リクエスト依頼・相談掲示板

Re: 【募集一旦〆】貴方の小説に感想を書こうか【感想執筆中@2名】 ( No.10 )
日時: 2019/06/23 01:25
名前: つかみ (ID: w9Ti0hrm)

感想いただけるの早くて驚きでした。非常に丁寧に読んで頂けたみたいで、感謝してもしきれないです……!

自分の欠点を知るいい機会、と思って依頼させていただきましたが、想像以上に指摘が多くてちょっと心折れ気味ですが、いかに自分が適当に書いていたのか、読み手によってはわかってしまうものなのだなあと深く反省しております……。

No.00 暗がりでも色鮮やか
暗いのに色の描写がやたら鮮やかという指摘、考えたこともなかったけれど、言われてみればおかしい点ですね……気付かなかった。
部屋の暗さと明るさについての想像力が足りていませんでした。直したいと思います。

No.01 満身創痍で屋上まで来る少年
これは私もおかしいなと思いながらも誤魔化せていると思っていた点です。
最初に書いたときは10階建てで、無理があるなと思ったので減らしたつもりでしたが、問題はそこじゃないと指摘されて、やっぱそうだよな!! と反省しております。
これはもう、ストーリー上トゥールたちと巡りあわせたかったから無理やり登らせたって感じなので、やはりどうにかしないといけませんね。
書喰神さんは2階建てでも無理がありそうということでしたが、私が頑張って改善策を考えた感じ、マンションの高さが4階建てくらいなら違和感なくなるかな、とか思うのですがやはり無理がありそうですかね……。
ちょっと、マンションは屋上から落ちたら死ねるくらいじゃないと今後の展開に支障が出てしまうので、難しいですね(>_<)
あと誤字ありがとうございます。

バーコードの説明
翡翠、群青、紅蓮、は思いつきでちょっとかっこいい色を選んだだけなので、強いて言えば、実験で生まれた緑のバーコードが、凄くキレイな色してたからそのまま「翡翠」の名がついたのかな……とか。まあ、言ってしまえば深い理由はなくつけてしまった名前なんですよね。
これも言われるまで気づきませんでしたが確かに違和感ですね。物語も中盤まで書いてしまったので今更直せないなって思いますが、ここも反省ですね。

失敗と成功の定義
うーん、ここはなんというか「〈能力〉が解けないから翡翠」というよりは「翡翠バーコードとして生まれた者は皆何かしら欠陥がある。トゥールの場合は〈能力〉が解けないことだった」て感じなんです。
胸に刻まれたバーコードが緑色をしていたら、みんな失敗作として扱われる、みたいな。それで失敗(緑色のバーコードをしている)と成功(青色のバーコードをしている)を定義している、つもりでした。

諦めが早いジン
確かに一度も惚けること無く、「あ、バレた? なら仕方ない」みたいなのは違和感かもしれませんね。それも言われるまで気付きませんでした……。ちょっと展開変えてみようかと思います。

ジンとトゥールのやり取り
トゥールは桜色の少女に殺すことを拒絶され、ジンを紹介されたので、ジンに殺されるために生きてきた、という感じです。

治療を受けた直後に漆黒バーコードを見られたことをなんとなく察していたから、さっき死神と言われたとき諦めが早かったのかもしれませんね。

最後
言葉が足りない感じしますね。
「殺されたいっていうのが本気なら(バーコードの色を)確認する必要なかったんじゃないの(仮にジンが紅蓮バーコードだったとして、その場でトゥールやクラウスを殺そうとしたとしても、別に良かったじゃん。死にたいんなら)」
で、トゥールの発言は「あの場(クラウスのいる場)ではそういうこと(ジンに殺してもらう)はしたくなかった」という意味だと思うんですけど、色々足りてない会話ですね……。

細かいところまで気にして読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます。
ちょっと書喰神さんの負担が大きそうなので、そんなに長く感想書いて頂かなくて大丈夫です……。「書くの面倒くせえな」と思い始めたらやめていただいて大丈夫なので、引き続きよろしくお願いします。

Re: 【募集一旦〆】貴方の小説に感想を書こうか ( No.11 )
日時: 2019/06/23 13:43
名前: 書喰神 (ID: Bf..vpS5)

