこしい、めんどくさい場所に遭遇するからだ】
「そして、【保険金が欲しさに殺したんだろ?】」
シュリが三七三を人とは思っていない様だ。顔が恐ろしい顔つきになり、飲むときも荒くなる。
「ええ、私には大切な夫がいますから。」
すらっと挨拶をするように殺したことを認めた。三七三さんはいろんな修羅場を乗り越えてきたのだろう
「僕の予想ですが…… 東さんが心臓病で余命宣告されていたのでは?」
三七三さんの喉が止まった。一秒ぐらいたつと静かに喉は動き始めた
「へぇ…… なんで?」
「まず、僕が眠っていた時「【爆弾】を持参してきたか?」という意味の言葉を話していました。僕は爆弾を【ニトログリセリン】だと推測します」
ニトログリセリン……超危険な爆弾の材料と言ってもいいが、これは心臓病の薬にもなる。
「へぇ…… 良く見抜きましたね。」
「さらに……東さんは【まるでこれが最後の飛行機】のような発言と行動をしています。まだ60ぐらいの現役で下っ端の時を思い出して泣くなんて死ぬ前の人間しかいませんよ。」
僕の推論を聞いた三七三さんは湯呑を静かに置くと机の上に札束を置いた。見たところ100万ぐらいだろうか……
「ま、これを迷惑料と思ってください。ではさようなら」
札束を冷たく見つめたシュリは帰ろうとする三七三の背中にきつい言葉をふっかけた
「これで黙っていろと?」
「別に喋ってもいいですが……【命は無いと思ってください】」
すこし笑った顔を見せるとドアを豪快にあけ僕らの視界から消えて行った



僕はゆっくりと心の中でこめられていた日本語をしゃべった。
「東さん…… 貴方…… 殺されそうになっていることを知っていたでしょう……」
シュリも気が付いていたようで驚きもせずにお茶を飲んだ。僕は、口直しと茶菓子を持ってくると静かに貪った。
「ま、どう見ても薬を持ってきていないし…… 死因が【心臓病】だったことも東さんの策略と言っていいでしょう。これもまた【孫娘への愛】だったのか……」
僕も静かに呟いた。最初から飛行機内で死ぬことだと思っていたのだろう。だから苦しそうになり、僕のことをからかったのだろう。孫娘の為に自ら毒を飲んで、汚れていた自分を代償に孫娘を助けようとした。だから【ダイイングメッセージ】を残さなかった。これは単なる考えで会って違うかもしれない。

だからと言って確実に、



【僕を容疑者に仕立て上げようとした人生最後の悪戯はとんだ迷惑だ】


「ねえ。シュリ……」
茶菓子を食べながらぼそぼそと呟いた
「ん? なんだ?」
「一緒に探偵やらないか?」
「俺も思ったんだ。不幸と不幸が掛け算になって幸運になるといいな」
「いや……足されてもっと不幸になると思う……」
僕とシュリは固い絆を結んだ。
結びながら今回の一連からこう思った。

【本当に僕は赤毛と言われて当然だろうな】


                  ――――とある非日常的な赤毛 i話終――――

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.139 )
日時: 2012/02/16 00:09
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 初投稿

あとがき

ここでは初めまして、檜原武甲です。
 なんとなく参加する気になり、『空→密室』という発想からこの小説を書きました。
なんとなく主人公を決めたら気に入ったので【赤毛】のミステリ書くかもしれません(ですので虚数のi話になっています)
ミステリーになっているとうれしいです。まだ解かされていない謎はあるので考えてみてください。
例えば
「何故主人公のニックネームが赤毛か」


駄作だと思いますが、よろしくお願いします。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.140 )
日時: 2012/02/16 09:45
名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6

『無限のソラと、タダのカラ箱から』

「ウッソーッ!! マジ!?」
 青髪の盗賊、アーケイディアの目の前にあったのは。
「たぬきの宝箱……つまり」
 宝箱から、たを抜いて、『空箱』。中身が何も入っていない。つまり、アーケイディアは骨折り損のくたびれもうけというやつだ。
「すんごい宝が眠っているって聞いて、死にそうになりながらもやってきたのにーっ!!」
 その空箱を怒りに任せて投げようと、手をかけた瞬間!!

 ずももももも………。

「……はい?」
 奇妙な煙と、その変な音が途中で。

 タカタカタカタカ……と、珍妙な、いや、お馴染みのドラムロールが聞こえてきて。

「ぱんぱかぱーんっ!! おめでとうございますっ!!」
「へ?」
 ぱーんと、アーケイディアの頭の上で何かが割れて、紙ふぶきが舞う。
 ぴよぴよと、ひよこまで降りてきた。
 ついでにしゅるんと『おめでとうございます!』という達筆の紙まで落ちてきている。
「……なに、これ……?」
 そして、一番腑に落ちないのは。
 目の前にいる男。
 何故かサンタさんがよく被る赤いサンタ帽を被り、何故か鼻眼鏡を付けて、クラッカーを鳴らして喜んでいる。良く見るとイケメンのようにも見えるが……。
「おめでとうございます、アーケイディア様。空を司る精霊『カラ』をお呼びいただき、光栄でございます」
「何も私、あんたを呼んでいないけ………あっ」
 もしかして、この空箱……と、手に持っていた空箱をまじまじと見つめるアーケイディア。
「そのとおり。その箱を開けたことによりアーケイディア様は、このわたくし、『カラ』を使役する権利を得たのです」
「……いまいちよくわからないんだけど、まあ、その、あんたのいう使役ってのをやったらどうなるわけ?」
 待っていましたと言わんばかりに、謎のイケメン(?)カラは、嬉しそうに微笑んだ。
「空にいるかぎり、アーケイディア様は無敵でございます」
 …………うさんくさい。
 アーケイディアはウンザリした顔で告げた。
「間に合ってます。ではさようなら」
「え!? 契約しないんですか? ねえ、ねえってばーーっ!!」
 青髪の盗賊の通り名は、もう一つある。
「触らぬ神にたたりなし、だよねーこれって」
 天下一品の逃げ足を誇る、疾の盗賊という、名が。
「行ってしまわれましたー」
 残ったカラは、しょんぼりしつつも、その口元に笑みが零れていた。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.141 )
日時: 2012/02/16 09:46
名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6

 このファジカル国では、様々な者達が住んでいる。
 竜もいれば、天使もいる。
 そして、精霊も。
 伝説級の精霊や天使になれば、世界を揺るがす力も持っている。
 ただ、その力を得るには、かなりの努力と根性とラッキーが必要ではあったが。
 まあつまり、このファジカル国は、俗に言うファンタジー世界であった。
 何でもアリの、規格外の。

「で、姐さん。結局、骨折り損のくたびれ儲け、だったわけですかい」
 酒飲み友達(兼子分)のモッポと、アーケイディアは酒を飲んでいた。
「そ、もうやってらんないって感じよねー」
 ふうっと少し大げさにため息をつけば。
「お疲れやんした。けど、まあ、あそこの洞窟になにもないと知ることができてよかったんじゃ……」
「なんにもなかったわけでもないんだけどね」
 ふと思い出す。
 カラとかいう、不思議な男。なんか変なことを言っていたが、もうどうでもいい。
 とにかく、また新しい仕事を見つけなくては……。
 そうこうしていると、どうやら、外が騒がしい。
「なんか外が騒がし……」
 アーケイディアは、彼女の持つ第6感で逃げ出した。モッポもそれに気づいて見事に逃げたようだ。現に追いかけられているのは。
「見つけたぞ! 青髪!!」
「うっわー、マジ?」
 こっちは少々酔っ払って、方向感覚がズレている気がする。
 自分が向こうだと思っていても、それが正しいと言えない所を見ると、やはり、私は酔っ払っているんだと思い知らされる。
 建物の屋根を駆け抜けて、下では自警団が私を追いかけている。
 嫌な予感がする。
 こういうときの予感は、必ずと言って良いほど当たる。
 そう、こんなに。

 バアアン!!
「やったぞ! あの青髪をやったぞっ!!」

 --------えっ!?

