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- Re: 【募集中@2名】貴方の小説に感想を書こうか ( No.54 )
- 日時: 2019/08/25 23:12
- 名前: 書喰神 ◆ugFJcpBygw (ID: Mu5Txw/v)
ピノさん
申し訳ありません。遅くなりました。
『幻想叙事詩レーヴファンタジア』 感想
・序章 叙事詩の序曲 にて
『科学の進歩により数多くの不思議な出来事の仕組みが解明された近未来。
そんな解明が進む世界で』
『そんな解明が進む世界で』に違和感。恐らく作者様がここで言いたいのは「解明が進んでいること」ではなく、「不思議な出来事が世界的にもう殆ど無い現状」であり、「そんな現状であるにも関わらず、最近になって不可思議な噂が流れていると強調すること」だと思います。
そうであるならば、「不思議な出来事がもう殆ど無くなった世界」ではなく「解明が進む世界」と表現しているのが違和感を強くさせています。
要は『そんな解明が進む世界で』を前者として、この後に続く文章との対比が少しおかしいように見えるという事です。
『そんな解明が進む世界で』→『最近になって不可思議な噂が流れている』
『そんな不思議な出来事がもう殆ど無くなった世界で』→『最近になって不可思議な噂が流れている』
どちらがより後者を持ってくるための文章の繋がりとして違和感が無いか、という指摘です。
とはいえ、私が例に挙げた「不思議な出来事がもう殆ど無くなった世界」という言葉も直接的ですが少し文章としては違和感があります。
これは導入部分が簡潔に書き過ぎているせいもある気がします。
オカルトやファンタジー要素が皆無なはずの近未来世界に、それらが突然舞い込んで来る、という展開なのでしたら、導入部分の世界観説明は、もっと科学的、現代的であり、現実的な普通の世界なのだという点をアピールした方が、その後に来るファンタジー要素とのギャップがはっきりして物語にメリハリが生まれると思います。
次。
『望月市(みつきし)』
これは無視しても特に問題の無い指摘ですが、『望月(もちづき)』という読み方の地名や名字が既に存在していてかなり有名で一般的な読み方になっているので、「みつき」という読み方に変える場合は、頻繁に振り仮名を付けた方が良いと思います。普通は「もちづき」と読むと思うので。もっと言うなら別の漢字にした方が良いとは思いますが。
加えて『星生学園』というのも、「ほっしょうがくえん」という読み方で佐賀県に実在します。何かその名前に意味があって、今後の伏線となっているのならそのままでも構いませんが、そうでないならばもっと別のオリジナルの名前にした方が良いと思われます。
次。
『教室には複数の生徒達が帰りの約束やら、会話を交わしている様子だ。』
「教室には」で始まる文章で「様子だ」で終わるのに違和感。
だったら「様子が見て取れた」にした方が自然です。
その後の文章も「〜〜だ」で終わっていて、「〜〜だ」「〜〜だ」という連続した同じ文末は読みにくい印象を受けるので出来るだけ避けましょう。
次。
『皆が帰る準備をする中……女子生徒と男子生徒の話し声を耳にする。』
対象が男子生徒1人、女子生徒1人の場合なら問題ないですが、複数人居るならば『クラスメイト』あるいは『クラスメイトたち』の方が良いと思います。「男子生徒」も「女子生徒」も基本的に単体を示すので、複数形の言い方をしていない本文で、この後に三人以上会話に出てくると不自然さが生まれます。
次。
『それを聞いた冷静な男子生徒が楽しそうに笑う。』
「明るい女子生徒」「冷静そうな男子生徒」「おっとりした男子生徒」「真面目そうな印象の女子生徒」など、一度だけならまだしも、何度もその形容を使うと、上記のように「冷静なのに楽しそうに笑う」みたいに少し矛盾を感じる文章になることがあります。
「冷静そうな男子生徒」と「冷静な男子生徒」では、意味も変わってきます。
上記のように「明るい」とか「おっとりとした」とか、雰囲気を形容した場合、それを何度も仮称代わりに使うと矛盾が出てくる場合があるので、名前を出さないならば、出来れば髪型や身長などの容姿を使った方が違和感も矛盾もなくなると思います。
次。
『彼の様子に明るい女子生徒が溜息をついて苦笑いをしていた。』
この時の人物像に違和感。「明るい女子生徒」が噂話をし始めて興味津々な様子から会話が始まったのに、それに乗って来た「おっとりした男子生徒」に対して溜息を吐いて苦笑いをする、という「噂話の提供者が、話題に乗った者に対して一歩引いた」感じになっているのが凄く違和感に思いました。その一歩引く役割は「冷静そうな男子生徒」か「真面目そうな女子生徒」のどちらかの方が自然では?
