雑談掲示板

第十一回SS大会 お題「無」 結果発表
日時: 2014/02/27 20:57
名前: 死(元猫 ◆GaDW7qeIec
参照: http://www.kakiko.info/bbs/index.cgi?mode=view&no=16247

第十一回SS大会 お題「無」
>>523に第十一回大会結果紹介

始めましての方は、初めまして! お久し振りの方達はお久しぶり♪
何番煎じだよとか主が一番分っているので言わないで(汗
余りに批判が強ければ、削除依頼しますので!

題名の通りSSを掲載しあう感じです。
一大会毎にお題を主(猫)が決めますので皆様は御題にそったSSを投稿して下さい♪
基本的に文字数制限などはなしで小説の投稿の期間は、お題発表から大体一ヶ月とさせて貰います♪
そして、それからニ週間位投票期間を設けたいと思います。
なお、SSには夫々、題名を付けて下さい。題名は、他の人のと被らないように注意ください。
 

投票について変更させて貰います。
気に入った作品を三つ選んで題名でも作者名でも良いので書いて下さい♪
それだけでOKです^^

では、沢山の作品待ってます!
宜しくお願いします。

意味がわからないという方は、私にお聞き願います♪
尚、主も時々、投稿すると思います。
最後に、他者の評価に、波を立てたりしないように!



~今迄の質問に対する答え~

・文字数は特に決まっていません。 
三百文字とかの短い文章でも物語の体をなしていればOKです。 
また、二万とか三万位とかの長さの文章でもOKですよ^^
・評価のときは、自分の小説には原則投票しないで下さい。
・一大会で一人がエントリーできるのは一作品だけです。書き直しとか物語を完全に書き直すとかはOKですよ?

――――連絡欄――――

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_____報告
第四回大会より投票の仕方を変えました。改めて宜しくお願いします。

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Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.354 )
日時: 2012/08/24 12:12
名前: 暁壱◆BY08ly9K1s
参照: http://www.youtube.com/watch?v=aZSIN0GcwAs


 猫>お久しぶりです! …久しぶりの登場で行き成り小説書くのもどうかと思うのですが、書いちゃいます(テヘw

 
 「赤色の世界。」

 今日も世界はいつもと変わらない日になるはずだったんだ。
 皆と笑って、泣いて、怒って、今日を終えるはずだったんだ。
 でも今日は何かが違った。いつも怒らないあの子が怒り
 いつも泣かないあの子が泣いた。
 学校のチャイムが壊れ、チャイム音が学校中に鳴り響く。
 
 あの子が怒ると雨が降り、あの子が泣くと皆が叫び、チャイム音の音で人々は暴れ出した。
 

 学校の中の人々は酷い争いをし始め、教室の、廊下の、タイルを赤で染めていく。
 
 あの子はハサミで、あの子はカッターで、あの子は包丁で、あの子は手で、あの子は縄で、あの子は椅子で、人を殺してく。

 
 赤にまみれた教室は強烈な腐臭を放ち、人に快感を与える。

 
 あの子が笑い、あの子が泣きやみ、チャイムが鳴りやむと
 人は、壊れ、崩れ、朽ち果てていく。

 

 「あ―――、今日は楽しかった。 今度はもっと楽しませてね♪」


 

 

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.355 )
日時: 2012/08/24 13:25
名前: 瑠奈
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=29645

書かして頂いて、ありがとうございました!

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.356 )
日時: 2012/08/24 18:26
名前: 瑚雲◆6leuycUnLw

TITLE:赤い歌


 「赤い赤い 小鳥 小さな翼で 赤い空を飛ぶの」



 気のせいだろうか。 
 僕の耳には声が聴こえてきた。
 とても小さく、でも澄んだ綺麗な歌声が。

 「……」

 ここは、森の奥。
 ある家の土地で、関係者以外は立ち入り禁止だ。
 でも僕はこの歌につられて、ついつい入ってしまった。

 その声の主は、大きな木の下で歌っていた。

 「や、やぁ。君は、何を歌っているの?」

 とても幼く、僕より5つは年下だろう彼女は、こちらを向いた。
 綺麗な金髪で、腰辺りまである。然し彼女は、布で目を覆っていた。
 
 「こんにちわ。どうしてここに?」
 「え……あの……歌に、つられて…」

 凄く、綺麗な声だった。彼女はくすくすと笑って、そう、と呟いた。
 僕の方は、とてもはっきりとした言葉が出てこなくて。
 どうしても、彼女の瞳を隠す布が気になってしまう。

 「あの……君の、」
 「はい?」
 「君の目……何で布で覆われているの?」

 彼女の口元が、すっと元に戻る。
 そして目の前に広がる湖へ顔を動かし、優しく眺めた。

 「私の瞳は……あまり人に見えてはいけないの……とても不気味に見えるらしいから……」
 「不気味?」
 「そう……とってもとっても“真っ赤”なの」

 呪眼。
 人々はその瞳をそう伝えてきたらしい。
 どうしても信じられない。
 そんなものが、この世界に存在するのだろうか。

 「……さっきの、歌は?」
 「あれは……私が作ったの……」
 「“赤い小鳥”とか“赤い空”って、いうのは……?」

 恐る恐るそう、聞いてみた。
 でも彼女は、くすくすと笑い始めた。

 「私の瞳ではね……全て赤く見えてしまうの……」
 「……!?」
 「だから……本当の色が分からないの」

 彼女は金髪の髪を揺らして、胸元に手を当てる。
 そしてまた、歌い始めた。
 全ての景色が真っ赤に見える彼女にとって
 あの白い雲も、あの青い湖も、あの深緑の木々も、
 全てが全て、真っ赤に見えてしまう。

 一色の景色というのは、どういうものなんだろう。

 「だから……瞳を隠してるんだね……」
 「そう……だって見たってしょうがないもの……」

 彼女は、また笑う。
 どういうに笑っているのかも知らず。
 
 「僕……ここにいても、良いかな?」
 「構わないけれど……私は歌う事しか知らないの、それでも良い?」
 「うん、僕が、いたいだけ……」

 彼女は歌い出す。
 赤い歌を、歌い出す。

 「赤い赤い こと―――」
 「赤じゃ、ないよ」

 びくり、と。
 彼女は歌うのを止める。
 そして僕は、空を見上げた。

 「ここにいる小鳥はね、皆黄土色っていって、君の髪色に近い色をしてるんだ」
 「私の……髪色?」
 「そう。そして空もね、青って言って、とても綺麗な色をしているし、この森は……」

 僕は、この場から見える全ての色を、教えてあげた。
 その度に、彼女はうんうんと頷いてくれて、また笑ってくれた。
 彼女の知らない色を、知らない事を、教えてあげよう。
 何故かそういう気持ちになったんだ。


 「そう、そうなの……ありがとう、名もしらない少年君」
 「い、いやぁ……」
 「忘れないよ、貴方の“色”も」

 最後に、そうとだけ彼女は言い残した。
 そしてその笑顔を、僕は永遠に忘れないだろう。
 空よりずっと澄んでいて、森よりずっと深くて、太陽より暖かなその声を。

 そうして彼女は、自分にとっての赤い森へと、姿を消した。


 *END*


 ちょっと意味不明な終わり方ですね;;
 不思議系っぽくなってるかなーとか思いつつ。
 兎に角、今回も考えるのが楽しいお題でしたーっ!