 何が起きたのか、分からなかった。
 体が浮き上がり、胸が燃えるように熱くて。
 下を見たら驚いた。
 私の胸は、銃の弾で、真っ赤になっていた。
 ご丁寧に、心臓があると思われる、その胸が。

 宙に浮かびながら、私は瞳を閉じた。
 もう、私は長くない。
 なのに……私の瞼の下には、別の何かが見えてきていた。


 遠くで、誰かが泣いている。
 しくしくと、なぜそんなに悲しむのか。
 見ていられなくて、私は声をかけた。
「どうして泣いてるの?」
「ボク、半人前だから、追い出されちゃったの」
 小さい男の子。私と同じ髪色の、男の子が泣いていた。
「どうして、半人前なの?」
「……名前が、ないから」
 涙を拭きながら、そう私に教えてくれた。
「じゃあ、私が名前付けてあげる!!」
 簡単なことだった。
 綺麗な髪色。
 よく、母さんが言っていたっけ。あなたの髪の色は、空色ねって。
 でも、ソラじゃ、ありたきりすぎる。
 だから、最近母さんに教えてもらった言葉を、男の子の名前にしてあげた。
「あなたの名前は、今日から、『カラ』よっ!!」
 私とお揃いの髪の色が、こんなに嬉しいことはなかった。
 そして、彼もすごく嬉しそうに微笑んでくれた。まだちょっと涙の跡が残っていたけれど、本当に嬉しそうに。

 ----------アーケイディア。

 そういえば、さっき会ったあの男。
 彼もそういえば、私と同じ、青い色だった……ような気がする。
「………カラ……」
 思わず空に手を伸ばした。青い空が見えた。
「アーケイディア!!」
 その手を掴んだのは、さっき会った、あの男。
「……えっ?」
「契約を、早くっ!!」
「……そんなこと……どうすれ、ば……」
 カラは堪らないといった表情で。
 私の唇を奪った。

 ドクンッ!!

 胸が熱い。
 燃えるように熱い。

「空を司る我、カラは、これよりアーケイディアとの契約に従い、アーケイディアを我が主と認めん」
 声が聞こえた。心地良い声。カラって、こんなに良い声してたんだ。
 それにしても、胸が熱くて熱くて堪ら……。
 良く見たら、私を貫いた弾が、宙に浮かんでるではないか!?
「へっ!?」
 思わず立ち上がった。

「な、なにっ!? やったんじゃないのか!?」
 下の方、自警団達も驚いているようだった。
「……そうね、弾は私を貫いたわ。けど、私の方が『無敵』だったみたい」
 側にカラがいた。
「なんだ、あの男は!?」
 やっと気づいたみたいだった。
「ねえ、カラ。一つ聞いて良い?」
「なんでしょうか、アーケイディア様」
「この場から、一気に逃げること、できる?」
「お安い御用です」
 カラは勢い良く私をお姫様抱っこすると。
「飛びますよ」
 空高く舞い上がり、そのまま一気に隣町まで飛んでいった。
 文字通り、一気に飛んでいった。
「きゃああああ!!」
 息もできないうちに、私は、隣町のどっかの建物の屋根にいた。
「着きましたよ。ですが、あれくらいの輩なら、一気に蹴散らせますよ」
「そ、それよりも息できなかった」
「それは申し訳ないことをしました。ですが、アーケイディア様。空にいるかぎり、貴方は『無敵』。それは空気がなくても、です」
「そう」
 なんだか、成行きですんごい力を手に入れちゃった気がする。
「でもまあ、いっか」
 ぐっと伸びをして、何処までも続く澄んだ青空を見上げた。
「父さんも空賊目指して、海賊になってたし。父さんがなれなかった空賊になるのも、いいかもね!」
 くるりと振り返り、カラに告げる。
「ついてきてくれる?」
「YES、マスター」
 こうして、私のとんでもない空賊ライフが始まったのであった。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.142 )
日時: 2012/02/16 09:48
名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6

◆あとがき
まさか2レス使うことになるなんて、びっくりどっきりでした。
一つ前の檜原さんの作品見て、主人公の髪の色を急遽変えたのは、遠い記憶の彼方です(笑)。
とにかく、この作品を作る間に、3作ほどボツにしましたが、それはそれ。
少しでも、読んで楽しんでいただけたのなら、嬉しいです☆
私は楽しかったです♪

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.143 )
日時: 2012/02/19 08:33
名前: 瑚雲◆6leuycUnLw

【空からは色々な物が落ちてくるのです。】


 麗らかな春の日。
 俺は軽いバックを片手に揚々と歩いていた。
 今日は始業式で、荷物もなければ午前帰り。
 まぁ教室に行ってぐーたらと担任の長い話を聞く羽目になるのだが。

 然し、今日の俺は一味違う。
 何故だろうな、いやぁ本当に何故だろう。

 
 空からバナナ(皮)が降ってきた。


 「――――――――ってえええええええ!?」


 空から突如出現したバナナ(皮)。
 それを避けようと思うが運悪く今日の俺は不慣れな靴を履いている。
 ちくしょう。調子に乗って新学期から靴を換えるんじゃなかったっ!!
 迫り来るバナナ(皮)を目前に最終手段を結構。
 
 そうだ、そのまま頭を回して避ければ良い。

 ナイスだ俺っ!、流石俺っ!!

 腰を極限まで曲げてバナナ(皮)を避けきった。
 そしてそのまま落下――――――――せず。


 「え」


 春の暖かな気持ちの良いが、バナナ(皮)を押すように流れ込む。
 バナナ(皮)の向かう先は唯一つ。
 俺の顔面。





 「はよーっ、…ってどうしたよお前? 朝からちょっと顔がぬめってるぞ」
 「言うな。それ以上言ったら顔を潰す」
 「何言ってんだよぬめ顔くn――――――でぎやあああぁッ!!!!」

 友達の顔をこんなに鷲掴みにするのは数日ぶりだろうか?
 そういえば3日前やったな。カラオケとかなんかで。
 
 「いってー…お前マジバカ」
 「お前が言うなバカ」
 「……始業式から罵倒での精神的な殴り合いはやめようぜ。まだ4月だぞ。えーぷりるえーぷりる」
 「あぁ、そう」

 大体始めに突っ込んできたのはあいつだろうに。
 俺は悪くない。はず。

 「つうかお前さぁ、バナナで滑った事ある?」
 「え、何突然」
 
 唐突すぎて分からん。
 こいついっつも突然何かを言い出すから色んな意味で怖いな。

 「いやぁ俺さ、マジ滑った事あんだよ。すげぇだろ、なぁすげぇだろ」
 「自慢になる事ではないに一票」
 「んだよつまんねぇーな、どうせバナナトラブルなんかお前にないだろー」
 「いや、あるけど」
 「え、マジで!?」

 なにゆえにそんな驚く…。
 俺って普通すぎ? そんなに見えますかね。

 「朝、バナナ(皮)が顔面にダイレクトアタックした」
 「ご丁寧に(皮)までつけてくれたなおい」
 
 しょうがないだろ、中身なかったし。
 あれはあれで衝撃的だったしな、うん。
 
 「えー皆さん、席に着いて下さい」

 あ、担任が来て――――――、ない?
 
 「あれー?何で別の先生なんすかー?」

 あのバナナトラブル自慢男(略:バナ男)がいつも通り大きな声で叫ぶ。
 そういえば何でだろう。いつも長時間喋っていられるあの滑舌の良い担任がまさか休みとは思えない。
 じゃあ、家族がインフルエンザとか?

 「実は今朝…交通事故に遭った」

 マジですか。
 てか…そんな騒ぎあったかな。
 クラスがざわめきを起こして数秒後、先生は咳払いをして皆を沈め、もう1度机に手をつく。

 「さっき意識が戻ったそうだが…先生はある台詞しか吐かない、だとかで…」

 ある台詞って…助けてとか、苦しい、とかかな。
 大体交通事故に遭った人って…初めに何て言うんだろう。
 やっぱ怖いものだし…家族の名前とかかもしれないな。

 「“バナナ(皮)を失くした”…とな」

 その台詞を真顔で言う貴方も貴方だ。
 …え、てか、え?