ヨモツカミさん、返信有難う御座います。

私はかなり細かい所を気にするタイプなので、お気に障ったら申し訳ありません。
御自分の作品に指摘を入れられたら辛いですよね。私がしている事ではありますが、気持ちは十分に分かります。
矛盾する事を言いますが、これは編集者でも出版社関係者でもないただの一般人の一意見なので、こういう書き方だと、こう思う人も居るんだなぁ程度に考えて頂ければと思います。
負担というわけではないですが、他に依頼者も居らっしゃいますし、丁度区切りが良いので、『No.2 朱に交じる亡霊は』で一旦感想を終えて、総評に移らせて頂きます。
感想の続きをご所望の場合は、ヨモツカミさんの心の準備を十分に整えてから、再度ご依頼を頂ければと思います。

私の感想は書き方がくどいと言われた事があります。私自身、上手く違和感を説明出来てるか不安となり、無駄に書き連ねている感じは確かにしています。
この部分の指摘の意味が分からない、などの疑問がありましたら、気軽に質問して下さい。


『継ぎ接ぎバーコード』感想の続き

次。
ジンにとって、バーコードは殺すべき存在であるはず。
なのに少し関わっただけのトゥールとクラウスは見逃そうとした。
クラウスを残して死にたがっているトゥールに対して苛立ちを感じ、生きろと叫んだ。

ストーリーの流れとしては問題無いとは思います。
ですが、既に幾人も殺しているだろうジンがそこまで二人に入れ込むには、現状ではまだ理由が弱いと感じます。

例えば寝る前に食事のシーンを入れて、そこにトゥールとクラウスの過去からこれまで、二人で頑張って生きてきた、みたいな心温まるエピソード的な会話を入れ、『バーコードは生きてるだけで不幸』と思っているジンに、『バーコードでも幸せを見付けられるかも』という希望の種を植え付けるような場面があると、ジンの考えが変わる切っ掛け、そんな伏線になるかもしれません。

更に言えば、先程トゥールと桜色の髪の少女との過去のやり取りの回想を入れた方が良いと書きました。
ジンにとって、桜色の髪の少女は無視できない存在であるはずです。現状物語で分かっているのは、トゥールは6年前に桜色の髪の少女と出会っている事。死神と呼ばれている少女に出会っていたのにトゥールが死んでいない事。少女にジンの事を聞いている事。少女との会話で、トゥールがジンに殺されようと考えた事。これだけです。
此処に『トゥールと桜色の髪の少女との過去のやり取り』を入れて、トゥールが何故ジンに殺されたいと思ったのかの理由を述べます。その理由にジンが反発すれば、それがトゥールを殺す事への反発になり、「生きろ」と言ってしまった理由の一つになると思います。改善案の一つですね。



■No.02  朱に交じる亡霊は

ジンがクラウスに襲われた場面にて文章に違和感。
『咄嗟に〈シュナイダー〉で黒いナイフを発動しようとする。』
黒いナイフを発動する、という点に違和感。
→『咄嗟に〈シュナイダー〉を発動させて黒いナイフを出そうとする。』あるいは『〜召喚しようとする。』
とした方が自然だと思われます。


次。
ジンがクラウスに殺されて蘇った場面にて。
元々クラウスのバーコードに赤が混じっていたというのなら、1-4で『胸元に刻まれた鮮やかな緑色のバーコードが露わになった。』と書いてあるのは矛盾に感じます。
『露わになる』とは『隠されておらず、外側から見ることができる様子』という意味です。これではクラウスのバーコードが全部見えているような表現になっています。

2-3で『クラウスがセクハラだの言いながら必死で隠そうとした』とあたかも伏線があったかのように書かれていますが、1-4で最初のジンの行動で既に『露わに』なってしまっているので、その後に振り払ったとしても読者的には『必死で隠そうとした』とは思えません。伏線としては弱いです。

なので改善案としては、1-4時点では『襟元を引っ張った直後にクラウスに振り払われたけど、ジンからは緑色のバーコードの上部がチラリと見えた』程度にしておくと、2-3のこの場面の展開に繋がる伏線になるのではと思います。


次。
“クリムゾン”という現象について。
本文中に『ジンもあまり詳しくは知らないが』と書いてありますが、これは逆に言えば少しは知っているという意味と同義です。
それなのにクラウスのバーコードを見た時「……んだ、これ」と、『何だこれ』と在り得ないものを見たかのような疑問の声を上げるのは不自然に思えます。
例えば「これは……っ!」とか、知っているけど珍しいものを見た、というようなリアクションの方が、この場面には適していると考えます。