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.357 )
日時: 2012/08/28 06:30
名前: 山田威刻◆YyoUezf27o

はじめまして。小説初心者で、スレッドをたてる自信がないんで、こちらに参加させていただきます。

【とにかく、眠れ】

 赤い。人間は、赤い。俺の視界は正常だし、世界の色だっておかしくない。だから、人間の肌が肌色をしていて、人間の髪が黒や金やその他もろもろ、カラフルだってこともわかっている。それでも、人間は赤い。赤い赤い赤い。彼らの、アイツの、俺の肌の下には、赤い血液が流れている。赤い。だから俺は、人間は赤色だと表現する。人間は、血液と臓器を入れるダッフルバック……ズタ袋にすぎない。感情、いわゆる心なんていうのは、神サマが気まぐれにつけただけ。愛だの恋だの友情だの言っている奴等は、神サマの手の上で見事転がされている哀れな子羊だ。どうして神サマは、こうも無駄な生物もとい二酸化炭素製造機を作り出したのか。暇潰し程度のことだろう。とにかく、あんな職務怠慢でクレイジーな神サマの思い通りになんて俺はならない。真っ赤な血の流れる真っ赤な人間を、今日も哀れな目で見つめながら、俺は歩く。
 真っ昼間の大通り。真っ赤な馬鹿どもは、俺を見るなり悲鳴をあげて走り去る。きゃーきゃーわーわーオユルシヲタスケテぎゃーぎゃーワタシガナニヲシタッテイウンダうわーうわー!! うるさいと思う。ゆっくりゆっくりと前に進む俺の目の前で転んだ哀れなズタ袋は、その体内から溢れる赤色に涙しながら叫ぶ。ビークワイアット!! 静かにしてくれよ。そう思って首を振る。ただし口に出るのは以下の言葉。「黙れズタ袋。てめえは悪いことなんてしてないさ。だからこそ今、あのクソみてぇな神サマから解放してやるんだろうがよお!!」ズタ袋、唖然。俺の言葉が理解できていないのかもしれない。あぁ、やはりお前も真っ赤なズタ袋か、と哀れむ。哀れなズタ袋には救済を与えなくてはならない。さあ、今救ってやるからな。降り下ろす斧。短い悲鳴と共に散る赤色。真夏のアスファルトに蒸発して消えていく。イエスオッケー、任務完了だ。これで彼は神サマから解放されてズタ袋を、めでたく卒業するだろう。おめでとう、おめでとう! 歓喜のあまり手を叩くが、ともに祝福してくれる者はいない。あぁ残念だ。
 ため息。もう少しズタ袋を救ってやろうかと思ったが、一日に10人も解放するとさすがに疲れる。ハイパーベンチレイション状態。早く帰って寝よう。明日も仕事があるんだ。【○●町連続殺人事件、犯人を探しています】ふと目に留まった電柱の貼り紙。○●町は、少し前まで住んでいたがそんな物騒な感じはなかったのだが。何が起こるかはわからないもんだな。しかしよく読めばどうやら、犯人は俺と同じく斧を使っているらしい。やれやれ、困った奴だ。斧は殺害の道具じゃねえぜ? ズタ袋を救うためのもんだ。やれやれ。まあとにかく、今は眠ろう。疲れた。真っ赤なズタ袋の掃除は、また明日でいい。

⇔⇔
書き慣れないんで、読みにくかったらサーセン。お題に添えたかも怪しいですが、目を通してもらえたら嬉しい。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.358 )
日時: 2012/08/26 20:40
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

猫こんばんは^^

赤がテーマの作品、明日なんとか整いそうです^^
頑張りますー^^

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.359 )
日時: 2012/08/31 17:06
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

1>

 人の脳の中には“レッドゾーン”と“ブルーゾーン”が存在しているんだって。
 それは別の言葉で“本能”と“理性”と言うが。
 ――――そこには住人が住んでいる……という話、がもしもあったとしたら信じるかな? 信じないかな?
 もし“そんな者”が本当に住んでいるのだとしたら……面白いよね!?


     ☆     ★     ☆


「フン! 何いつまでもモジモジしてんだよ、“実”。……んん? 好きなんだろ? サッサとヤッちゃえばいいじゃねぇか!」
「キャーッ! やだレッド! 何処から湧いてきたのか分かんないけど、あんたこそ何考えてるのよッ! バカじゃないの!? エッチ!!」
「黙れアイル! 邪魔だ、引っ込みやがれ! あんまり騒ぐと××するぞ!!」
「……ッ!」


 ああ…… 今日もまた僕の中で、赤(レッドゾーン)の住人“レッド”(♂)と、青(ブルーゾーン)の住人“アイル”(♀)が戦っている……。 はたから見れば痴話喧嘩にしか見えないかもだが。 仲がいいのか悪いのか……正直言って飼い主(?)の僕にも分からない。
 ……って、他人事じゃないんだけれどね。
 だって……毎度の様に彼らが戦う理由は僕の事でなのだから。
 レッドがああやって怒るのもムリないんだ。 あまりにも情けなさすぎる僕だから……。


 タイトル『実れ! 愛の応援団!(混ぜるとむらさき)』


 はぁ…… って、今日だけで一体何度目のため息だ。
 俺の名はレッド。 実がこの世に生を受けた瞬間から彼の中でずっと一緒に過ごしてきた住人だ。 俺にとって迷惑極まりない“おまけ”、アイルももれなく付いてきたんだけどな……。 どうせ彼女も俺と同じ事思ってンだろうけどな。
 実のヤツ、マジで情けねぇヤローなんだ。 “情けない”って自覚してンくせに、変わろうとかして努力しねぇトコが余計に情けねぇんだ。 だってよ……“女”にいじめられっぱなしなんだぜ? 女にだぜ? 信じられねぇよな!?
 男ならば女なんて押し倒して、服ひんむいて、力ずくで……
「バカ!!」
(痛ってぇ……)
 ……ったく! 誰だよ……って、そういや俺の他にはコイツしかいなかった。
 俺のデリケートな背中を平手……じゃなくって拳で思いっ切り叩きやがったな、アイルのやつめ……。
 白い生地に青い水玉模様が散りばめられた大きなリボンでポニーテールにして括った長い髪。
 コレは実の隠れた趣味なのだろうか、ふくよかな胸の部分に青い糸で“アイル”と書かれた刺繍入りの純白の半袖の体操服に白い太ももをあらわにした紺色のブルマー姿……
 黙っていれば結構可愛い女なのに……ん? かわいい!? なっ、何言ってンだ、俺っ……!
「もうっ!! レッドったら!
 実ちゃんはねぇ、薫ちゃんの事が好きなの! 愛してんの! ……だからやられてもやり返さないのよ! ほーんと、あんたってば鈍感なんだから!
 それに好きだから押し倒すとか、実ちゃんをあんたなんかと一緒にしないでよ! バカッ!!」
 アイルの奴は今度は俺の後頭部をまたもや握り拳で殴ってきやがった。
 女の分際で…… その細い腕にどんだけの力を秘めているんだ……。 油断した俺は尻もちをついてしまった。
(くっそぅ…… どーゆーつもりか知らねーが、この女……いつか絶対××シてやるからな……)