 「バナナ…(皮)?」

 あれ、この言葉どこかで聞いたな。
 そういえば朝、頭上から変な物が落っこちてきたよーな。あれ。

 「心当たりがある生徒は学活終了後職員室に来るように」

 ヤバイ、ありすぎてヤヴァい。
 これは偶然ですか? いいえきっと運命ですよね。

 「あれー?お前何処行くんだよー?」
 「あぁ…ちょっとね」
 「はぁ?」
 「…バナナ(皮)を語りに、行ってくるよ」


 
 あーあ、ホントろくでもない日だよ。

 朝からバナナ(皮)が降ってくるなんて、知らなかった。
 まぁ知ってたら怖いけど。
 
 空って何が落ちてくるか分かんない。
 雨だったり雪だったり雷だったり。

 ま、今日の天気予報は“バナナのち晴れ”だったけどね。

 …今思えば、そんなに悪くない新学期の始まりだったかも。
 なんちて。




 
 *あとがき*

 初めてコメディ物にチャレンジしてみましたっ。
 いやぁ、ホント下手ですね(笑)
 どんだけ(皮)が出てくるのか…もうホント疲れました。
 意味不明な終わり方になってしまい…短編の難しさを改めて痛感した気分です。
 あぁー…疲れたっ!

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.144 )
日時: 2012/02/16 23:53
名前: 檜原武甲◆gmZ2kt9BDc
参照: 秋原かずやさんへ >>142のスレ(?)すこしばかり嬉しかった……

質問ですが、ここに載せたSSは自分の小説の方にも載せていいでしょうか??

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.145 )
日時: 2012/02/17 00:27
名前: 猫(元: ◆GaDW7qeIec
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode=view&no=17023

檜原武甲様へ >>144


全然OKですよ^^

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.146 )
日時: 2012/02/17 14:35
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

猫>
わたしも……。 短編集書いてるので、載せさせてもらうね^^(せっかく書いたし)

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.147 )
日時: 2012/02/17 17:26
名前: sora◆vcRbhehpKE


【僕に言葉があったなら】

 高い場所から見渡すと、いつも灰色だなあと思う。
 ついに今日まで僕が住んでいたこの街にも、冬がやってきた。雪が降ったのは、昨日のことだ。
暗い灰色に濁った、大きな長方形がずらりと立ち並ぶこの街にはたくさんの人が居る。
僕はいつも前を向いているのだけれど、ガードレールに沿って歩く彼らは、どうしてかいつも下を向いている。
 そんな低い場所から下を向いたって、きっと地面しかみえないだろうに。
どうしてこの街の人はみんなうつむいているんだろうと、いつも不思議でならない。
 人々を見渡せる、長方形の一つの屋上が、僕にとってお気に入りの場所だ。
人がたくさん居る場所では、人の声がたくさん聞こえる。
 この街では、たくさんの声を聞けたと思う。
 前髪を綺麗に分けた、くたびれたスーツのおじさんは「お仕事に疲れた」と嘆いていた。
僕が言葉を話せたのなら、「お疲れ様、たまには休んだっていいんだよ」と労ってあげるのに。
 いつも街路樹の下でギターを弾いて歌を歌っている人は、
このあいだ「歌い方を習いに行きたいなあ」とぼやいていた。
僕が声を出せたのなら、「こうやって歌ってみたらどうかな?」って、いつも歌っている歌を聞かせてあげるのに。
 おかあさんに連れられた子は、「たくさん遊びたいよ」っておねだりしていた。
僕がものを言えたのなら、「いっしょに遊ぼうよ」といって、日が暮れるまで一緒に遊んであげるのに。
 毛糸の帽子をかぶった女の子は、「告白したけれど、ことわられてしまった」と涙ながらに友達に話していた。
僕が喋れたのなら、「大丈夫、次はきっとうまくいくよ」と慰めてあげるのに。
 すっかりやつれてしまったお兄さんは、「もう、いやだ」とだけ言って、今僕が居る場所から飛び降りていってしまった。
それが一番つらいことだった。
僕が気持ちを伝えることが出来たのなら「待って、そんなことしちゃだめだよ」と引き止めてあげることが出来たのに。
 学ランを着た男の子は、鳶色の瞳で僕を見上げて
「いいな。おれにも、自由に空を飛びまわれる羽根があればいいのに」と呟いていた。
僕は、僕にも君達のように言葉があればいいのにと思う。
 この街で、たくさんの人のたくさんの声を聞いた。
仲間はとっくのとうにあたたかいところへ行ってしまった。そろそろ僕も向かわなければならない。
雪は白くて不思議で、嫌いではないのだけれど、どうしても冷たいのは苦手なんだ。
 羽根を広げて駆け上がって、宙に飛び出すと一気に冷たいが襲い掛かった。
冷たくて寒いけれど、ちょっとだけ心地良いように感じる。
僕に言葉があったなら、あの少年に「飛ぶことはとても気分のいいことだよ」と教えてあげるのに。
 次に行く場所では、いったいどんな声が聞けるのだろう。
 寒い都会のの中に飛び込んで、目の前に広がったのは真っ青な空だった。
下ばかり向いていないで、見上げてごらんよ。こんなにきれいな景色が広がっているんだよ。
そうやって声高く叫べないことが、僕にはとても残念でならない。





■あとがき■
はじめまして、soraといいます。よろしくお願いします。
短編を書くことは、あまり経験がないので、拙い文章になってしまっていたらごめんなさい。
もはや、書いたわたし自身でさえ何が良くて何が悪いのかわからないのです。
でも、この短篇で少しでも楽しんでいただけた方がいるのなら、とても嬉しいです。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.148 )
日時: 2012/02/17 20:29
名前: 玖龍◆7iyjK8Ih4Y

【曇天】


 人間は死んだらどうなってしまうのか。
 お空の上には天使様が住んでいて、死んじゃった人はお空の上で、わたしたちのことを見ててくれるんだって。病気しないように、けがしないように、ずーっと、ずーっと。
 幼いころの私は、今は亡き祖母の回答を素直に純粋に受け止め、笑顔で納得をした。祖母はその後、結構直ぐに死んだ。私は祖母が空の上で見守ってくれているんだと、死の意味も理解しないで飲み込んだ。涙一滴も流さずに、死を受け入れたと思い込んで。

 人は死んだら空の住人になんかならない。何処にも逝かないし何にもならない。空に天使なんて居ない。
 じゃあ、死んだらどうなってしまうの?
 答えてくれる人も今はもう居ない。ずっと前に両親が死に、ちょっと前に祖母が死んだ。皆私を置いて行ってしまうんだ。空の上で見守ってなんかいない、私は家族が死んでから病気にもかかったし怪我も数えきれないほどした。
 祖母の話を聞いて幼いころに書いた、雲の上にいる祖父や両親や天使の絵を見ていると、胸がきゅうきゅう痛む。喉に何かがつっかえて、目の奥が熱くなる。呼吸が、苦しくなる。
 茶色っぽくなったぺらぺらの紙から視線を奥の窓に移す。今日は、雲の後ろに隠れた太陽が白っぽくも黄色っぽくも青っぽくも緑っぽくも見えるような曇りの日。変な空。

 死んだら家族に会えるのだろうか。

 幼いころの私が描いた空の国を折りたたんでポケットにしまった。回転する椅子を立って、傷だらけの手で扉を開けてベランダに出る。が無い。いろんな色の太陽が照らしている。
 私は扉の方を向いて、ベランダの淵に座る。ちらりと、下のほうに駐車場のアスファルトが見えた。
 空を見る。空はこの世界のいいところも悪いところも、すべてを優しく包んでくれている。そんな気がした。
 ああ、そうだ。私がこの世界で一番好きなのがこの空だった。長い間黒いアスファルトばっかり見つめて歩いていたから忘れ去ってしまっていた。こんな私さえも包み込んでくれているのだ。