次。
「神隠しの噂かぁ……聞いたことがある、確か何かに憑りつかれて夕方になるとどこかに失踪してしまうって」
「俺には関係ないよな……それにどうせ確証もない噂だし。俺は普段通りに平凡な毎日を送れたら、それでいいんだけどなぁ……」
小説に独り言は付き物ですが、それにしてもリアリティは大切です。
「神隠しの噂かぁ……」「俺には関係ないよな……」までならばまだ分かりますが、それ以降はちょっと無理があると思います。
一番目の独り言はちょっと説明くさくなりすぎです。後半は心の声でも良いくらいです。二番目の独り言はまるで普段は非凡な毎日を送っている者が、平凡な日常を求めているような感じに聞こえます。あるいは「平凡な毎日を送れたら、それでいいんだけどなぁ……」と、これから非凡な日常が来ることをあたかも確信しているかのような言い方に違和感を覚えます。
次。
『悠樹は振り返ると、————少女がニコニコしながら悠樹を見ていた。』
「悠樹が振り返ると、」の方が後の文章の繋がり的に自然です。
次。
『赤いバレッタでサイドテールの髪を結っている、赤こげ茶の髪のかわいらしい少女』
髪型と髪の色とで別けるよりも、髪関係は纏めた方が文章として綺麗です。
例えば、
「赤こげ茶色の髪を赤いバレッタでサイドテールに結っている、かわいらしい少女」
とかですね。
もっと言うならば、バレッタはあくまでも髪を押さえるものなので、「バレッタで結う」という表現は相応しくないように思います。
次。
『なんというか、妹のような存在でたまに家に押しかけてきたりする。
というのも、悠樹の家は母は行方不明、父は単身赴任で海外へ出向いている。だから詩織が晩御飯を作りに悠樹の家まで来ているのだ。』
いくつかこの部分で気になる点があります。
「たまに家に押しかける」のに「晩御飯を作りに来ている」というのは、たまにしか晩御飯は作らないという意味で合っていますか? それとも毎晩?
毎晩食事を作りに来ているというとちょっと、地の文での説明にあるよりもかなり二人の距離が近過ぎる感じがします。毎晩なのだったら「幼馴染」と言うだけではなく、もっと距離が近しいことを強調するエピソードを簡潔に追加した方が自然です。家族ぐるみの付き合いとか。
逆にたまにしか晩御飯を作りに来ないとなると、「たまに」の頻度にもよりますが、心配のし方が中途半端に見えます。晩御飯を作りに行かない日はどうするんだ、と。
あと、「悠樹の両親が現在不在」→「だから詩織が晩御飯を作りに来ている」というのは文章として少し不自然というか、理由付けが乱暴です。
「悠樹の両親が現在不在」→「悠樹の食生活を詩織が心配して」→「だから晩御飯を作りに来ている」
というように、幼馴染で親友ではあるけれど、別段恋人ではない異性である詩織が悠樹の家に訪れるという理由、その展開の流れを省略せずに自然な文章になるように心掛けましょう。
経緯を省略する手法もありますが、初心者がやると不自然な文章になってしまう事が多いのでお勧めはできません。
次。
『「はあ、抜けてるのはどっちだよ……普段ぼーっとしてるくせに詩織は」
それを聞いた詩織は、慌てふためきながら苦笑して「こりゃ一本取られた」と舌をペロッと出した。
「え、えへへ……あ、悠樹くん、一緒に帰ろ? もうこんな時間だし!」』
会話の流れが少し乱暴すぎます。詩織の紹介時に「詩織が抜けている」などという情報は事前には何も出てきていないのですから、何処が「一本取られた」のか、どの点が上手い返しなのか、読者には全く理解できません。
せめて、つい最近、詩織が「ぼーっとしていた」せいで何かをやらかしたというエピソードを入れて下さい。「普段ぼーっとしてるくせに」とのみ言われただけで『慌てふためく』というのは普通の反応じゃないのでキャラクターの心情に共感出来ないです。
加えて、『慌てふためきながら苦笑して』という表現に対して「え、えへへ……」というセリフも違和感。
『慌てふためく』というのは『慌てて騒ぎたてる』、『慌ててバタバタと音を立てる』などという意味です。この表現だと詩織の反応が大人し過ぎます。むしろこの表現が過剰です。
そして「慌てふためき“ながら”」という表現もそれを助長します。「○○しながら」というのは「同時に」という意味なので、合わせると『慌てて、騒いで、音を立てて、同時に苦笑する』という状態です。「え、えへへ……」と釣り合わないどころか、その会話の状況とも合いません。