 セットに30分以上手間暇かけてツンツンにキメたヘアスタイルを手に付けた唾で直しながら俺は立ち上がった。
 まだケツがジンジンしてやがる。 こんな乱暴な女が本当にブルーゾーン(安全地帯)の住人で許されるのだろうか。 コレは彼女と戦うたびに段々と積り続ける疑惑問題。
 はあ…… ヘアスタイルだけじゃねぇや…… 俺の自慢の暗黒マントまでも無惨に汚れちまった……


2>に続きます。 

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.360 )
日時: 2012/08/27 16:08
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

2>

 ソレは置いといて……と。
 アイルの言ってた通り、厄介な事に実はいじめている側、“薫”とやらいう名の色黒で、長身で、たくましい、さらに現在、彼等の通う中学の柔道部の部長を務めているという女に恋心を抱いているのだ。
 大好きな薫のカラダを抱こうともしないで、いじめられながら自分の恋心を胸中にひっそりと抱いているだけで満足だなんて、ハッ! よくそんなんで我慢ができているもんだ。
 やられても快感……とか、もしかして……もしかすると実のやつはM気質なのかもしれねぇ。
 Mのヤツの心は俺には全く読めねぇ。 もし俺だったらそんな女、押し倒して、力ずくで……
 ――――いけね。 アイルがすげー怖ぇ顔してこっち睨んでるぞ……


 ――――何度俺は実に“いけ! 押せ! 系”の恋愛アドバイスをし続けてきたことか……。
 黒ぶち眼鏡、七三分けヘアスタイルな“もやし男”な実だって一応は男なんだから、好きな女を“抱きたい”とか“キスしたい”とかいう願望はあるにはあるっちゅーらしいが。 ああ、ソレはこの前無理矢理しつこく聞き出して吐かせたから事実。 ただ、ナヨナヨしてるあいつの事だからなかなか行動に移せないだけで……。 全く情けない話だよな……
 もし俺だったら、チャンスを見つけて……じゃないや、強引に作ってまででもして、そんな女、押し倒して、力ずくで……
 ――――うっわ。 やっべ! アイルがどこから持ち出してきたのか鉄製棘付きナックルを装着しだしたからコレ以上言うのはやめ……


「レッド、決めたよ、僕。 今日“やる”から……。 薫ちゃんに想いをぶつけてみる……」


 今まではアイルの意見にばかり従っていた実が、今日初めて俺の意見に同意した。
 ブルーゾーンに留まり、いじめに耐え抜き続けてきた実がついに俺のいるレッドゾーンに足を踏み入れてきたのだ。
 ついにやる気になったのか…… ついに“男”になるってワケか……
「焦らないでね、実ちゃん。相手は女の子なんだよ、お手柔らかにね……」
 実には器用に声のトーンまで変えやがって……俺に対してとは全く違う態度のアイルに、メガネを外して、七三に分けたヘアスタイルを両手でクシャクシャに乱した彼は優しくニッコリと微笑みかけた。
 一瞬でもう“もやし”なんかじゃねぇ……マジで“カッコいい男”に変身して――――
「実ちゃん…… 素敵……」
 右手に棘ナックルを着けたまま俺の隣でうっとりした顔をしている“乙女”アイル。
 なんだか分かんねぇけど、胸がモヤモヤする……。
 俺は実にジェラシーをしているのだろうか。
 俺になんかに一度も見せた事もない、頬を赤らめたアイルの顔が妙に許せない――――
 アイルが実の背中を押さないでずっと近くで慰め続けていた理由はもしかして……


「実のやつ…… うまくいくといいなぁ、アイル」


 モヤついた気持ちのまま引きつった顔でアイルの肩に置いた俺の手を彼女は払い除けやがった。
 俺とアイル――――
 性格は明らかに正反対。
 俺が彼女のタイプではない事は確実。
 二人は棲む世界が違うから永遠に結ばれちゃいけない……運命。
 俺もアイルも実のためだけに……実の事だけを考えて生きていかなくてはいけない。 彼の中の住人なのだから。


 頑張れ、実。 アイルと一緒におまえの中で応援しているからな――――


3>に続きます。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.361 )
日時: 2012/08/27 16:08
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

3>

 ――――その後、実は思いきって薫に愛の告白をして奇跡のハッピーエンドとなった。
 いつも会う度に実の事をいじめていたゴリラ……じゃねえ、薫が、実の告白を受けた途端、声をあげて大泣きしたのには、俺もアイルも本気で驚いた。
 正直、こんなにドラマチックな展開になるなんか思わなかったし……。 実のヤツは結構溜まってたのかもしれない。 勢いあまって薫のくちびるにキスまでしやがったんだ。
 あのヒョロい実と色黒ボーイッシュな薫。
 はたから見れば思わずプッ! と吹き出しちまうくらいの不釣り合いカップルだ。


「手、繋いでも いい?」
「う、うん…… いい よ……」
 なんだかんだ言ってもぎこちなさを堂々と俺達に見せ付けてきやがる甘酸っぱカップルになりやがった。 おかげでこっちは背中が痒くて痒くてたまらねぇ。
 薫が実をいじめていた理由は“好き”の裏返しだったらしい。 全くじれったい。 女っちゅーモンは分かんねぇ。
 好きなら『好きなのッ!』って、ガバアッ! とイッちゃえばい-のによ……。
 俺なら常時“どっからでもかかってこいやァ!状態”で――――


 受け身でいるばっかりじゃ……だめだよな…… 特に俺みたいな男は……
 実…… おまえの様にできるかな…… 俺も――――


 俺の方に背を向けて涙をすすっているアイルの傍にゆっくりと歩み寄った。
 こいつは実に恋をしていた……。 俺がおまえにしていた様に……。
 恋する相手がそれぞれ擦れ違ってはいたけれど、永遠に結ばれないという運命に逆らっていたのは同じ――――
 こいつも俺も……初めての失恋を実感しているんだ――――


 俺の体の奥の方から何かがブワッとこみ上げてきた。
 気が付くと俺は――――彼女の手を握っていた。
 俺はずっと前からズボンのポケットに忍ばせていた銀の指輪(リング)を彼女の細い指にくぐらせた。


「ナックルなんかより……こっちの方が似合うぜ……」


 ずっと彼女に渡したかったこの言葉。
 アイルの瞳の色と同じ色をした青色の宝石がキラリと光る。


 アイル……。
 本当は俺、おまえと戦いたくはないんだ。
 本当はおまえを……押し倒して、力ずくで……××を……


《おわり》

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/1まで ( No.362 )
日時: 2012/08/31 17:02
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

こんにちは^^

えっと……あげときますね……
お題『赤』楽しかったです^^

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.363 )
日時: 2012/09/01 22:19
名前: 良スレ

良スレッドなのであげ

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.364 )
日時: 2012/09/03 00:54
名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=561