2-3 脱字。
『ジンが驚愕上げた声も、やはり掠れていた。』
『驚愕上げた声も』 ⇒ 『驚愕に上げた声も』



次。
『No.01 曇天下の爬虫類へ』での指摘にて、バーコードの説明不足という点を挙げました。そして今回、青や緑に赤が混じる『クリムゾン』という現象が出てきました。
この情報から、バーコードの身体そのものが、そのバーコードの性質を色として体外に表している事が事実となりました。
此処で気になるのはやはり、色と、その色で区別したバーコードの性質の意味です。色で性質を区別できるのは、科学者がそうあるように作ったのでしょうか?
それとも偶然にそうなったという設定でしょうか?

前者なのだとしたら、やはり『実験的な失敗』と『人間的な欠陥』がごちゃ混ぜになっているという設定の甘い所があります。
後者なのだとしたら、色別性質の基準を何で判断しているのか、という設定がやはり甘いと言わざるを得ないでしょう。
何度も同じことを繰り返してすみませんが、作品の根幹に関わる設定なので、非常に重要だと思います。

※作者様からの返信より
『胸に刻まれたバーコードが緑色をしていたら、みんな失敗作として扱われる』
なるほど。
実験結果の正否は、実験体の能力や性格云々はまず置いておいて、胸に刻まれたバーコードに色として現れてそれで判断するのですね。
『「〈能力〉が解けないから翡翠」というよりは「翡翠バーコードとして生まれた者は皆何かしら欠陥がある。トゥールの場合は〈能力〉が解けないことだった」』
この説明ですと、やはり前述したトゥールの能力説明時の書き方に問題があると思います。
『トゥールが翡翠バーコード──失敗作たる由縁。〈能力〉の発動が、解けないのだ。』
この書き方だとどうしても『能力が解けないから』というのが先に来てしまいます。
ですが話からすると、緑だから欠陥があるのが決めつけられていて、欠陥を探した結果『能力が解けないこと』を発見した感じでしょうか?
『原因』や『過程』から『結果』を出すのではなく、まず『結果』があって、それから無理矢理『過程』と『原因』を決め付けているような不自然さを感じます。

うーん。何度も書いてくどく思われるでしょうが、やはり設定不足に見えます。

全ての物事には『因果』があります。
最初に何かしらの『原因』があり、こういう『過程』を経て、こうした『結果』に至る、という意味です。
現状、バーコードという存在にはその『因果』が不明瞭なのです。

例えば、
『原因』:研究者が新人類創造の為、あるいは権力者が軍事利用する兵隊を造る為に改造人間の実験を始めた。
『過程1』:実験の結果、特殊能力を扱える者が生まれた。その者の胸にはバーコードが刻まれ、何故か三種類の色に変化した。
『過程2』:実験体各人の能力を調べていくと、色別で共通した特徴を持つ事が判明した。
『過程3』:調べた結果、青の能力と人間性は理想に近かったので成功とする。緑は能力か人間性に何かしら欠陥があたので失敗とする。赤は能力が高いが殺戮衝動を持っていたので危険だが兵器として何かしら利用価値を模索するべきと判断する。
『結果』:以上の実験結果を経て、今後生み出された実験体はバーコードの色で正否を判断する事になった。

簡単に書きましたが、こんな感じでしょうか。
『バーコード』とは本来、製品に後付けで刻まれる機械的な識別子なので、生まれながらにあるというのも違和感ですが、それはまあ置いておきましょう。

結局、何が言いたいのかといいますと、『トゥールの緑である根拠が弱い』これに尽きます。

クラウスは『能力が制御出来ない』という欠陥らしい欠陥ですが、トゥールの『能力が解除できない』というのは、能力を使う上では全く問題ないので、やはり欠陥である根拠としては弱いと思います。
であるのに『トゥールが翡翠バーコード──失敗作たる由縁。〈能力〉の発動が、解けないのだ。』という仰々しい感じで書いてしまっているので、『人間らしく無い事も欠陥に含まれる』ならば『緑が失敗作である理由』の定義って何? とか『バーコードの生まれた経緯』とは? と、此処まで問題が波及していってしまったのですね。