セリフを変えないというのなら、表現描写を変えましょう。
「え、えへへ……あ、悠樹くん、一緒に帰ろ? もうこんな時間だし!」
『痛い所を突かれたのを誤魔化すように可愛く笑い、慌てて話題を変えてきた。』という感じでしょうか。
考えればもっと良い表現もあるかもしれません。
次。
『住宅が建ち並ぶこの街、「望月市」は東京の一角にある都心にしては小さな街である。』
この文章は矛盾だらけです。東京の地図を確認して下さい。
まず、『都心』とは「他の都市部よりも行政機能や会社の本社機能、大きな商業機能が集中しているところ」という意味であり、東京都で言うと、東京駅がある千代田区、その周辺の中央区、港区が、都心という範囲に当て嵌まります。
東京都内にある『市』は、都心からは少し離れた場所にあるので、オリジナル設定であっても、『市』を都心とはけして言えません。
更に、『都心』はその名の通り、都の中心部なので、『一角』という「端っこ」とか「部分的」を強調するような言葉は相応しくありません。
更に、「東京の都心にしては小さな街」というのも、「都心」の意味を考えれば意味不明な文章というのが分かると思います。先進国である日本の首都、更にその中心部を意味する『都心』であるのに、「小さな街」と表現している矛盾です。
はっきり言って、オリジナルの街と、実在する地名をごっちゃにすると整合性の取れていない意味の文章になってしまうので、特に意味がないのなら実在の地名は出さずに、地名はぼかすか、あるいは完全にオリジナルの地名にしてしまった方がいいです。
具体的な県名は出さずに、○○という町とかだけで良いと思います。
東京都民が見たら、『市なのに都心ってどういう事? 都心なのに小さい街ってどういう事? 東京を知らな過ぎるでしょ!』という感想になると思います。
次。
『詩織と別れるいつもの道。建物の間に道があり、そこをまっすぐ進んだ場所に、詩織の家がある。悠樹はこのまままっすぐ進めば自分の家がある。』
道の説明がいい加減過ぎます。自分の書いた文章をよく読んで下さい。
『建物の間に道があり』
『そこをまっすぐ進んだ場所に、詩織の家がある』
『悠樹はこのまままっすぐ進めば自分の家がある』
特に意味が無いのならば、ただの「分かれ道」とだけ書けば良いと思います。説明しようとして無意味な文章を増やしているだけにしか見えません。
以下に続きます。
- Re: 【募集中@2名】貴方の小説に感想を書こうか ( No.55 )
- 日時: 2019/08/25 23:13
- 名前: 書喰神 ◆ugFJcpBygw (ID: Mu5Txw/v)
続きです。
次。
「か、仮にって……私は女の子だよ!」
『女の子だよ』の前に、『正真正銘の』とか、『まごうことなく』とか、悠樹の言った「仮にも」を否定する文言を持ってきた方が自然です。
次。
『ふと建物の間に何か黒い渦が見えたことに気づいた。』
説明が雑です。この部分は、日常から非日常へと変化した一番最初の場面なので、もっと丁寧に描写しましょう。具体的には、ただ『建物の間』というだけではその場所のイメージがわきません。ビルとビルの隙間? 住宅と住宅の間? 住宅の囲いと囲いの間? 「建物」だけでは全く分かりません。
次。
「うん、また明日ねーっ!」
直前に「晩御飯を作ってる」云々の説明があったにも関わらず、「今日はどうする?」みたいなやり取りも全く無く、普通に「また明日」と別れている事が不自然に感じました。設定に対し、キャラクター同士のやり取りが雑です。早く見せ場を書きたいのかもしれませんが、見せ場に至るところもしっかり描写しましょう。
次。
『驚いて悠樹は一歩後ずさろうとするが足元が奪われ、地面が悠樹を捕まえようと巻き上がってくる。』
「足元が奪われ」という文章が不自然。恐らく、道の状態が悪いときや酒に酔ったときなどに、思うように足を動かせず、歩行・走行が困難になるという意味の「足を取られる」とか、交通機関が麻痺まひ状態になり、通勤・通学などができないようになるという意味の「足を奪われる」がごっちゃになったのだと思います。
加えて、『地面が悠樹を捕まえようと巻き上がってくる』というのは、土、あるいはコンクリートの地面が動いて、という意味でしょうか?