『大好きなあなたへ』

 溶けてしまいそうだった。
 愛してるといわれて、本当に幸せだった。
 肌を重ねて、愛を確かめて。
 そして。
 私はシャワーを浴びている。
 肌を重ねたのは、初めてだった。
 太ももからつうっと、一筋の紅。
 けれどそれも、もう流されていって。
 体の火照りは、シャワーで冷やされて。

 きゅっとシャワーの栓を閉めた。
 幸せを永遠にするために、私は心に決めた。
 バスタオルを纏い、そして、新しい下着を身に着けて。
 クローゼットから、服を取り出した。
 本来ならば、私はこれから『仕事』に行かなきゃならない。
 けれど……。
 私の心は、想いは止まらない。
 大好きな、あの人の下へ。
 服を着て、駆け出した。
 彼のいる部屋へと。
 駆け抜ける間、人々が、私の姿を見て驚いていたが、かまわない。
 今日は特別な日なのだから。

 寝ている人の部屋に入り込むことは、私にとって簡単なことだった。
 けれど、そうしなかったのは、起きているあの人に会いたかったから。
 玄関の扉の前でチャイムを鳴らす。
「……どなたですかぁー」
 眠そうなあの人の声が聞こえた。
「メリークリスマス! プレゼントを持ってきましたよ」
「ふへ?」
 あの人が驚いている。
 そうだろう、なにせ、私は『サンタ』なのだから。
 ちょっぴりセクシーなサンタ服だけど、それは紛れもなく、サンタ服。
「私、あなたと一緒にいたいの!」
 彼の胸に飛び込んで、あの人の顔を覗き込む。
「あの話、本当だったんだ」
 驚いていたけれど、私を逆に抱きしめてくれた。
「僕のサンタさん、よければ、ウチでクリスマスをやりませんか?」
「はい、喜んで」
 幸せなときは続くのだ。
 これからもずっとずっと……。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.365 )
日時: 2012/09/01 23:34
名前: 秋原かざや◆FqvuKYl6F6
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=561

●あとがき
 ちょっぴり大人なサンタ話にしてみました。
 まあ、かなり季節先取りですけど(笑)。
 楽しんでいただけると幸いです♪

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.366 )
日時: 2012/09/01 23:35
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』壱




愛していたの。
ええ、愛していたのよ?
好きだったの。すごくすごく好きだったの。
ずっとずっと好きだったのよ?
ええ、誰にも負けないくらい好きだったの。
どれくらい好きか? すごくよ。もう言葉じゃ言い表せないほどに。
天地引っくり返っても、世界が終っちゃう日が来たとしても。それでも揺るぎないほど愛していたのよ?
ええ、愛だったわ。
例え彼が別の女を見ていても。
例え彼が別の女と付き合っても。
例え彼が別の女と結婚しても。
それでも愛していたの。ええ、愛していたわ。
いつもいつも。

【見ていたの】。

なんで見ていたのかって?
愛していたからよ?
それ以外に何かある? 愛があれば、あらゆることは許されるのよ?
あなたそんなことも分からないの? ああ、駄目ね。駄目な人だわあなた。
愛を知らないんだわあなた。
そんな人生屑みたいなものよ。糞みたいなものよ。。汚物よ汚泥よ。
だから知るといいわ。私みたいな愛を。
純粋で美しくてまっすぐな愛を。
知りなさい? 知るべきよ。 知って学ぶべきよ。
ええ、話してあげる。話してあげるわ。私の【愛のお話】。
だから聞いて? ね? 聞いて?
最後までよ。最後まで。最後の最後の最後まで聞いて?
聞いて?聞いて?聞いて?
聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて聞いて?
私の愛を。
真っ赤な真っ赤な。情熱的な愛を。
そして記憶して?
私の愛の物語を。
そう。これは私の【愛のお話】なのよ……。
聞いたらきっとあなたも。


誰かを愛したくなるわ……。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.367 )
日時: 2012/09/01 23:37
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』弐


「じゃあ、行ってくる」
彼が今日も家を出ていく。
いつものように素敵な笑顔と、ビシッとスーツを着こなして。
中学の頃に出会ってから何も変わらない。いつものような素敵な姿で。
ああ、やっぱりこの人はかっこいいわ。とてもとてもかっこいいわ。
「今日はお帰り遅くなるのかしら?」
「ん? いや、今日はなるだけ早く帰ってくるよ」
彼はいつも家に早く帰ってきてくれるわ。
彼はとっても優しいの。だから、早く家に帰ってきて、さみしい思いを私にさせたりしないのよ。
素敵な旦那様でしょ?
「別に無理しなくてもいいのよ? お付き合いもあるでしょうし……」
「良いんだよ。俺は一応愛妻家で通ってるからな、みんな冷やかしながらも融通をきかせてくれる。それに……」
そう言いながら、嬉しそうに顔をほころばせて、彼はお腹に手をやるの。
「愛すべき娘ももうじき生まれることだしな。お前の体調が心配だ」
子供みたいな無邪気な笑み。そんな彼の顔を見るだけで私はとっても満たされるの。
「ふふっ。もう、生まれる前から親ばかなのね」
「ああ、俺は世界一娘を溺愛する親バカになるさ! じゃあ、行ってくるな」
「はい、行ってらっしゃい。気をつけて」
鞄を受け取って、彼は足取り軽く家を出ていくの。私はそれを微笑みながら見送って。
そして。

彼の子供を孕ませている糞女に睨みつける。

糞女はいとおしそうに自分のお腹を、お腹の中にいる彼との赤ん坊を撫でてから。玄関からリビングに戻っていく。
糞女、糞女、糞女!!
彼を私から奪った糞売女!! 
そう、そうなのよ。
彼が笑顔を向けていたのも。彼が大切にしているのも。彼の妻の座に座っているのも。
全部私じゃなくてこの女なのよ!!
許せない。許せない。許せない!!
なんで、そこに私が居ないの!? あんたは私の居場所を奪った! 奪ったんだっ!!
別に良かった。それだけなら良かった。
でも、彼の子供を孕んだ。それだけは絶対に許せないっっっ!!

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.368 )
日時: 2012/09/01 23:38
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』参