 決めた。私、空になろう。
 そうすればきっと、何処かにいる家族が見える。
 ふっと、が下からふわりと吹いた。浮遊感と目に焼き付いた太陽の色が残っていた。

 白い空に、溶ける。





あとがき
 参加する参加する言ってたくせに一度も参加できていなかったです。
 第三回にしてやっと参加です、猫様ごめんなさい。
 台詞が一つもありませんね。読みにくい。
 書いていて楽しかったです。有難う御座いました。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.149 )
日時: 2012/02/18 01:34
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY

六レスほどお借りします。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.150 )
日時: 2012/02/18 01:35
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY


 【翼】


 この国に来て数か月にもなるが、相変わらず歴史というものが色濃く迫ってくるのが、彼には感じられた。建国から二百年弱しか経っていない祖国と比較して、心の隅に小さな嫉妬を覚える。それはすぐ治まった。比べてもしょうがない。代わりに、合理的な気と馬鹿でかい領土があるじゃないか。宥めるように、男は心中でつぶやく。
 洒落た通りを歩きながら、行き交う人々を横目で観察する。ビジネススーツ姿の男。デジタルカメラを持った観光客。短いスカートを穿いた艶やかな女性。横を通り過ぎていくにつれ、それらは自身のなかで忘却されてしまうのだと男は思った。所詮、人間には接点の限界があって、それを越えたらもうどうしようもない。まるで蠅と人間の攻防だ。
 ――くたびれたグレイのコートを躰に巻き付けながら、男は空を見上げた。憎たらしいほどに澄み切った青空に、数匹の鳥が飛び交っている。冷たいが男の顔をさらりと撫でた。男は一度睨み付けるかのような感じでジッと空を見つめたが、すぐに目尻を落とす。どうしようもない。
 街並みに紛れるようにして存在していたカフェを見つけると、男はドアベルを鳴らしながら、足を踏み入れた。清潔感と暖かさがある店だ。愛想の良い女性店員がこちらを見ている。男はカウンターへと近寄ると、メニューからカプチーノとクロワッサンを頼んだ。穏やかな声でレジスターを打ちながら、店員が値段を示す。男は紙幣を数枚出すと、釣りを受け取った。注文されたものが出来上がるのを待ちながら、左腕の時計に視線を移動させる。
 約束の時間まではまだ余裕がある。男が店内を注視していると、店員がトレイに乗ったクロワッサンと容器を差し出した。男は頷くと、トレイを持って店の外にあるテラス席へと進む。外に出ると、乾燥した空気と先ほど感じたに吹きつけられる。少し眉を顰めながら、空いている席へと腰を落ち着けた。
 一息付いて、懐から文庫本を取り出す。黒い表紙に薄い幾何学模様。白文字で『連綿するミーム』と表記されたその本を、男は数秒注視すると、不意に空を仰ぎ見た。鳥はもういない。代わりに千切れた雲がのったりと空を滑空している。男は半ば哀しみと驕りを込めていった。
「人は重力に縛られるのさ」

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.151 )
日時: 2012/02/18 01:35
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY


 鮮やかな陽光に照らされる白亜の塔。その堂々と屹立するさまは多くの人々に威圧と畏敬、そして何よりも恐怖を与えてきた。それは牢獄だった。それは死と弾圧の象徴だった。人々はただ、地上から伸びあがる王の権威を無力さをもって眺めることしかできないのだった。
 そして、この雲を突くような塔の天辺に、閉じ込めれている二人の男がいた。名をイカロスとダイダロスという。時の王、ミノスの怒りに触れたダイダロスは嫡男のイカロスとともにこの鉄壁の牢獄へと幽閉されてしまったのである。


 白い胸壁が辺りを包み込んでいる。抜けるように広がる晴天が、イカロスにとっては妙に腹立たしかった。彼は石畳の地面をせわしくなく歩き回りながら考える。あの暴虐なる王の頬を平手で打ってやるには果たしてどうしたらいいだろうか。空想のなかでそれを実行し、喜びの唸りをあげるイカロスを見かねて、壁へと寄りかかっていたダイダロスはいった。
「少し落ち着けばいい。我が息子よ」
 イカロスは一度ため息をつくとゆっくりとダイダロスの方向へと振り返った。彼は言い返した。
「そうしたらこの唾棄すべき邪悪な塔から逃げられるとでも? 父上」
「息子よ。何事も平静で臨むことだ。そうすればニーケーも舞い降りてくださるだろう」
 殉教者のような眼差しを歪めて、ダイダロスは諭すようにいった。イカロスは難しい顔をしながらその場へと座り込む。息子は父親とは対照的だった。溌剌とした双眸。感情の豊かさを表すように上下する口角。精気に溢れた物腰。口髭を撫でながら、ダイダロスは素直に従った息子に頷いた。
「まずは良く冷静になって考えるべきだろうな」
 イカロスは肩を竦める。そして珍しく深刻そうな表情を顔に張り付け、つぶやいた。
「ここで死ぬとは考えたくありませんよ、父上」
「……イカロス。神々は我々を見捨てはしない。信じるのだ。自らを。私を。そして神を」
 二人の間に陽光が差し掛かる。両者の視線が空へと向けられた。煌めく太陽が二人を鼓舞しているように思われた。イカロスは唇を歪ませると、首をぐるりと回す。
「出たら何をするか考えます」
「それがいい。まずはお前の嫁をどうするか、からだな」
 イカロスが眉を顰めるのを見て、ダイダロスは快活に笑った。


 夜の帳が降り、月は太陽と交代する。王の怒りに触れた二人は硬い地面に雑魚寝していたが、やがて光がダイダロスの顔貌へと差し掛かると、彼は大きく口をあけながら、億劫そうに上半身を立ち上げた。唐突に、騒がしい音が場に響き渡る。幾度も重なる羽音。鳴き声。ハッとダイダロスが目蓋を開くと、そこには清純な大気に舞う数十の羽根と小さな糞が丸まって辺りに転がっているのが見えた。
「これは……」
 ダイダロスが呆気に取られていると、横で息子のイカロスが呻きを発しながら身じろきする。ダイダロスは迷惑そうに視線をやり――そこで脳裏に光り輝く何かが訪れたのを知覚した。
「そうだ! そうだよ!」
 突然、発狂したかのように叫び声をあげるとダイダロスは隣で寝ている息子を強く揺り動かした。イカロスはねむけ眼を擦りながら、苛立たしげにいう。
「もう少し寝させてください。父上。今、良い夢を見ていたのに……」
「そんな場合ではない! 神が使者を遣わせてくださったのだ!」
「はあ?」
 ついにおかしくなったかとイカロスは悲痛そうな声を出して、頭を抱えようとする。それをダイダロスが叩いた。
「ええい。この寝坊助め。さっさと起床しろ!」
「一体何だってんだ! 気狂いの相手なんかしてる時間は――」
 火山が噴火したかのような憤怒を顔に浮かべて、イカロスは勢い良く立ちあがろうとし、ダイダロスの顔を見た。そして驚いた。彼の人の表情は実に活き活きしていたからである。ダイダロスはイカロスの肩を掴み、耳に口を寄せた。
「いいか、あの羽根を見ろ」
 イカロスは気圧されて、思わず父が示した方向に視線を移動させる。そこにはダイダロスが見た光景があった。
「あれでな、翼を作るのだ」
「つ、翼ですって!? 嗚呼、僕の予想は正しかった。父は頭が……」
「失礼なことをいうんじゃない! バカ息子が!」
 軽く頭に拳骨をくれると、ダイダロスは素早く立ち上がって羽根を拾い集めた。茫然と見ているイカロス。ダイダロスは笑った。
「私は誰だ。大工、工匠、職人。そう、神々から叡智を授かった男だ。出来ないことなどないのだ。イカロス!」
「は、はい?」
「父の眼を見ろ」
 ダイダロスは首を巡らせた。イカロスとダイダロスの視線が交差する。イカロスは父の眼に光る猛々しい野心と情熱を見た。殉教者のような双眸はすでに無かった。そこにいたのは天下の牢獄に挑もうとする一人の戦士であった。イカロスは身が引き締まるのを感じる。父は狂ってなどいない。本気で翼を作る気なのだ。イカロスの眼に、徐々に若人の輝きが灯りつつあった。ダイダロスはそれを確認すると、狙い澄ましたような不敵な笑みを口元に張り付ける。
「この牢獄から脱出する。協力しろ、我が息子よ」
「……是非にやらせていただきましょう、父上」
 イカロスが持ち前の自信を漲らせるのを見て、ダイダロスは満足気に頷いた。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.152 )
日時: 2012/02/18 01:36
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY

 
 彼らは一日一日と羽根を組み合わせていった。それこそ気の滅入るような日も、互いの意見が衝突した日も。それは神々が与えた試練のように思われた。彼らは恐らく忍耐と意志力を試されていた。加護を授けるに値する人間なのか、見極めるために。
 黙々とただ一つのことを実行し続けた。羽根を蝋と糸で結び付るという単調な作業。若人も老人も、何かに取り憑かれたかのような真剣さを見せた。希望の途は遠いが、閉ざされてはいないのだった。それこそ希望は呪いではなかったか。呪いを掛けられた男たちはひたすらに熱心で有り続けた。
 ある夜、イカロスはいった。
「父上、幼少のみぎりから僕は一つの夢を持っていました」
「続けろ、息子よ」
 ダイダロスは作業の手を止めて息子の話を聞いた。イカロスは微笑んだ。
「燦々と照り続ける太陽のなかは一体どうなっているのか、とても不思議だったのです。僕はあそこに神の国があると思っていました」
「もっともなことだ。そう考えるものも、少なからずいる」
「……罰当たりな奴だろうと思われるでしょうが、僕は自力でそこへと辿り着きたいと夢見ていたのです」
「否定はしないよ。おまえらしいと思う。神々は寛容であるし、それに私は太陽はただの飾り物でしかないと思っているからな」
 ははと、声を抑えてダイダロスは笑った。イカロスは肩を竦めると、苦笑を返した。
「例え神の国ではなくとも、ですよ。何か偉大なことをしたいといつも考えていましたから。芸術は僕には向かない。戦争で英雄にはなれない。父上のような才もない」
 イカロスは真剣な顔つきになると、ぼんやりと穏やかな光を投げ掛ける月を見た。近づいても、離れる。手を伸ばしても届かない。
「何処か世界の果てから月に飛び乗って、太陽と交わる頃に飛び移ればいい、なんていう計画も持っていました」
 緩慢な様子で起立する。そのまま腕を組んで、夜気から身を守ろうとした。ダイダロスが首を傾げる。
「それで。おまえはどうしたい、何がいいたい」
「僕はね、父上。今、すごいことを成し遂げようとしているのです。故郷の人々が聞いたら、天地がひっくり返るくらいに驚愕する、そんなことです。僕は偉大なる父の助けを借りて、人類で一番最初に空を飛んだ男になれるかも知れないんだ……」
 そしてイカロスはダイダロスをしかと見つめた。切実な意思が宿る両の瞳はダイダロスを貫かんばかりであった。不意に、ダイダロスの胸中に僅かな不安が芽生える。愛すべき息子がこの場から蜃気楼のように消えてしまうような、一筋の恐ろしさが胸を打った。そんなことはない、とかぶりを振ると、ダイダロスは答えた。
「イカロス。私がお前をそうしてやる。初めて空を飛んだ男を息子に持つのだ、私は」


 神々は彼らを祝福した。弛みない努力が、一見不可能と思われていたことをやり遂げたのだった。完成した二組の翼。何処かしか荘厳な雰囲気さえ感じさせるそれを目の前として、親子は欣喜した。互いに抱き合い、雄叫びをあげた。照りつける太陽と透き通る青空が二人の様子を見守っていた。
 ダイダロスは早速、息子に翼を取り付ける。イカロスは腕を振った。呼応するように翼が勢いよく揺れ動く。ダイダロスはそれを見て、にんまりと笑みを浮かべた。
「いいぞ。これでこの監獄を後にすることができる」
 自身にも翼を取り付けると、二人は目配せし、胸壁の縁へと向かった。鋭い切り音がする。恐怖と不安が二人に纏わり付こうとしてくる。眼下には大海原。カモメが遠くを、編隊を組んで飛んでいた。
「腕を動かして、鳥の如く滑空するのだ……イカロス。準備は良いか?」
「いつでも。偉大なる父よ」
 くしゃりとイカロスの髪を撫でながらダイダロスは眼を細める。自慢の息子だ。その息子の夢を叶えてやるのだ。神々よ、どうか祝福を。
 父親と息子は胸壁から距離を取る。この蒼穹へと旅立つために――イカロスが走る。固唾を呑んで見守る父。そして――。
「おお!」
 イカロスは飛んだ。そして、落ちる。父がハッと思うと、イカロスは気流に乗り、そのまま翼を動かして遠ざかっていく。イカロスが不安げに振り向いたのを合図として、ダイダロスも思いきりに走った。足が地を離れ、落下していこうとする。ダイダロスは力を込めて、両腕を振り抜いた。
 がダイダロスの頬を打つ。気流に乗って上昇。先を飛ぶイカロスの姿が見えた。ダイダロスは腕を懸命に振りながら、自身の息子へと近づく。
 イカロスは目尻に涙を零しながら、喜劇でも見たかのように大笑いしていた。それを見たダイダロスも頬が緩み、やがて空中は二人の笑声で満たされた。
「すごい! なんてすごいんだ! 我が父よ! あなたは天才だ!」
「そうだろうとも! このダイダロスに出来ないことはない!」
 笑い合っている内に、イカロスの表情に変化が訪れた。双眸に野心の光が宿り、顔つきはさながら蛇が舌なめずりをするよう。彼の躯は若さ故の精気が荒れ狂い、まるで火山のようであった。ダイダロスはそれを仰ぎ見て戦慄を覚える。イカロスは激しく両肩を上下させると、上昇気流に乗ってあっという間に上空へと舞い上がった。ダイダロスは咆哮した。
「高く飛んではならぬ! だめだ! イカロス!」
 当のイカロスは父の警告も耳に届いていなかった。彼は少壮さに支配されていた。精神が高揚し、何でもできる気になった。胸にどうにもならない、表現し辛い感情が広がり、彼は大笑いしながら叫んだ。僕は飛ぶことが叶った初めての人だ。僕は神に愛されている。手始めに太陽を征服してやろう。
 場に恐ろしい人声が満ちていた。ダイダロスの怒声とイカロスの哄笑。ダイダロスは慎みを知っていた。故に慢心の報いがイカロスに襲いかかることも理解していた。
 翼の蝋が、太陽の熱で段々と溶けていく。イカロスは気づかない。ドンドン上昇していく。イカロスが有頂天になろうとしたとき、それは来た。何か、巨人の手で地獄へと引っ張り込まれたかのようにイカロスは急降下する。ダイダロスが悲鳴を挙げた。イカロスは信じられぬといったに、ただ網膜を焼くのも構わず太陽を見つめた。翼をまき散らしながら、落ちていくイカロス。それはさながら堕天だった。イカロスは状況を理解する。僕の傲慢さが神々の怒りを招いたのだ。父よ、偉大なる父よ。嗚呼……。誰か、誰でも良い。僕が空を飛んだなら、誰か続いてくれまいか。傲慢さ故に僕は死ぬ。真の勇者よ、僕の意思を継いでくれ――。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.153 )
日時: 2012/02/18 01:36
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY


 星々が煌めく夜空。柔らかな草が生え茂る丘に、小さな影が二つ埋まっていた。意思が強そうな眼差しの少年と、気弱だが温厚そうな顔付きをした少年。意思が強そうな眼差しをした少年が、もう一人の少年に何かを語っている。
「……そうしてイカロスは墜落してしまったのさ」
「死んでしまったの?」
「そう。死んじゃった」
 聞かされていた少年は一度目蓋を閉じると、また開いた。その小さい唇が言葉を吐き出す。
「悲しい話だね」
「大事なのはここから何を学び取るか、だと思う」
 話した少年は年に似合わず、聡明な口調で言う。彼はため息を付くと、空をジッと見つめ続けた。
「僕は、イカロスの意思を継ぎたいと思うんだ。彼が何を思ったにせよ、飛び立った勇気は本物だ」
 真剣な声色で話す少年を見て、もう一人の少年が感嘆の声を漏らした。
「兄さん。今の兄さんはとってもかっこいいよ」
 それを受けた少年は顔を赤くして、縮こまった。それだけは年相応といえた。


 やがて歳月が経ち、少年たちは大人になった。ライト兄弟――少年の頃と変わらず、その鉄の意志を示す双眸を持つウィルバー。豊かな口髭を蓄え、紳士的な優男といった体のオービル。彼らは今まさに、自分たちの夢を実現させようとしていた。
 ノースカロライナ州キルデビルヒルズ。この人里離れた辺鄙な海岸に建造された倉庫。なかには彼らが作り上げた発明品――フライヤーが収まっている。
 木造の鳥のようにも見えなくもないこの機械は、未だに人類が成し遂げることがなかった有人飛行を実現させるための道具だった。
 二人は倉庫の前に立ち、潮の臭いを嗅ぐ。オービルがいった。
「やれるかい? 兄さん」
が強い。今やらずしてどうする」
 ウィルバーは弟に向かってニヤリと笑うと、彼に指示し、二人で倉庫の扉を開いた。夢の結晶――フライヤーが露わになる。そこにが吹き付けた。ウィルバーは眉を顰めて、抗議の意を示しながら、フライヤーに近づく。
「その調子だ、よ。私を不機嫌にさせるほどの勢いを保て。もう少しなんだから」
「どうか吹き続けたまえ……」
 兄弟は互いに祈りながら、フライヤーを倉庫の外へと出した。そこで数分待つ。は止まない。むしろ強くなっていく。二人は視線を合わせると、力強くうなずいた。オービルは信号旗を掲げる。沿岸警備隊への合図だった。失敗を考えたくはないが、万が一の備えだ。引き続き、飛行準備を整えていると見学者が集まってくる。その内の一人がいった。
「そのデカブツをどうしようってんだい?」
 オービルは肩を竦める。代わりにウィルバーが大声で返答した。
「飛ばすのさ」
 質問した彼は驚愕した面持ちでかぶりを振ると、ほかの見学者と話し始めた。兄弟は笑い合う。彼――ダニエルズは戻ってきて、いった。
「とんでもないな。だが俺はこういう馬鹿げた奴らが好きだぜ」冗談をいっているように、苦笑する。
 オービルは腕を組み、それならばと三脚を携えた大判カメラが設置されている場所を指で示した。
「じゃあ記念すべき瞬間を写真に収める手伝いでもしてくれないかな?」
 どうせ撮れるのは無様な瞬間だけだろうと思いながら、ダニエルズは了承する。
 十時三十五分、エンジンとプロペラを回し、レールの上にフライヤーが載せられた。飛行準備が完了。オービルはフライヤーに搭乗する。ウィルバーが声を掛けた。
「今こそイカロスの意思を継ぐとき、だな。オービル」
 一時も忘れていなかったと続ける兄に、オービルは微笑んだ。やってみせるさ、兄さん。人類は兼ねてからの夢を手に入れる。僕たちの下には、偉大なる先人たちの犠牲があるんだ。
 腹這いになって操縦桿を握るオービル。それを確認したウィルバーは翼端を支える。エンジンが始動。着火タイミングを調整。オービルの心に細波が立つ。スタート。ウィルバーの介添えで滑らかに滑走していくフライヤー。いける。オービルは舌を噛む。四番目のレールに差し掛かった。いけ。いけ。いけ!
 ――兄の手を離れ、宙に浮いたフライヤー。起きるどよめき。ダニエルズは天啓に導かれるようにしてシャッターを切った。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.154 )
日時: 2012/02/18 01:37
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY

 テラス席に座る男は一旦本から視線を外した。誰かに呼ばれたような気がする。それは気のせいではないようだ。上物のスーツを着た男。宇宙船技術者の友人だ。彼に手を振りながら、向かいの席に腰を落ち着けるように促した。会釈しながら座る宇宙船技術者。彼はいう。
「良い天気だね」
 男は皮肉っぽく肩を竦めた。
「しかし寒すぎる」
 それから彼らは十数分も歓談すると、不意に話題は互いの近況に移る。宇宙船の打ち上げ。
「今度、ケネディ宇宙センターから新型が打ち出されるんだろ?」
「ああ、僕も関わった奴だ。火星の衛星軌道上に建設中のステーションに、物資を届けに行くのさ」
 男は神妙そうな表情を浮かべると、いう。
「馬鹿なやり方だよな」
「どうして?」
「いいか。人間ってのは重力に縛られてるんだ。いくら足掻こうが、地球で生まれて地球で死ぬのさ。百歩を譲って、ステーションが完成したとしよう。その先にいけるはずがない」
「悲観主義者だな、君は。イカロスの話を知っているかい?」
 男は軽くうなずくと、口角を歪めた。
「身の程知らずの馬鹿者さ」
「なるほど。そういう見方もできるな」
 技術者は肩を竦めると、話を続けた。
「ではライト兄弟は知っているか? 彼らの下にはにはイカロスやジョージ・ケイリー、空を飛ぶことを夢見たすべての人たちの犠牲があったんだ」
「それとこれとは話が違うよ。できっこない」
 男は唸りながら首を横へ振る。技術者はその様子を見ながら微笑んで、いった。
「違う。幾つもの失敗と犠牲を糧にして、人類は宇宙の向こうまで広がっていくだろうね。イカロスがあってその先にライト兄弟がいたように」
 まだ何か言おうとした男を尻目に、技術者は手元の腕時計を見る。そして立ち上がった。
「失礼。もう時間だ。また今度に、ね。こういう議論はまたあるさ。たぶん、二百年後にも。今度はなんだろうね? 銀河系から外へ行けるはずがないとか、話し合ってるのかもな」
 技術者は笑った。


  【了】

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.155 )
日時: 2012/02/18 01:43
名前: ランスキー◆RtaaCjFysY


【後書き】

二回目の参加となります。ランスキーです。この場でいうのは失礼だと承知しておりますが、レシラム様のご批評に対して感謝を。参考になりました。
そして今回の物語ですが……実はとある方に非常に有用な感想をいただきました。それを見て、自分の未熟さをまざまざと痛感させられたことは内緒です。ともかく、まだまだ精進、でしょうか。

あまり出来の良いものではありませんが、参加させていただいてありがとうございました。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.156 )
日時: 2012/02/24 21:36
名前: アビス

を切り裂く者~part1




ここは雲の国『クラウディ』。この空高く聳える国にも人は住んでいる。
ただ一つ、地上に住む人間と違うところがある。それは

「鷹輝(ようき)。水平飛行速度・250㎞」

「すっご~~~い!!鷹輝君!!」

ここに住む人間には皆、翼を持っているということ。
群島のように雲が連なるこの国では、空を飛べないとまともに移動も出来ないのである。

「250㎞だと!?くそ~~~~~!!さすがだな、鷹輝」

「そんなことないよ、鳶瑠(とびる)」

そしてここはクラウディにある学校の一つ『フライスカイ』。地上で言う高校に当たる部分。
そこで今、水平飛行速度の測定を行っていた。
今測定したのは鷹輝。この国の平均飛行速度は約150㎞。つまり鷹輝の出した記録は
この学校はおろか、国の中でも飛びぬけて速い飛行能力なのだ。
その上容姿端麗で気立てが良いため、女子は勿論、男子からも好かれている人物だ。

「昔に現れたって言う350㎞には適わないさ」

「350㎞ってあれか?伝説の『を切り裂く者(ジン)』か。
ばっかだな~~~~お前。そんな人間いるわけないだろ?今じゃ300㎞超えもいないんだぞ。
350なんて本当に唯の伝説だよ」