そうなると事前情報にある「黒い影が襲いかかり」とか、その後にある「黒い影が悠樹を包み込んで離さず」という文章と矛盾が出ますが、最初の『黒い煙』が悠樹を呑み込んだのですか? それとも空間が歪むように悠樹は消えたのでしょうか? もしくは地面が動いて悠樹を呑み込んだのでしょうか? 現状の文章だと、この三つがごっちゃになっているように見えます。いったいどれでしょうか?
次。
『後に残るのは、いつものように車が車道を走り、夕日が赤く染める街並みのみだった。』
悠樹が消えたのって、人通りの少ない場所じゃなくて、普通に車が走っているような場所だったんですか? という事は普通に他の人も歩いていたって事でしょうか?
描写不足でその辺の光景が非常に曖昧になっています。
そして、「車が車道を走り」という文章は、当たり前の事過ぎて逆に違和感です。
例えるならば、わざわざ「人が足で歩いている」などと当たり前の事を無駄に書いているような違和感です。
他に人は歩いていますか? 車は頻繁に行き交っていますか?
作者様の頭の中の、この時の光景をもう少し文章に落とし込んで下さい。
次。
「確か、俺……まだ街中にいたはずじゃ……」
「まだ」は余計と思います。「まだ」と付いたのでは、もう少ししたらこの場所に来ていたような予定だったように見えます。
次。
『それは青い肌、頭からヤギのような角を生やし、耳が長くとんがっている。背中からは蝙蝠の羽のようなものを生やし、手には真っ赤に染まった三又に分かれた槍を持ち、鮮血のような真っ赤な瞳で悠樹を睨んでいた。
悠樹は咄嗟に後ずさる。それはまさしく人間ではない、異形の化け物だ。』
自分の書いた文章で、ちゃんと映像になるかどうか、想像して下さい。
これでは『肌の色』『頭の角』『耳』『背中から生えた羽』『手に持った槍』『目』しか分からないので、そもそも肝心の容貌が全く分かりません。
上記の情報はあくまでも追加情報です。まずはベースとなる本体の情報を先に出すのが基本です。
姿形のベースは人間と同じでしょうか? それとも何かしらの動物がベース? 体長は? 四肢の数は? 服は? 裸?
正直、人間ベースで上記の特徴を持つならば、確かに異形ではありますが、一般的な簡易的悪魔のイメージと酷似しているので、身長が普通の人間大だったのならコスプレ感が強く、『異形と化物』と言うにはちょっとインパクト不足だと思います。
もっと大きさとか、獣的身体要素とか、普通ではありえない部分を全面に押し出して、『異形の化物』感を出して下さい。
次。
『悠樹は逃げようかと悩んでいる隙をついて、化け物は手に持っている槍で悠樹の頭に向かって勢いよく突き出す。』
『は』『が』など、助詞の使い方がおかしい部分がちょくちょく見受けられます。
この文章では
「悠樹“は”逃げようかと悩んでいる隙をついて、化け物は○○する」
↓
「悠樹“が”逃げようかと悩んでいる隙をついて、化け物は○○する」
この方が自然です。
次。
『悠樹は避けようとしたが、頬に切り傷を受ける。』
本作初の戦闘シーンなので気合を入れましょう。
「避けようとした」けれど「まともに当たった」ならば分かりますが、「頬に切り傷を受ける」という事は、「避ける事は出来た。けれどかすった」という事だと思います。
しかし「避けようとしたが」だと、「避けれなかった」という意味に見えるので、矛盾が生じます。
なので、『悠樹は無我夢中で首を捻ってそれを避けたが、鋭い穂先が頬をかすった』とか、まずは一つ一つ丁寧に場面を描写しましょう。
よく、文章の書き過ぎは読みにくくなる、と文章量の少なさに言い訳をする者がいますが、それはあくまでもちゃんと描写が出来ている人が考える問題です。
そもそも文章量が少なく、説明や描写がキチンと出来ていない人はその言い訳を論ずる資格はありません。文章量は多いに越した事はないのです。
上記にあった「車が車道を走ってる」のような意味の無い文章は要りませんが、その場面の場所の説明、登場人物の動き、心情など、書くべき文章は無限にあります。
理想の文章というものは、それを読めばその場面が映像としてイメージ出来る文章です。難しいとは思いますが、そんな文章を目指しましょう。
次。
『傷からは赤く冷たいものが流れ、頬を伝う。』
普通、血は熱いものでは? 血は冷たくなる前に固まります。傷から流れる冷たい血なんて普通ではありえません。あと、傷口も熱く感じると思います。
次。
『化け物は槍を悠樹の足に向かって思い切り投げた。』
化物と悠樹の位置関係がよく分かりません。
文章をよく読み返して下さい。「化物の槍を悠樹は避けたけど頬を掠った」という事は「化物の槍が届く範囲に悠樹が居る」という状況です。そこで「化物と距離を取った」という説明も無いので、化物はまだ悠樹の目の前に居ると読者は思います。
しかしそこでいきなり『化け物は槍を悠樹の足に向かって思い切り投げた』ときました。槍が届く範囲に居る相手に向かって、その槍を思い切り投げますか? それとも最初に回避した時に距離を取ったのでしょうか? そうなら「距離を取った」という説明を入れて下さい。
次。
『槍は悠樹の足を貫いて地面に刺さる。』
『経験したことのない痛みが全身を覆い、悠樹は俯せに倒れた。足は槍によって串刺しになり、動くことができない。』
悠樹の動きが不自然です。文章は映像でイメージして下さい。
悠樹はこの時、どのような状態ですか? 槍が刺さったのは右足? 左足? 足の何処? 足の甲? 槍で地面と縫い付けられた状態?