中学の頃、彼に出会った。
そして、そこで初めて恋をした。
内気な私は彼に告白できなくて、こっそり家までつけていったり。こっそり彼の電話番号を手に入れたり。こっそり彼のメアドを手に入れたり。
でもどれも【使うことはできなかった】。
だって恥ずかしいんだもの。
でも誰よりも誰よりもずっと彼のことを見続けていた。
その内学校で見ているだけで居られなくなった。
だから、だから学校をズル休みして、彼のお家に忍び込んだの。
ピッキングとかツールとかは、ネットで調べたりして学んだわ。すっごく大変だったけど、彼の為だもの、頑張ったの。
彼の両親は共働きだったから家に忍び込むのは楽だったわ。当時はそんなに防犯意識高くなかったし、今は一般家庭にあるような安価な防犯カメラとかもなかったから。
そこで、置いたのよ。【私の目を】。
ああ、もちろん目って、本物の目じゃないわよ?
比喩よ比喩。いやね、そんな気持ち悪い妄想しないで頂戴。
カメラよカメラ。
小型カメラを、彼の部屋にいろんな角度で仕掛けたの。もちろん見つからないようにね。
それと、玄関とか、リビングとかにも。
もちろんプライバシーを守る私は、親御さんとか、妹さんの部屋とか。お呂場とか御不浄には仕掛けなかったわ。
私は変態じゃないもの、だた彼のことが見たかっただけだから。
そう。その【私の目】たちは、今もずっと誰にも見つかってないまま、ここまで来てるわ。
あの糞女が彼と彼の家族たちの家に【同居し始めた今でもね】。
そうそう。あの糞女よ。あの女が現れたのは、彼と私が高校に入ったころよ。
彼が入った高校は物凄い進学校だったから、私も同じ高校に入るのにとても苦労したわ。
そこでよ。そこであの女が現れたのよ。
彼と同じクラスにあの女が!!
あの女と彼はすぐ仲良くなっていったわ。
部活が同じ吹奏楽ってのも功を奏したんでしょうね。私も入りたかったけど、彼の前に立ったら恥ずかしくなって楽器なんて吹けるはずがないから辞めたわ。
私も彼と同じクラスだったから、あの女とよくしゃべっているのは良く見ていたわ。ええ、見ていたし、あの女とは【友達】として付き合ってたから、彼の気持ちもよく聞き出せたわ。
何度も思ったわ、この恥知らずの糞女みたいに、私も彼と話す事が出来ればって。
でも私がそんな乙女なことを考えているうちに、女はどんどん彼と近くなって。
ついに女が彼に告白したわ。
あああああっ!! あの時何度あの女を殺してやろうと思ったことか!
でも実行しなかったわ。私は嫉妬で人を殺すような人間じゃないの。
そして、あの優しい彼は、その告白を受けたわ。そう、晴れて二人は恋人同士になったの。
正直自殺を考えるほど落ち込んだわ。でもしなかったの。
私絶望で親からもらった命を捨てるほど、弱い人間じゃないから。
だから、ね?
私は愛すことにしたのよ!
そう! 愛よ!
例え彼が誰と付き合おうが、誰と性交しようが関係ない!!
私は彼を愛し続けると誓ったのよ!!
ええ、彼が大学生になったころ、さすがに大学までは私は付いていけなかったし、あの糞女も違う大学に行っていたけど。
それでも、あの女は彼の家に行って部屋によく来ていたし。私もそんな二人をずっと見ていたわ。
そう、【見ていたの】。
彼とあの糞女がキスしてるのも見たし、性交するのもずぅーっと見ていたわ。
だって愛しているんだもの。愛した人がしていることは、全て全て全て全て見ておきたいのだもの!!
そう、そして彼とあの女が社会人になって、実に自然に結婚してからも。
私はずぅーっと二人の生活を見ていたわ。
私自身はどうしていたかって?
もちろん、大学は出て、就職もしたわ。
結婚はしてないけれど、一応会社でもそれなりの地位にいるのよ?
ええ、私は自分で言うのもなんだけど、容姿の器量も仕事の器量も良かったからね。
でも、本当に大切なものは手に入らないの。
そう、彼。彼が欲しいのよ。
あの人が欲しいのよ。
欲しい。欲しくてたまらないの。
だけど、あの糞女が邪魔する。そう、邪魔なのよ。
あの女が邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!
でも我慢していたわ。
一人暮らしの家に帰ってきた時。
何もない、何の趣味も、何の生き甲斐もない。
ただ仕事をして、評価をもらって。友人と飲むだけ。
そんなくだらない空虚で空疎な人生の中で。
彼のあの幸せそうな笑顔を見るだけで、私は日々を生きられていたから。
でも。
許せないことが起きた。
そう。

【子供】よ。

それだけは許せない。
それだけは許容できない。
それだけは絶対に、絶対にっ!
彼の子供が、あの糞女の腹から生まれる!!
そう想像しただけで!
憎悪が! 黒くどす黒い憎悪が。抑えられない!!
殺してやる!! 殺してやる!! 殺してやる!!

そう。
だから私。

【殺してやることしたの】。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.369 )
日時: 2012/09/01 23:44
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』肆



別に私おかしくなんかないわよね? 普通よね?
だって、私こんなにも彼を愛しているんだもの。人を愛せる人間が、おかしいなんて事はないわ? ね? そうでしょう? 
そう。だから、愛ゆえに、愛ゆえによ。
憎悪なんて言ってごめんなさいね。憎悪なんかじゃないわ。
これは愛から来る殺人よ。肯定されるべき聖なる行為なの。

決行日は決まってるわ。今日よ。
今日思いついたの、どうやってあの女を殺すか。
そう、夜。夜がいいわ。
あの人が家に帰ってくるちょっと前に、あの女を殺すの。
楽しそうでしょう? 素敵でしょう?
嗚呼、どうなるのかしらね。どうなるのかしらね?
あの女の皮膚を壱枚壱枚剥いでやるわ。
髪の毛は全部引きちぎって、あの女の口内にぶち込んで。
腕を切り落として、あの淫乱な前の穴にぶち込んで、失禁させたうえで殺してやる。
嗚呼、楽しみ。楽しみだわ。
これは愛なのよ。決してあの女に対する憎悪なんかじゃないわ。違うのよ。
だって、憎悪で人を殺すなんて事。


