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- Re: 【募集〆】貴方の小説に感想を書こうか ( No.29 )
- 日時: 2019/07/14 21:37
- 名前: 書喰神 ◆ugFJcpBygw (ID: b9FZOMBf)
続きです。
あくまで『第001次元 緑色の瞳』だけを見た印象では、初心者がよく陥る『今後の伏線にしようと情報を伏せる手法での失敗』になっている感じがしました。
『狂彩の一族』『シーホリーの一族』『緑の目』など、この作品独自の設定が出てきましたが、それらを情報を伏せつつ強調させようとして、ただ色々な説明を曖昧にしただけで物語が流れていっている印象を受けます。
商品少女は『栗色の髪、黄金の右眼、翡翠の左眼』。
司会者が言うには『世にも珍しい両眼の色が異なる『狂彩の一族』』
これは世界的にオッドアイが珍しいという意味でしょうか?
それとも、『狂彩の一族』と呼ばれる同じ血を受け継いだ一族が居て、それの特徴として世界でも珍しいオッドアイになるという事でしょうか?
左右の眼の色が違う『オッドアイ』に焦点を当てたいのか、それとも狂彩の一族というものの『血』に焦点を当てたいのか、本文からは全く分かりません。
更にそこにロクアンズの緑の目も強調して書いてあるので、作中の焦点がコロコロと変わってしまっているような印象です。
タイトルは『緑色の瞳』で、ロクアンズの目を強調して書いてはいるものの、特殊性を説明しているのはむしろ『狂彩の一族』の目なので、タイトルに出ているほどに緑の目を強調する意味がこの話であったのか疑問を覚えます。
ストーリーの雰囲気に流されて作者様があまり良く考えずに筆を進めてしまった時に起こる失敗ですね。
第002次元 此花隊
『ここは、海に囲まれた大国──『メルギース』』
冒頭から突っ込みドコロ満載で困りました。
まず、『大陸の半分の国土を持つ大国』であり、『先進国』であるのに、『貧富の差も大きくない』という説明が既にありえないでしょう。
先進国であるならば、様々な新技術があるはずですが、それらは大陸南半分という広大な国土に住む莫大な人数の国民全てが使えるものなのでしょうか?
『点在する町村や大自然から成り立っている』とありますが、国の中心部に住む者たちと末端に住む者たちで本当に『貧富の差も大きくない』のでしょうか?
一次生産、二次生産、輸送、商売、管理などなど、広大な土地には様々な職業の一般人たちが居ると思われますが、どこをどう見た時に『貧富の差も大きくない』と言えるのでしょうか?
普通は先進国は貧富の差が大きいのが特徴です。もしも、その常識を覆すような何かがあるのならば、まずそれを説明するべきでしょう。
次。
『広大な国土は、点在する町村や大自然から成り立っている。』
町とは『市街地や小規模な都市』と言う意味で、村は基本的に『家屋数と密集度が少ない集落』という意味で使われる事が多いです。
つまり、この文章だと『大都市が無い国』という意味になります。
それを考えると、このメルギースという国は、広大な国土を持つ割に大都市が無い、かなりの田舎国家のような説明に見えますね。
読み進めると『第四次メルドルギース戦争』まであった大きな戦争の歴史があるのに、全く防衛体制を感じさせない長閑すぎる描写になっていて違和感を増幅させます。
次。
『活気溢れる街のそばには豊かな自然地帯。』
街の意味は調べましたか? 『都市の中の商店などが立ち並ぶ通り・場所』を意味していて、英語で言えばストリートですよ? 都市とごっちゃになっていませんか?
つまり『活気溢れる商店通りのそばには豊かな自然地帯』という意味不明な文章になっているという事です。
次。
『その代表とも呼べるのが、国内最大の都市、『エントリア』という街である。』
都市なのに『街』を使っているから『エントリア商店通り』になってしまっていますね。それに都市が存在する時点で最初の『広大な国土は、点在する町村や大自然から成り立っている。』からは矛盾してしまっています。
次。
『エントリアの外ではめったに見られない二階層の家宅、宿屋、数多の研究施設が街の中に立ち並んでいる。』
『二階層』と書いてありますが、これはつまり二階建ての建物が国内最大の都市以外では珍しいという意味でしょうか? 他はほぼ全て一階建て、平屋という意味でしょうか?