人間性の欠陥ではなく、もっと能力的な欠陥にしてくれれば、問題の八割は解決します。例えば、変温動物的な欠陥を抱えているとか。


次。
2-3にて。
『黒いナイフが勢い良くジンの喉に突き立てられ、聞きたくもない音と共に皮膚を突き破り、深々と沈み込む。そこから湧き水のように鮮血が迸る。正面にいたクラウスはそれらを全身に纏うことになった』
とありますが、まずナイフが刺さった時点では『湧き水のように鮮血が迸る』ことはありません。刺さったナイフ自体が栓になっているので、刺さった瞬間血が少し飛び散ったり、傷口から滲むように出血したり、体内出血が食道を通って口から出るかもしれませんが、この時点では大量の出血がある表現は相応しくないと思います。
ただし、ナイフが消えたら、それは栓が無くなった状態なので、それこそ湧き水のようにごぼごぼと出てくるとは思いますが。
表現のリアリティ不足です。


次。
2-4にて。
クラウスがジンの首の骨を折って殺して、対して時間が掛からずに傷が治って生き返りました。
ジンが自分で喉を切って、床やクラウスを血だらけにしたが、やはり対して時間が掛からずに飛び散った血を吸収して、元通りに生き返りました。

不死身、不老不死、なるほど。
でもこれって、おかしくないでしょうか?
この時はそれほど時間をかけずに全快しているのに、最初に出会った時は、傷を負ってから相応の時間(具体的には敵に傷だらけにされてから逃げて、マンションの中に入って八階分の階段を重傷の体でのろのろと登って、トゥールたちと出会って治療を受けて、しばらく経って目が覚めるまで)が経っても、全快はせずに『幾つかの傷が塞がり始めていた』だけ。
しかも、その後に七階に降りる時に、階段にはまだジンの血が残っているという描写がありました。
ジンから流れ出た血は、傷が治る際にジンに戻るのでは? 戻らない事もあるの?
これもクラウスはともかく、トゥールすら疑問に思ってない事に不自然さを感じました。

それとも、一度死ぬことが、全快へのスイッチのようなものなのでしょうか?
そうであるのならばこの現象には一応納得できるのですが、今度は以前のジンの心理描

写に矛盾点が出てきます。
1-5にて『死んでいてもおかしくなかったのだ。こうして温かいベッドの中で痛みに耐えると、生きていることを実感した。』とジンは思っていました。
これは『死にたくなかった』ようなニュアンスに見えますが、そもそもジンは死ねないのですよね? それなのにこのジンの思考はおかしくないでしょうか? むしろ一度死んだ方が全快するので不死者ならそっちの方が良いのでは? 駄目な理由は?
不死への伏線とするなら、この部分は『生きていることを実感する』よりも『自分の死に無頓着』な感じにした方がいいのでは、と愚考します。

逆に、作者であるヨモツカミさんに更に深い考えがあってこうしているのだとしたら、その考えをもっと匂わせるような文章を追加して欲しいですね。

Re: 【募集一旦〆】貴方の小説に感想を書こうか ( No.12 )
日時: 2019/06/23 13:45
名前: 書喰神 (ID: Bf..vpS5)

次。
2-5にて。
「バーコードも人間も、そんなに変わらないさ。能力が有るか無いか。その程度だよ」
とジンが発言しています。
ですが、1-7では、
「バーコードである限り、“幸せ”なんて簡単に口にするなよ! それは、僕らとはかけ離れすぎてんだ!」
「生きれば生きた分だけ、僕達は不幸になっていく! 僕らはそういう運命なんだよ!」
と暗に人間とは違うのだと、真逆の事を言っています。
クラウスを励ますために言ったのかもしれませんが、それはそれでその場その場で自分の言葉を変えるのはジンのキャラに合っていないように思えます。ジンのキャラブレの一因ですね。

「……オレ、人間じゃないよ」
と言うクラウスに対して「人間とあまり変わりはない」と返すのではなく、
「だから?」みたいに言い方としては突き放すように、「死にたくないって足掻くのは、人間もバーコードも関係ないだろ」という感じでしょうか?
私もまだジンのことを理解しきれていないので、代わりの言葉が上手く出てきませんね。


次。
『一言、ジンが付いて来い、と言った。』
急展開過ぎます。
会話文ですらなく、地の文でさらっと書かれていたので、ちょっとそこまで、みたいなニュアンスかと思ったら、住んでいる街を出て行って二度と戻って来ないだろうレベルの『付いて来い』だった事に衝撃を受けました。
今まで住んでいた居住を捨てて旅に出た、という事ですよね?