【内気で普通な私には出来ないものね】。







一般的な家。
私のマンションからそんなには慣れてない、住宅街。
その一軒の家の呼び鈴を押して、中の反応を待つ。
するとインターホンから聞こえてくる声。そう。あの泥棒女の声。
『はぁーい。どちら様ですか?』
嗚呼、忌々しい。忌々しい。忌々しいんだよこの……っ。
まあ、良いわ。こんな昂ぶってちゃ不審に思われるわね。平常心平常心。
「私、高校時代の同級生の木知 麻奈美(きち まなみ)ですが……。近くに越してきたので、ご挨拶にと思って」
『え? 麻奈美!? ちょ、ちょっと待って! 今開けるから!!』
どこか慌てたように、忌々しい女の声が聞こえるわ。
そういえば、名前なんて言ったかしらね。
嗚呼、確か、あれだわ。くしろ、釧路 美菜(くしろ みな)だったかしらね。今は結婚したから名字は変わってるのかしら?
……殺したいわねほんとに。
「わっ! ほんとに麻奈美だ! ひさしぶりぃっ!」
玄関を開けはなって、馬鹿女がこっちに駆け寄ってくるわ。そのまま、私の腕をひいて家に連れ込んでくる。
嗚呼、触るな触れるな気持ち悪いんだよ消えろ消えろ消えろ!
「元気にしてた? もうっ、全然連絡くれないから、ずっと心配してたんだよ!?」
「ああ、ごめんなさいね。中々忙しくてね」
適当に話を合わせながら、家の中に入っていく。
ああ、カメラ越しにいっつも見てるから、新鮮味はないけど。やっぱり、空気とか匂いとかの影響か、感じが変わってくるわね。
ここに彼が居るのね。あの人が、あの人がココにすんで、起きて、寝て、会社に行って、そして帰ってくる。
素敵。素敵だわ……。
「ささっ、入って入って! 高校時代の友達なんて、めったに来てくれないのよ。うれしいわ、また麻奈美に会えて」
それなりの広さのリビングに通され、ソファに座る。
美菜はダイニングキッチン越しに、リビングの私に向けてぺちゃくちゃと言葉を続けざまに喋る。
うるさいわね。私は今、此処に彼を感じてるんだから、あんま雑音で邪魔しないでほしいわ。
「麻奈美はいっつもクールでそっけないから、私の事忘れちゃってたかと思ったけど、ちゃんと会いに来てくれてうれしいわっ」
別にクールだったんじゃなくて、彼以外に興味が無かっただけよ。
嗚呼、そうだった。この女は妙に私に話しかけてきたっけか。私に懐いていたのかしらね。うざったいわねほんとに。
「忘れるわけないじゃないの。友人の事くらい覚えてる、いくら私でもね」
むしろお前の事を忘れるわけがない。覚えている。覚えているわ勿論。
ねぇ? あなたが今笑顔を浮かべて、向かい合ってる人間は。今日あなたを殺しに来たのよ?
気づいてる? 気付いているわけないわよね?
ねえ? ねえ? ねえ? もうすぐ貴方人生が終わるのよ?
分かってるのかしら?
ねえ?
まあ、わかるわけないわよね。きっと、貴方は私の気持ちなんか知りもしなかったんでしょうね。
だから貴方は殺されるのよ。
「ふふっ、うれしいわ。麻奈美は私の話いっつも聞いてくれた、たった一人の人だもの。また会えて本当にうれしいわっ」
おしゃれな盆の上にティーカップ、恐らく香りからして紅茶であろう、それら一式を持って屈託なく笑いながら、彼女がソファの傍まで寄ってくる。
「ええ、私も嬉しいわ」
また会えてうれしいわ。
「あ、紅茶に何か入れる? 砂糖とかミルクとか――」
楽しそうに客をもてなそうと用意をする、目の前のにくい女。
私は、気付かれないようにソファをゆっくりと立ち上がり、懐から隠していた【モノ】を右手に掴み。
思いっきり振り上げて。彼女に向けて勢いよく。

刺した。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.370 )
日時: 2012/09/01 23:45
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』伍



「えぇあぁあ?」
呆けたような声を出す美菜。
だけどそれは一瞬。次の瞬間火がついたかのような、【絶叫】。
「ぁああああああああぁぁああああああああああああっ!! ああああっっっっ!?」
叫ぶ。
口からみっともないくらいに喧しい声を発して、醜いくらいに身をよじって。何が起こったか理解できていないのか、疑問と恐怖と激痛に苛まれる瞳を、こちらに向けてきた。
「あぁあっ、な、ぁああ、まな……み、な……んで?」
「なんで? 何でですって?」
その言葉に、何故だろう。いや、きっとどの言葉でも私は、【正気を失っていた】でしょうね。
そう、そこまではまだ理性ってものが残っていたの。でも、彼女が発する言葉を聞いて、憎しみに。憎悪に囚われた。
憎い憎い憎い憎い憎い。唯その言葉の羅列。唯それだけが私を支配して。唯それだけしか考えられない。
そう。でもこれはすべて、愛の為。
愛の為なのよ?

「あんたには分からないでしょうね」
美菜の背中には、明らかに素人が持っているべきものではない、武骨で使い慣れた感のある軍用ナイフが刺さっている。
父親の家からこっそり盗んできた、実際に戦時中で使われたナイフらしい。
私の父は重度のミリタニ―マニアで、こういうモノを良く集めては、母親にしかられていた。
私は父が大嫌いだったが、その趣味に対してはありがたく思う。
こうやって、長年恨み続けてきた女に復讐出来るのだから。
「知る必要はないわ。唯、私の前から、いや、世界から貴方に消えてほしいの」
「ど……う、いうこ……と?」
苦しげに疑問を口にして呻きながら、大きなお腹を抱えて、奈美はリビングから出ようと、ドアに向かって這いずって行く。
背中から広がって、綺麗なお洋服までべったり赤い血に濡れている所為か。彼女が這いずる床は、奈美から流れる血で通り道が染まっていく。
「知る必要はないって言ってるでしょ? この思いは私だけの物なの。あんたはこの思いを邪魔した。それだけよ。知る必要はないのよ。知ることは許されていないのよ。只々、虫けらのように死んでほしいの」
「あぁあ、がぁ……あああ……」
理解できないといった体で、尚這いずって行く女。
私はその背中に刺さったナイフを、彼女の背中から馬乗りになり、一気に引き抜く。
すると、また絶叫。
「うるさい」
その喧しく騒ぎ立てる口を黙らせようと思い、抜いたナイフを彼女の口の中に突っ込み、適当に舌らしきものを、見ることもせずに刺した。
「―――っ!? ―――ッ!! ―――ッァッ!!」
どうやらビンゴの様で、舌が満足に動かないらしい彼女の絶叫は、くぐもった悲痛な叫びに変わった。
すると今度はこれまで以上に必死に、外に逃げようとする。
「うごくな」
仕方が無いので、今度はナイフを両足に弐回ずつ、そして両手にも弐回ずつ刺してやった。
「――――――――――――――――――っっっっ!?」
涙を垂らして、涎もたらして。喋れない動けない痛みで壊れる。そんな何重苦を受けて、奈美は無様に醜く、面白いほどに私に蹂躙されていた。
「ああっ、いいわっ。最高よ糞売女ッ!! 愉快に痛快に、あんた醜いわ!!」
「ぁ……っ! たぁ……っ。ぅ、ヶ、ぇ」
舌が使えなくなっているためか、何を言っているのかさっぱりわからない。
助けてか何かだろうか?
助けるわけないでしょう? 貴方は無様にこのまま這いつくばって、そのまま終わるのよ。
嗚呼、楽しい。楽しいわ。人生でこんなに楽しかったのは初めて。
ううん、今まで楽しかった事なんて、彼を見つめている時だけだったから。
貴方は彼以外で私を楽しませてくれた、唯一の人よ。
ええ、いいわ。あなたお友達と認めてあげる。
憎い憎い最低最悪の殺してやりたいくらい素敵なお友達よ。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.371 )
日時: 2012/09/01 23:45
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』陸