鷹輝の言葉に一人の鳶瑠と言われた生徒が言葉を投げかける。
そう、この国にはある伝説が伝わっていた。それは何時の時代かに現れたって言う伝説の人間・ジン。
この国を350㎞の速度で飛び回り、を裂くように翔けたと言う伝説だ。

「でも僕はいたと信じたいな」

「本当、もの好きだよなお前・・・・」

呆れ気味でため息を吐く鳶瑠。すると

「次!隼人(はやと)!!」

教師が次に計る生徒の名を呼ぶと、鳶瑠がお!と言った感じの顔をした。

「出た出た・・・・・・頑張れよーー!隼人!!」

「ぅるっせーーーー!!」

次に現れたのは男子生徒に応援をかける鳶瑠に、隼人は少々キレ気味に言い返す。
そして深呼吸をして皆より若干小さめの翼を羽ばたかせ始めた。だが、

「はい。隼人、測定不可能」

「うおおおいい!!諦めんの早すぎだろ教師!!」

羽ばたかせ始めて数秒で教師はそう言い、紙にペンを走らせた。
それに隼人が切れて即効で掴みかかる。

「こらぁ!教師の襟を掴むな!!」

「もう少し頑張らせてくれよぉ!」

「そう言って何時もお前飛べんだろ!『翼止病』のかかったその翼で
どうやって飛ぶって言うんだ!?」

翼止病とは心身の問題で、体の成長と共に大きくなるはずの翼の成長が止まってしまう病気だ。
隼人は子どもの時にその病気にかかってしまい、飛べなくなってしまったのだ。

「だったら、測定の時に俺の名を呼ぶんじゃねぇよ!!」

「呼ばんとお前、「俺の名を飛ばしてんじゃねぇ!!」って切れるだろう!!
それに・・・・あれだ。ノリってやつも大切だろ?」

「ノリで人の傷口抉ってんじゃねぇぇぇぇぇ!!!!」

――――――――――――――――――――

「ったく、たの糞教師・・・・・。人が傷付かねぇと思って、言いたい放題言いやがって!」

学校が終わり放課後。鷹輝、鳶瑠、隼人は並んで学校を後にしていた。

「大丈夫だ隼人!!お前のその誰に何を言われても折れない精神の方が、俺は尊敬するぞ」

「褒め言葉使って貶してじゃねぇよ!!」

「ばれた?」

「ばればれだ!ドアホ!」

「止めなよ二人とも」

二人が何時ものように言い合うのを、鷹輝は微笑ましい顔を浮かべながらそれを止める。

「はいはい。それじゃあそろそろ行こうぜ。またな隼人」

「またね」

「おう!またな!」

二人は隼人に挨拶すると翼を広げ、空へと飛んで行った。それを見送ってっから隼人は一人歩き出した。
着いたのは土地雲同士を繋ぐリフト。主に隼人のような理由で飛べない人間のために置かれている移動手段だ。
移動スピードが遅い上、目的の場所に辿りつくのに幾つもリフトに乗り替えなくてはならないと面倒だが、
隼人はもう慣れっこのようで当たり前にリフトに脚を運ぶ。すると、

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.157 )
日時: 2012/02/24 21:37
名前: アビス

を切り裂く者~part2




「お~~~い!!隼人~~~~」

「燕(つばめ)」

リフトの移動中、空から名を呼ばれ顔を向けると一人の女子生徒がこちらに手を振っていた。
その女子生徒は隼人の傍まで滑降すると、一緒のリフトに降り立った。

「今日も絶好調だったね」

「何の話してんだてめ~~~~」

彼女は燕。隼人の幼馴染にあたる人物で、運動も勉強もそこそこだが、
人懐っこく愛嬌ある性格で皆に親しまれる人気者。

「あっはは。そんなに怒らないでよ、隼人~~~~」

「あぶねぇ!!狭ぇんだからベタベタくっつくな!」

屈託ない笑顔で隼人の腕にしがみ付く燕。
それにもう隼人は慣れっこの様子で軽くあしらって離れさせる。
それに燕が膨れっ面になって言った。

「ぶ~~~~。いーじゃんかよ、ちょっとぐらい。それと、何時も言ってるでしょ~~~!
私といる時ぐらい『声を張り上げなくても良い』って」

「・・・・・・うるせぇ。俺の勝手だろ」

燕の意味あり気な言葉に隼人は頭を掻き、答えずらそうにそう言った。
それに燕が仕様がないな、と言った感じでため息を吐く。
それから暫くすると、リフトが到着した。

「よっと。それじゃあ、はいこれ!何時ものだよ」

リフトに降りた燕は振り返ると隼人にある物を差し出した。それは『活翼剤』。
隼人が子どもの時にかかった翼止病。
その病気を治すには翼の細胞を無理にでも活性させる必要がある。それを可能にするのが活翼剤だ。
本来なら週に一回投与を一年も続ければ治るのだが、隼人は一向に治らないのだ。

それでも燕は実家が薬局ということもあり、週に一回はこうやって隼人に薬を渡している。

「・・・・・いらねぇって言ってんだろ。もう俺の翼は飛べねぇんだ」

「そんなんじゃ、治るものも治らないよ。病は気からって言うじゃん。じゃね」

隼人の手に無理矢理薬を押しつけて、燕はその場を飛び去った。
一人残された隼人は薬を見つめ、強く拳を握ると呟いた。

「・・・・・病気で飛べねぇんじゃねぇよ。そんなもん、とっくの昔に治ってるよ」

どこか悲しげにそう呟くと、隼人は少し重い足取りで家へと帰って行った。
それに合せるように空もどんよりとしていった。

――――――――――次の日――――――――――

―ビュオオォォォォォオ!!!!―

空は荒れ模様。年に数回起きる自然現象『暴(ストーム)』。
この時は国全土で飛行禁止令が出る。
が吹き荒むこの状態でもし空を飛んだら、忽ち体の自由は奪われに身を任せるほか無くなるからだ。

「ま、隼人には関係ねぇことだよなぁ」

「はったおすぞ、鳶瑠!」

こんな時でも普段通りおちゃらける隼人と鳶瑠。

「ほらほら、そろそろチャイムが鳴るよ」

―キーーンコーーンカーーンコーーン!―

「おーう!席に着けおめぇら」

チャイムと同時に教室に入ってくる先生。教卓の前に立つと、ざっと全体を見渡した。

「・・・・・いねぇのは燕か。隼人、何か聞いてるか?」

「何も聞いてねぇよ」

「そうか・・・・・・。少し待ってろおめぇら。今確認とってくる」

こんな時に欠席がいるのはやはり心に不安がよぎる。
先生は少し急ぎ足気味で教室を出て行った。すると

『緊急速報!緊急速報!!現在R14地点で暴の被害に遭う女性を発見!!』

「「「!!!」」」

国中に響く緊急警報。それにクラスの皆がざわめき出した。

『制服を着用。フライスカイの生徒と判明。救急隊はすぐさま出動し、
スカイフライの関係者は至急・・・・・』

「あんの馬鹿・・・・・」

「おい、隼人!!」

警報を聞いて、一人呟くと突然教室を飛び出していく隼人。鳶瑠が声を掛けるが、
それも耳に入らないと言った感じで走り去る。

「僕たちも行くよ、鳶瑠!」

「しゃぁねぇな!」

その後を追って走る鷹輝と鳶瑠。校舎を出ると凄まじい突が三人を襲った。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.158 )
日時: 2012/02/19 00:21
名前: アビス