それは私たちの住む現実の世界ではありえないので、この物語の世界独自の設定という事ならもっと深く説明が欲しいです。現状のようにサラッと流すような説明だと「え? 二階建てが珍しいとか、どれだけ文明レベルが低いの?」と疑問に思いますし、それに対する解答もないので、ずっとモヤモヤとした違和感が付きまといます。
次。
『思ってもいなかった方向から声が飛んできた。コルドは反射的に、声のした方を向いた。』
本文を見るに、この講義の生徒はロクアンズとレトヴェールしか居ないようですが、他に大勢居るならともかく、二人しか生徒はいないのに『思ってもいなかった』とか『声のした方を向いた』とか、まるでレトヴェールをその他のように意識の外に置いているコルドに違和感。
『声のした方を向いた』とありますが、これだと全く別方向に向いたというような意味に見えますが、生徒二人の席は離れていたのでしょうか? それも描写がありませんのでいきなり感が強く、不自然です。
次。
「いや、見事だ。……さすがの博識だな、レトヴェール」
コルドが褒めているのですが、この時点までの文章を見るにレトヴェールは「教本に視線を落としたまま」言っているので、他者であるコルドの視点からは教本を、つまり答えを見ながら発言しているように見えるのではないでしょうか? この時点では教本に小説が挟んであるなんて第三者には分からないのですから、答えを見ながら言っている(ように見える)レトヴェールに何故コルドは称賛を送ったのでしょうか? コルドが小説に気付いた描写も無ければ、小説を読んでいる点を怒っている様子もありません。
読者にレトヴェールの博識さを印象付けたかったのだと思いますが、これではコルドのセリフの不自然さだけが目立ちます。
次。
『この大陸の"北半島"を占める『ドルギース国』』
意味は分かりますが、大陸を半島で表すのは違和感を感じますね。
それは置いておいて、大陸の内、南半分を占めるメルギール国、北半分を占めるドルギース国。という事は大陸に二国しか居ないのでしょうか? もう大陸の100%を二国で埋まっている状態ですが、他国は何処にいるのでしょうか?
次。
『でもすぐに政府が対処した。政府は、対立するメルギースとドルギースの間を取り持ってる中立の団体だからな。』
『政府の中でしばらく抗議した結果——『国家間に於ける次元師の軍事的活動を禁ずる』……と、国法で定めた』
突然出てきた謎団体『政府』。政府の意味は『国家を統治する機関』ですが、大陸を二分するメルギースでもドルギースでもないって、いったい何処の国の政府なのですか?
何故、大陸二強であるメルギース、ドルギースの間を取り持てるのでしょうか?
全く、一切、これっぽっちも説明がないのに登場人物だけで分かりあって、読者が置いてけぼりになっています。説明が説明でなくなっています。
『政府の中でしばらく抗議した結果』って、謎団体『政府』内だけで抗議してどうするんですか? 『協議』あるいは『討論』の間違いでしょう。
しかしそれを直しても『政府の中でしばらく協議した結果』って、大陸二大国家を放置して謎組織『政府』だけで協議した事が正式に法として認められるって、むしろメルギースとドルギースの政府は何をしていたんだという話になるのですが?
あと『国法で定めた』とありますが、だから何なんですか? 国内だけで定めても自国以外の他国には意味ないですよ? 『国際法で定めた』なら分かりますけれど。
最後に、『次元師』とありますが、『師』とは『技術・技芸などを表す語に付いて、その技術の専門家であることを表す』ので、専門技術、つまり明確な技術体系があって、その専門家という意味で使われるので、作中のような先天的な能力である『次元の力』に付ける接尾としては不適格であるように思います。
申し訳ありませんが、これでギブアップです。
二話の終わりまでもいきませんでした。
■総合評価:『論外』
これほど長く書いたという事は物語を思いつく力はあるのだと思いますが、それを不自然さの無い、リアリティのある表現で描写する文章能力が圧倒的に欠けています。
恐らくあれもこれも伏線にしようとして情報をぼかそうとしたのだと思いますが、全てにおいて曖昧になり、物語そのものに不自然さが目立っています。
端的に言って、違和感が多くて読んでいて気持ち悪くなります。
最初に書いた通り、小説の面白さは『分かりやすい』『読みやすい』の先にある物と私は認識しているので、このような不自然さと違和感しか見えない冒頭だと先を読む事さえ苦痛に感じます。
よって、私としては『論外』と言わざるを得ません。
『伏線』というものは作家様でさえも扱いの難しいものなので、素人が曖昧な設定で使い熟せるようなものではありません。
まずはちゃんと、一つ一つの場面を分かりやすく説明し、リアリティのある描写を出来るようになってください。
ご依頼にあった、ストーリー構成も戦闘描写もまずはそれからです。
かなりきつい言い方になりましたが、全部本心です。
申し訳ありませんが、私ではこのような言い方しか出来ません。
あと、単語の意味はしっかりと調べましょう。雰囲気だけで使っていると全く意図とは別の意味になることがあります。
この指摘の意味が分からない、しっかりと直したいからもっと詳しく教えて欲しい、などの質問がありましたら受け付けます。
以上で『最強次元師!!』の感想を終わりたいと思います。
長文悪筆失礼しました。
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