つぎばの世界は、バーコードが人間と敵対している部分的に世紀末的な世界と私は認識しています。トゥールとクラウスが住んでいるのも廃墟の街でしたし。
だとしたらバーコードにとって金銭や衣食住の調達は基本的に困難であると推測します。クラウスが調達した食料も不味い林檎二つだけでしたし。
せっかく三週間も安定した生活を手に入れていたのに、たった一言、軽く「付いて来い」って言われた程度でその生活を捨てるものでしょうか?
もしくは、ちゃんと「僕は目的があって旅をしている。お前たちも付いて来い」と説明して、一悶着あれば納得は出来ますが、今のままでは一緒に旅に出る切っ掛けが軽すぎます。
この世界は、バーコードは着の身着のままで気軽に旅が出来るような世界でしょうか?
せめてこの疑問を解消する一文を入れて欲しいです。
例えば「3週間前までは色々なところを旅してきたから今更だ」みたいな、急に旅に出てもトゥールたちなら問題無い、というような納得出来る根拠と説明を入れて欲しいです。
今の状態だと「付いて来いと言われた」→「マンションから出た」→「何処を目指して歩いているのだろう」→「敵と遭遇、倒した」→「それじゃあ、行こうか」→「それに、この街に長居するのは良く無いだろう」あれ? 街から出るって話だったの? みたいに、混乱しました。

住んでいた場所から飛び出して旅に出るというのは、ストーリーとしても重大イベントです。もっと旅に出る切っ掛け部分を強くアピールした方が、その後の展開に違和感がなくなります。


次。
ジンを瀕死にさせた女の登場時にて、ジンの反応に違和感。
1-1冒頭で、なすすべもなくやられて、惨めに生に縋り付こうと逃げて、ボロボロと涙を流して縋るように「た……、けてぇ……」と弱音を吐いてしまうほどの状態だったんですよ? 普通だったらその相手を見ただけで恐怖に震えて動けなくなってしまうほどのトラウマになってもおかしくないほどの状態です。
しかし、自分をそんな状態にした相手に再会してもジンは普通で、「昨日、僕の腹を裂いてくれたのはてめぇだったな……」と、むしろ今度は殺す、みたいにやる気です。フルボッコにされてボロボロと涙を流して縋るように「た……、けてぇ……」と言った本人とは思えません。

トラウマを抱えたままだと今後に差し支えがあるので、出来れば冒頭を変えた方が良いかと思います。弱弱しくするよりは、傷だらけでも必死に抗おうとしてる感じにした方が、展開に不自然さは少なくなります。
最初にジンの弱い部分を見せたかったのかもしれませんが、ギャップが大き過ぎて違和感が強くなっています。


次。
たぶんジンの発言だと思うのですが、戦闘中のセリフに違和感。
「──〈ウェルテクス〉……つむじ風、だな」
何処から〈ウェルテクス〉なんて名称が来たのでしょうか?
それともいきなり相手の能力に対してジンが勝手に命名してしまったのでしょうか?
ただ「まるでつむじ風だな」とか言うなら分かりますが、殺し合いの最中に名前の知らない能力に対し、勝手に命名するのは違和感が強いです。
その前に相手が自分の能力名を叫んだのなら、知った後なので違和感はないですが。


次。
戦闘中の本文で、クラウスの行動に違和感。
『透明になっているクラウスが何処にいるか分からず』
『下がってろ、クラウス』
『トゥールのすぐ横にクラウスの姿が視認出来た』
とあり、戦闘に参加しようとしている事が伺えますが、その前に『クラウスは、ジンに言われた通りにさっさと透明になって、近くの瓦礫の陰に隠れた。』とあります。
これは『下がってろ、と言ったジンの言う通りにした』という意味にしか見えないので、いきなり下がって隠れていたクラウスが戦闘に参加するのは不自然です。
それにジンの言う通りに消えて隠れたなら、ジンが戦闘中にクラウスに配慮する必要はないです。結果的には正解なのですが、この時点でジンが消えたクラウスを配慮するのはちょっと違和感です。言われた通りに隠れたと思っているはずなので。
だからむしろ『ジンに言われた通りにさっさと透明になって、近くの瓦礫の陰に隠れた。』の一文は不要で、クラウスの姿がいつの間にか消えた。だけの方が不自然ではないと思います。