「さぁて、次はどこが良い? ねぇ? どこを刺されたい? 頭らへんは駄目よ? 刺すとおわっちゃうしね。そうねぇ、次はあなたのその子供が生まれてくる予定の、けがらわしい穴から? うん? そうよ、子供。子供よ。あなた子供居るのよね? お腹の中に」
「ぁ……っ。―――っ! ―――ぁっ!!」
何かに気付いたのか、私のお友達は必死に私に何事かを訴えかけてくる。
ええ、わかってるわ。おなかの子供は傷つけないで、とかでしょ? そうよねぇ、あの人との大切な子供ですもんね。
分かってるわ。うん。
よぉくわかってる。
「そうねぇ、流石に子供に手をかけるのはひどいわよね。私が憎いのはあなたであって、貴方と彼の子供じゃないものね」
その言葉を聞いて、彼女は何か希望の光を見たかのような瞳をした。
自分の命より、自分の子供の方が大事なのだろう。
まだ、出産も経験していないというのに、ずいぶん立派な母親ぶりだ。
中々に美しい話だとおもうわ。うん。
だから、私は。馬乗り体制を辞めて、彼女を蹴っ飛ばして仰向けにした後。
その大きい腹に思いっきり、ナイフを突き刺した。
「―――っ!?」
そしてそのまま、深くズブリと刺したナイフを、縦に思いっきり引き裂き。
腹の中に手を突っ込み、【何か】を掴みあげ、自分の目線まで持ってくる。
「ごめんなさいね。私、愛の為ならいくらでも酷くなれるのよ」
その何かは赤い血液だけではなく、何かどろっとした透明な液体とが入り混じった、気持ちの悪い感触を私の手に伝える。
【何か】は、長い管の様なモノをひいていたので、私は手に持っているナイフでそれを思いっきり切った。
「ぁ……ぁあぁ……」
何か茫然としたように、美菜は喋れない口で呟く。
そう、その【何か】は胎児。彼女と彼の大事な子供。
それの出産日を、私は少し早めてあげただけだ。
少しばかり早くて、余り人間としての形を保っていないが、まあ良いだろう。
いや、良くないわね。こんな人としての姿をしていない【化け物】。
いらないわよね。
「じゃあ、壊さなきゃね」
私はきっと、口角を釣り上げて笑っていただろう。
その胎児を大きく上に振り上げて、思いっきり床に叩きつけた。
とたん。
今まで聞いた事のないような不快音と共に、辺りに真っ赤な、赤い血が飛び散る。
あぁ、綺麗だ。
この赤は綺麗だ。
何の罪も何の咎もない、純粋で美しい綺麗な赤。
ああ、素晴らしく、綺麗。
もっとみたい、もっと。
だから、何度も何度も何度も何度も何何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
赤色が見たくて。
綺麗な赤色が飛び散るのが楽しくて。
赤ん坊の原型が無くなるまで、床に叩きつけ続けた。


「ぁ……ぁぁぁ、ぁぁぁ、ぁぁぁぁぁっ!」
もう既に、胎児を構成していた肉体すべてが、床の一面に散らばっている状況で。その母親になる予定だった、いや、既に母親である奈美は、声の上がらない絶叫を発していた。
赤に、涙の白が混じっていく。
もう、彼女に対する恨みはすっかり晴れていた。
これだけやれば、私だってすっきりするものだ。今までの事は全部水に流して、友人として彼女の事を見る事が出来る。
もう、彼女に対する恨みなんてない。だから、友人として、楽にしてあげよう。
私は彼女にゆっくり近づき、微笑みながらそっと頬撫でる。
「奈美。酷い事してごめんね? 痛かったでしょ?」
微笑みながら、彼女の頭をそっと抱き寄せ。
そのまま首にナイフの刃をやり。

一気に押し切った。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.372 )
日時: 2012/09/01 23:46
名前: トレモロ

『彼女と彼と赤の事情』漆



「――――――――――――――――ぁ」
短い憎かった女が残した、世界に落とした最後の言の葉。
これで終わり。
最後は随分とあっけなかったな。
いままで何年この女に振り回されてきた事か。
でも、これで終わり。
何時だって、終わりは短く早く、虚しいものね。
「帰ろう」
私はゆっくりと立ち上がり、ナイフも適当に放り棄てて。
リビングのドアに向かう。
そして、ドアを開けて、最後に人目と思い、後ろを振り返った。
赤。
鮮烈な赤。
辺りそこらじゅうに、赤い血。
それは、唯の色じゃなくて、生きている、脈動する色彩。
二度と見ることはないであろう、この世で最も美しい赤。
「じゃあ、ばいばい。ありがとうございました」
何に対しての礼か?
色彩に対する感謝。
私は、一人呟いた後、この美しい神域から。
【抜けて行った】。










どう?
どう?
どうだったかしら!?
美しかったでしょう!
素晴らしかったでしょう!
貴方も誰かを愛したくなったでしょう!!
分かってる。分かってるわ。
もう貴方も愛するべき人を見つけた筈よ?
それだけそれだけで未来は来るわ!
貴方にはどんな色の未来が来るのかしらね?
きっと愛にはいろんな色があるわ。青、黄、緑、白、黒。
貴方はあなたなりの、一番いい色を見つけられるといいわね!
私があの後どんな色の人生だったか?
情熱的な赤は、もう見てしまったから。
後は優しい緑の人生だったわ。
あの後、誰にも何も言わず、遠い所に行ったの。
そこで、ゆっくりと余生を過ごしているわ。
だから、彼がどうなったかは分からないの。
彼女に恨みを晴らしたら、なんだか彼の事も、もう終わった事な気がしちゃってね。
きっと私、失恋したんだわ。
でもいいの、ここの生活も好きだし。緑も良いものよ?
でもいつか、きっと。
彼が彼女の事を思って、私を見つけに来るかもしれない。
そうしたら、どうなるでしょうかしらね?
嗚呼、楽しみだわ。
それはそれで、とても楽しみだわ。
きっと、情熱的で、美しい。



赤が見られる事でしょう。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.373 )
日時: 2012/09/01 23:42
名前: トレモロ

はい、どうも後書きでする。
いやぁ、久々に投稿間に合ってよかったぁ~。
一応今までのお題全部、途中まで書けてたんですけど、投稿できてなくてw
今回は時間取って作ってみましたw
今回のテーマは、「赤」ということで。副次的テーマに「一般的な愛」を入れてみました。
狂愛ではなく、あくまで少しずれてしまった「一般的な愛」がテーマです。
ホントはグロい描写も、もっとえぐかったのですが、カキコの年齢層を考えて、書きなおしましたw
少し残念ですが、これはこれで、良いかなと。
あまり上手く書けなかったのですが、また同じテーマで他の所で書きたいですね。
色彩ある人生。
皆さんはできれば赤色の人生は歩まないようにお願いしますw
プロデューサーさん!殺人事件ですよ!
では、そういうことで!
今回もこのようなモノを書かせてくださった、の姉さんに感謝を!
また投票時の機会に~♪

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.374 )
日時: 2012/09/03 17:59
名前: 猫 ◆GaDW7qeIec
参照: 絶園のテンペストのキャスティング、普通すぎて萎える……

あげさせてもらいます。
後、三~四人は書いて欲しいですね……

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.375 )
日時: 2012/09/23 01:46
名前: 玖龍◆7iyjK8Ih4Y