を切り裂く者~part3




「くっ!!今年の暴は例年に無い強さだね」

「そんなことはどうでもいいだろうが!行くぞ!!」

そこからさらに走り続けること五分。場所はF41地点。ここは土地雲の端の方。
そこにはR14地点付近へと行けるリフトがあるのだが、そこで鳶瑠が叫んだ。

「おい!!あれ!!」

鳶瑠が斜め下の方を指差す。そこにはに煽られて成す術なく飛来する燕の姿があった。
遠くて豆粒くらいの大きさだが、ぐったりしているのが見られた。

「あんなじゃあ、もう長くは持たないぜ」

「まだ救急隊の姿も見えない。このままじゃ燕ちゃんが・・・・・。
こうなったら、僕が・・・・・」

「馬鹿!このだぞ!?いくら速く飛べようが関係ねぇよ。・・・・っておい!隼人!!」

二人がどうしようがと言いあっている内に、隼人は土地雲から飛び出していってしまった。
二人が心配そうに覗き込む中、隼人は冷静に今の状況を把握していた。

(ったく、馬鹿だな俺は。飛べねぇのに『また』こんなに出しゃばっちまった。
これじゃあ『あの時』と同じじゃねぇか・・・・・)

隼人は体を強に蝕まれながらも目を閉じ、昔の事を思い出した。
それは隼人が翼止病に掛った時の事。

――――――――――――――――――――

「どう燕ちゃん?凄いでしょ!?」

「うん!凄い凄い!!」

隼人がまだ幼稚園の時は他の子たちよりも優れた飛行能力を持ちえていて、
それをよく先生たちや同じ生徒たちからも沢山褒めてもらっていた。
だから隼人は自分は凄い人なんだと自負していた。

だが、それを改めたのは今日のような暴の日。
隼人は燕を驚かせようと思って外へ出た。出てはいけないと言われてはいたが、
自分は大丈夫!という気持ちを疑わず、暴の中翼を広げ飛ぼうとした。だが・・・・

「うわああああああ!!」

で体の自由は効かない。どんどん体力が奪われていく。
結局自分はまだ子どもで、先生たちもただ自分を喜ばせる為に褒めているだけだと思い知らされた。
その後の事は覚えていない。気付いた時は病院のベットの上。
羽がぼろぼろになり翼止病にかかってしまったのだ。

だが、それだけじゃない。隼人の中で飛ぶことがトラウマになってしまい、
それが翼に影響して翼止病が治っても、翼は縮こまって飛べないままになってしまった。
そんな情けない自分を隠そうと、今まで声を張り強がってきた。
見兼ねた燕に注意されても直すこともせず、飛べないことも翼止病のせいにし、
今までずっとそうやって生きてきた。

――――――――――――――――――――

「・・・・・・・・・」

ゆっくりと目を開ける隼人。そして自分の翼を見つめる。
縮こまった小さな翼。羽ばたこうにも自分一人支えられない頼りない翼。
それを見て隼人は苛立ちに歯を食いしばる。

「ふっざけんなよ・・・・・。態度ばっかりでかくなりやがって。
心の方は小せぇままじゃねぇか・・・・・・」

自分にぶつくさと文句を垂れる隼人。だが、そんなことは今までもしてきたこと。
今しなきゃならないことはそんなことではない。

「こんな時ぐらい!!しゃきっとしやがれぇ!!!!」

―バサッ!!!―

「!!隼人の翼が・・・・・」

「・・・・・でかくなりやがった」

今まで人よりも小さかった隼人の翼が人の倍近くまで大きく広がった。
けどこの突の中、翼を広げるのは自殺行為だ。大きいと言うことはそれだけの抵抗を受けてしまう。

だが、隼人はその大きな翼を羽ばたかせると、に逆らって体が上に浮かせる。
そしてこの暴の中、驚異的なスピードで燕のいる方向へと飛行し始めた。
をものともせずに飛行する姿はまるで・・・・

を切り裂く者・・・・・・」

隼人の目に今まで豆粒くらい小さかった燕の姿がどんどんでかくなり、
遂にその体を受け止めることが出来た隼人。

「う・・・・・隼人?」

燕はかなり弱っていたが、意識はあるようで小さく呟いた。

「迷惑かけんじゃねぇよ。アホ・・・・」

笑みを浮かべながらそう言い放つ隼人に、燕も軽く笑みを返すと気を失ってしまった。
その後、隼人はそのまま直ぐに燕を病院へと運び込んだ。
幸い、燕はに体力を奪われていただけで、後に後遺症が残るようなことは無いだそうだった。

Re: 第三回SS大会小説投票期間! 2/5~2/19まで! ( No.159 )
日時: 2012/02/19 00:22
名前: アビス

を切り裂く者~part4




数日後。目を覚まし順調に回復に向かう燕。そこに三人が見舞いにやってきた。

「もう大丈夫そうだな。燕」

「うん。もうばっちり!!明後日には退院出来るって、お医者さんが言ってたよ」

「それは良かったね、燕ちゃん」

元気に言葉を交わせると言うことは本当に回復をしているのだろう。
隼人もそれに安堵の息を吐く。

「それにしてもよ」

と、そこで話を変えてきたのは鳶瑠だった。

「何でお前、あの日に飛んだんだ?飛行禁止令ぐらい分かってんだろう?」

「あ・・・ははぁ・・・・。大事なもの手放しちゃって、つい・・・・・」

鳶瑠の質問に苦笑いを浮かべる燕。その手には小さな羽が握られていた。

「それがそう?羽・・・・・みたいだけど誰のなの?」

「これは・・・・・」

燕はそこで言葉を切ると、少し照れ臭そうに隼人の方を見た。

「は?俺の?」

「そうだよ。覚えてないの?」

そう言われ、考え出した隼人。少ししてあっ、と思いだした顔をした。
確かに隼人は昔、燕に自分の翼の羽を渡した。それを思い出して、隼人は少し困った表情をした。
当時渡した時、隼人は知らなかったのだが、その行為はある特別な意味があったのだ。

「え!?じゃあ、おめぇら結婚する仲なのか!?」

「わ~お」

鳶瑠が目を丸くして言った。それに鷹輝がにやけた表情で答えた。
つまりはそう言うことなのだ。昔から男性が女性に自分の翼の羽を渡すということは
プロポーズと一緒の意味があり、女性はそれを受け取ると言うことはそれを承諾したということなのだ。

「どうなんだよ、隼人?」

鳶瑠が肘で隼人を突っつく。それに隼人は顔を少し赤らめて言った。

「ちょっと待てぇ!当時まだ子どもで俺はそんな意味があるなんて知らなかったんだ!!」

「私は知ってたよ」

「な・・・・・・」

燕の予想外の発言に言葉を詰まらせる。知ってて受け取ったってことはつまり・・・・・。

「隼人。女性にここまで言わせといて、今更お茶を濁すような事は言わないよね?」

「よ・・・鷹輝てめぇ!!」

鷹輝の言葉に隼人が噛み付く。

「そうだぞそうだぞ。折角だからここで答え出しちゃえよ」

「私も聞きたいな」

「~~~~~~~~~!!」

鷹輝に加え、鳶瑠も燕さえも話に乗ってきて、もう完全にこの流れが断ち切れない状態になってしまった。
それに隼人はこうなれば!、と覚悟を決めた。

「わぷっ!!」

「何時までも病院で騒いでるわけにもいかないしな。俺は帰るぜ、じゃぁな」

それったらしい言い訳をつけ、燕をに布団を被せると窓から飛び去って行ってしまった。

「逃げたね」

「ああ、逃げたな。あれはもう男じゃないな」

二人がうんうん、と頷きながら隼人の駄目っぷりを噛み締める。それに燕が布団から出てくると二人に言った。

「呑気なこと言ってないで追いかけてよ!!」

「無理だよ。今の隼人の水平飛行速度・355㎞だよ?いくら僕でも追いつけないよ」

仕様がない、と鷹輝はため息を吐くと。鳶瑠と一緒に二人も病室から出て行った。
一人取り残された燕は頬を膨らませていた。

「も~~~~~!隼人の馬鹿・・・・・・・ん?」

と、そこで布団の中に何かあるのを感じた。それを手探りで取ると、目の前に持っていった。
それは羽だった。通常よりも大きな羽が開いている窓から来るにユラユラ揺れている。
それを見て燕が幸せそうに微笑んで言った。

「・・・・・相変わらず素直じゃないなぁ、隼人は」

そう言ってその羽根を大事そうに握りしめた。
その瞳はすでに見えない彼方にいる隼人へと向けられていた。




~fin~

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