次。
この『つむじ風女』との戦闘で思ったのは、ジンの戦闘力が低すぎるように見えるという点です。
事前情報では「奇襲されて反撃も出来ずに瀕死状態まで追いやられた」「不死だけど成長しないから子供の身体のまま」「細身のクラウスに押さえつけられて、首を絞められて能力も発動できずに一度死んだ」「一度死んでも生き返る」「黒いナイフを召喚出来る」くらいです。
身体能力は子供、見えない敵の気配も分からない、不意打ちに弱い、何本ものナイフを飛ばせるけどつむじ風女には簡単に躱されている。つむじ風女の最速の一撃も見えない。能力もナイフを生み出して飛ばすだけと、それほど強力には感じません。
毒を受けて「寄るな」と虚勢を張る女に「不用意に近付かない方が良いか」と判断するのも、冷静さというよりは自分は毒を受けてる女にすら接近戦では危ない、という事実を認めているみたいに見えます。
現状ですと、口だけは「殺す殺す」と物騒なことを言っているけど、実際は不死身くらいしか強みの無い、バーコードとしての戦闘力はあまりなく、大言壮語を吐いているだけの少年にしか見えないです。
汚名返上の場も、トゥール一人に取られていますしね。

付け加えると、

「っ──まって……会い、たい……ヒトを、探し、てるのっ……」
その言葉に、一瞬ジンは頬を歪める。ジンに僅かなためらいが生じる。

という文章が本編にありましたが、私としては心配になるくらいジンは甘いと思います。危ない所を助けて貰って、ちゃんとに会話したトゥールとクラウスはまだ納得できますが、殺されかけた相手にすらちょっと悲痛な言葉を聞くだけでためらうとか。
優しいというよりはひたすら甘い感じです。本当にバーコードを全員殺すという目的を、覚悟を持っているのかと疑わしくなるくらいに見えます。
時系列からすれば、殺すと決めてから何年も経っている事でしょう。既に何人も殺しているでしょうし、ためらうような期間はとっくに過ぎていて、覚悟は完了しててもおかしくないはずなのに、この時点で何か言われたからってためらうのは今更感がします。



次。
つむじ風女の最後、さらっと流し過ぎだと思います。
1-1の冒頭、主人公をボロボロして『——足りない、足りない』と繰り返して、あれだけ狂気を振りまいてるように書いて、敵の存在をこれでもかとアピールして盛り上げているのに。
いざ戦闘となったら女の一瞬の油断で逆転して、「はい倒した、じゃあ行こうか」みたいな。

第一章の終わりに持ってきたバトルとしては、簡潔に過ぎます。
呆気無さ過ぎて盛り上がりに欠けます。
滅多切りにされていたと思ったけど、実際には浅い切傷ばかりと書いてありますし。

1-1の冒頭に比べて、つむじ風女の狂気が足りないように思います。
例えば、戦闘途中で女の過去の回想を入れるなど、これほどの狂気を持つに至った経緯などがあれば、もっと読者が女に感情移入しやすくなり、トゥールとの殺し合いも盛り上がるかと思います。

あとはジンとクラウスが傍観者すぎますね。トゥールに手を出すなと言われたからとは分かってはいますが、一番の主役級はやはりジンですし、赤バーコードは危険だということをもっと強調するべきという点も踏まえ、三人で協力して倒した方か仲間意識が強くなるという結果にも繋がりますし、盛り上がると思います。



——以上。
まだまだ挙げられる点はありますが、取り敢えずはこの辺でピンポイントの指摘を終了します。

No.2までで申し訳ありませんが、一度〆て総評に移りたいと思います。

Re: 【募集一旦〆】貴方の小説に感想を書こうか ( No.13 )
日時: 2019/06/23 13:47
名前: 書喰神 (ID: Bf..vpS5)

■作品全体を見て(※No.2 朱に交じる亡霊は まで通しての感想)