足の甲と地面が槍で縫い付けられている状態なのだとしたら、俯せで倒れる事が出来ますか? 足の裏を地面に付けたまま実際に俯せで倒れてみて下さい。
はい、無理です。人間は関節の可動域的にそんな動きは出来ません。
『俯せに倒れた』ではなく『無様に尻もちをついた』ぐらいで良いと思います。
尻もちならば、足が縫い付けられた状態でも可能な倒れた体勢です。
次。
『自分で「死」を口にすると、全身を恐怖感が支配する。体の震えが止まらなくなる。呼吸も乱れ、徐々に近づいてくる化け物に恐怖する。』
この文章の要点を簡潔かつ端的に言い直すと「恐怖する。更に恐怖する」と同じ意味の言葉を二度繰り返している事になるので、「恐怖する。だから○○する」と繋がる文章にしましょう。
次。
『だがもうどうにもできない。武器も、動くことすらもままならないからだ。悠樹はそう考えると、覚悟を決めたように瞳を閉じる。』
考えが浅いです。覚悟を決めるの早過ぎです。
「どうにもできない」のは分かりますが、それの理由で挙がるのが「武器」と「動くことが出来ない」だけ。というか「武器も」といきなり考えるのも不自然です。
作者様がもしこのような化物が現れたら戦うことを選びますか? 武器があれば戦えますか?
武道の経験も無い、日常的に喧嘩しているわけではない、戦闘経験皆無の一般学生が目の前に化け物が現れた時にどういう思考をするのか。もっとよく考えて下さい。
この時点では悠樹がどういう思考する人物なのか、まだ読者は分かりません。
好戦的なのか、何か武術の心得はあるのか。運動が得意とか、喧嘩が強いとか。
戦闘経験の全く無いごく一般的な男子生徒であれば、守るべき者があればまた変わるのかもしれませんが、目の前に化け物が現れたならば、そもそも混乱して何も出来ないでしょう。あるいは無様に背を見せて逃げる事しか出来ないと思います。
だって『化け物』ですよ? 『異形』ですよ?
更に『足には槍がブッ刺さり、大怪我していて激痛もしている』状態です。
その状況から脱する事が優先であり、「武器」なんて発想自体しないと思います。
つまり、悠樹の思考にリアリティが無いのです。
付け加えると、文章の構成もおかしいです。
「武器も、動くことすらもままならないからだ。」
後者は分かりますが、前者は「武器も……なんなんだよ?」と、「も」の後に続く言葉が無いので不自然に見えます。
私には「武器も」は不要に思えます。悠樹が武術の心得があるのならばともかく。
更に、「覚悟を決めた」というのも簡潔に過ぎます。
走馬燈のように色々な出来事が思い浮かんでは消えて、親しい人の顔が浮かんでは消えて……みたいに死ぬ間際なのですから考える事がたくさんあると思います。
次。
『悠樹は驚いて周りを見ると、自身に白い光がまとわりついていた。』
展開の流れが雑すぎます。
この場面は、よくあるヒーローもので言えば、一番最初の変身シーンであり、物語の最初の見せ場だと思います。
何処にでもいる少年が特別な力に目覚める。そんな特別な場面を、こんな、気付いたら変わっていた、で終わらせるのはもったいないと思います。
風が渦巻き、光が乱舞し、目の前に神秘的な剣が現れる……そんな幻想的なシーンでは駄目なのでしょうか?
私としては、力に目覚める場面である此処は一番最初の重要な見せ場なので、思い切り読者にインパクトを与えるような幻想的な場面にした方が良いと思いました。
とりあえず、此処まで。
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