【絵描き】


 絵の具が切れた。
しかも、赤色。赤色が無いと絵が描けない。

 まあしょうがない。立ち上がると足が、機械みたいにぎこちなくふるふると震えて変な感じがする。それもそうだ。もう何時間も椅子から立っていない気がする。呪縛から解放されたみたい。呪縛というか、地縛というか。地縛霊ならもう解放、成仏できるな。私は望んでここに居るから別に嬉しい事ではないが。
 紙の束のビル群がそこらじゅうにぽこぽこ。絵を描いてあるものも描いていないものも大きさも厚さも質も様々。と、絵の具のチューブがぱらぱら。あまりカラフルな絵は描かないから、ほとんど床で放置だ。
 いつからか、赤しか使えなくなった。原因なんて分からないけれど、気付いたら赤色を掴んでいる状態。ほかの色は使おうとも思わない状態。そして、何も考えずに折角描いた絵を塗りつぶしてしまうのだ。
 机の端っこに置いてあった財布をとり、ジーパンのポケットにつっこむ。
 部屋を出よう。絵の具のチューブだけは踏まないように。束になっていない落っこちてる紙は見捨てて、滑らないように踏みつける。踏みつけた。やってしまった。黄色の絵の具が飛び出して左の足の裏についた。しょうがない、めんどうくさい。
 黄色い絵の具をそのままに、扉をひとつ開くと家族が居た筈のリビング。家族なんて知らない、どこへ行ったんだろう、家族なんていただろうか。ずっと一人だった気もするし、昨日までこの部屋で家族と息をしていた気もする。そんなことはまあいいや。すこしだけ分厚くて重い扉の鍵を開けて、外に出る。

 夏だっけ。そっか、もう夏か。やっと夏だっけ。そうだ、夏はこうやって太陽光が宇宙から全力で私を刺しにふってくるものだった。
 灼熱のアスファルトにぺったり足跡を付けてから靴を履き忘れたことに気が付いた。あっつ、あっつい。爪先立ちで玄関まで戻って、適当にそのへんに出ていたスニーカーに裸の足をつっこむ。ごわごわして気持ち悪い。
 とりあえず、近所の画材屋さんに。かかとまで入れないスニーカーをぱかぱかさせながらひたすら歩く。寝癖もなおしていない無造作に伸ばした髪の毛が絡み付く首に、汗が垂れ滑り落ちる。
 アブラゼミがおいしそうだとか、焦げた茶色の紫陽花が可愛いだとか、暗い色をした雨の群れが遠くに見えるだとか。刺さる、太陽光より痛い視線を気にしないフリをしながら、ぺたぺた歩く。
 画材屋さんが横断歩道の向こう側に見えたとき。赤い信号だからちょっと立ち止まってみたとき。
 大きいものが上から降ってくるのが視界に映った。カラスよりも大きいもの。ちょうど人間くらいの。
 目が痛い、水分の少ない赤色がべちゃ。アスファルトに食い込んだ顔が歪な男の子の血が、私の顔にもべちゃ。案の定それは人間で、案の定それは飛び降り自殺だった。
 見たことあるような懐かしい赤色。見たことがあるのは一人じゃない、二人だった気がする。男と女だった気がする。私の家族だった気もする。家族の死因は飛び降り心中だったかな。ずいぶんと前の話だ。
 男と女。私の目の前で駐車場を真っ赤にして、本当に迷惑だった。そう、迷惑。私だけを一人、この世知辛い世の中に残して。
 そう思いながら冷たい店に入る。血を浴びてるからかよほど私の容姿が悪いのか、やっぱり視線が目に刺さる。気にしなくていいや。
 あかいろ。赤、赤赤。赤い絵の具、絵の具のチューブ。棚から棚右左上下、ぎょろぎょろ視線を移しながら探していく。
 あ。目に留まった彫刻刀。絵具じゃないけれど。キャップを外して、少し長めの刃をまじまじと見る。
 赤色の絵の具よりよさそうだ。
 そのままレジに向かい嫌悪感が露骨に染み出た、変な顔の店員と目を合わせる。何も言わずに音も立てずに彫刻刀をカウンターに置く。値段を言われる前にぴったりの小銭を叩き付けて、彫刻刀をかっさらってポケットにつっこみ、店を出る。

 外に出ると、ぎゃあぎゃあわあわあと騒がしい。サイレンが鳴り響き野次馬は集り。何も知らないような顔をして、群集の脇を通り過ぎる。
 行きとは違う。景も植物も虫も無視で黒いアスファルトだけを見つめて帰る。
 早く、早く早く早く帰ろう。

 家に着くと早速机に向かって、ポケットから彫刻刀を出して机の上へ。
 絵を描こう。赤い絵の具で、絵を。
 机の上にそのままにしてあった白い画用紙を見ながら、椅子に座る。
 絵を描こう。心を描こう。
 彫刻刀の刃を左の手首に当て、力をかけて思い切り右に引っ張る。びりっとした痛みすら気にならない、この高揚感。吹き出してびちゃびちゃと床に落ちる赤い絵の具を筆につけ、彫刻刀を置いた右手で絵を描く。暖かい色。
 霧のかかる視界の中で、がったがたのハートマークが揺れ霞み潤んだ。ああ、死ぬんだ。おかあさん、おとうさん、いまからいくね、まっててね。

 生きていた私の赤い声を、此処に。







――――――

あとがき

どうもこんにちは。
赤=血 という単純思考で書きました。
自殺エンドしか思い浮かばなかった……ごめんなさい。
自殺ダメ、ゼッタイ、です。
この物語を書く機会を、どうも有難う御座いました。

あ、今回は投票も参加したいと思います。宜しくお願いします。

ではでは。

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.376 )
日時: 2012/09/09 21:01
名前: ゆかむらさき◆zWnS97Jqwg
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497

あげますね^^

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投稿期間 8/14~9/14まで ( No.377 )
日時: 2012/11/27 15:59
名前: 猫(元: ◆GaDW7qeIec
参照: 続き→アラジン「あっ、モルさんだ!」モルジアナ「あら、二人とも何の話?」アリババ「おぉ、モルジアナ! 実はアニメ化についての話してたんだけどさ」アラジン「モルさんはアニメ化したら何したい!?」「モルジアナ「世界に蔓延るアリババ臭の原因を絶つ」アリババ「…………」

第七回SS大会 エントリー作品一覧 

No1 瑠奈様作 【ファイナル・インターネット】 >>346-348
No2 猫様作 【ブラッドリーテンペスタ(審判の日に鮮血は舞う)】 >>349-351
No3 那由汰様作 【a colors】 >>353
No4 暁壱様作 『赤色の世界。」 >>354
No5 瑚雲様作 【赤い歌】 >>356
No6 山田威刻様作 【とにかく、眠れ】 >>357
No7 ゆかむらさき様作【実れ! 愛の応援団!(混ぜるとむらさき)】 >>359-361
No8 秋原かざや様作 【大好きなあなたへ】 >>364
No9 トレモロ様作 【彼女と彼と赤の事情】 >>366-372
No10 玖龍様作 【絵描き】 >>375

No11 あけぼの様作 【思いの赤はいつまでも】 >>389-390

以上、全十一作品エントリーです!

Re: 第七回SS大会 お題「赤」 投票期間! 10/1まで ( No.378 )
日時: 2012/09/15 23:04
名前: 猫(元: ◆GaDW7qeIec
参照: 続き→アラジン「あっ、モルさんだ!」モルジアナ「あら、二人とも何の話?」アリババ「おぉ、モルジアナ! 実はアニメ化についての話してたんだけどさ」アラジン「モルさんはアニメ化したら何したい!?」「モルジアナ「世界に蔓延るアリババ臭の原因を絶つ」アリババ「…………」

先ずは、私から!
トレモロ様作の【彼女と彼と赤の事情】と山田威刻様作 【とにかく、眠れ】でヨロ~★

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