【世界観】
読者を引き込む設定、という点は成功している世界観だと思います。実験体、異能、成功作失敗作、危険体、特異体、人間と異能者との対立など、ありきたりではありますが、読んでいけば確かな独自性を感じられました。
しかし、やはり細かな設定の不備が多々見受けられます。その不備が物語の矛盾となり、キャラクターの不自然な思考に結び付いて読者に違和感をもたらしているだと思いました。

【ストーリー】
全体的な流れとしてはよく出来ていると思います。ただ、所どころに描写不足があり、何故そうなったのかが不明瞭な場所も幾つかありました。伏線や序盤では情報を隠すのも大事ではありますが、起承転結や因果を明確にして、話の流れに違和感がないようにしましょう。
例えば、登場人物たちの視点で考えてみると、彼らには地の文は見えないため、本来ならば会話文のみでストーリー展開は成立するはずです。本文を書いた後に、会話文だけを抜き取って物語が成立しているのか、それを確認するのも重要ですね。

【キャラクター】
トゥール、クラウスは性格がはっきりとしていて、その性格と行動がほぼ一致しているので、キャラクターとしてはちゃんと出来上がっている方だなと思いました。死にたいのに生きている、殺したくないのに殺したいと、どちらも矛盾を抱えながら悩みつつ必死に生きている様が分かりますし、そこに不自然さはさほど感じませんでした。
ですがジンは、No.2までではやはりキャラクターが安定していないように見えましたね。行動にも思考にも不自然さが多々あって、物語の最初と最後で思っている事や言っている事が違うような事もありました。
『バーコードを殺す』と目標を定めてから、どれほどの時間が経っているのかは知りませんが、トゥールたちと出会った時点ではやはり多少の事が起こっても動じないくらいの覚悟は持っていた方が良いのでは、とは思います。
他には敵キャラであるつむじ風女にももっとスポットライトを当てて欲しかったですね。読者にとっても非常に嫌悪感を持たせるくらいの最低な敵だと、倒した後にスカッとしますし、逆に魅力的な敵だったら、倒した後は残念とか無念とか相手に感情移入できるので。

指摘して欲しい点に、「この作品は死をテーマにしてるのだろうがそれが油っこすぎる」と指摘されたことがあるので、それについてどう思うか、と書かれていましたが、本当に『死』をテーマとしているのだったら、私としては逆にまだまだ甘いかなと言わせて頂きます。
No.3以降はまだ読んでいませんが、No.1〜No.2までで、主人公たちの目の前で死んだのは、敵キャラのつむじ風女ただ一人です。

死をテーマとしているのだったら、身近な者の死と、それに対する苦悩、そしてそれを乗り越える、あるいは苦悩し続ける、というのは切っては切れないと考えています。

『死をテーマ』というよりは『自分の存在意義を探す』とか『幸せの形を見付ける』とか、『不幸の中に居る自分たちを、それがプラスとなるかマイナスとなるかは分からないけど、それでも変えたいと行動する』というような、そういったテーマに見えました。

逆に『死』をテーマにしたいのだったら、身近な者をどんどん殺して主人公たちにどんどん苦悩してもらう……というのは言い過ぎですが、そういった面も必要になると思います。


【文章能力】
かなり高いと思います。はっきり言って、吃驚しました。
設定の練りの不足から曖昧な部分もありますが、それでもスラスラと読めてしまえるくらいに文章能力は高いと思います。これまで指摘した点も、ほとんどが物語の流れやキャラクターの心情の機微などの設定上の不備であって、文章に関してはあまり指摘することはありません。
設定と、ストーリーの流れをしっかりと決めていれば、それを本文に落とし込めるだけの文章能力はあると思います。
逆にそこが曖昧だと、いくら文章能力があっても不自然な文章しか書けなくなるので注意が必要です。



■総合評価:『可』

何度も書いていますが、設定の詳細部分の詰めが甘い所があります。
そこをしっかりと押さえればかなり良い作品になるとは思いますが、現状はまだまだ甘く、ストーリー展開の勢いと高い文章能力で誤魔化している感じがします。
とは言え、小説として光る部分は確かにありました。
どうか、これからも精進を忘れず頑張って下さい。応援しています。

以上、これにて『継ぎ接ぎバーコード』の感想とします。
無駄に長くしてしまったという意識はあるので、もし指摘にてよく分からない説明がありましたら質問して下さい。

それでは、長文失礼いたしました。