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- Re: 【募集】貴方の小説に感想を書こうか ( No.6 )
- 日時: 2019/06/22 16:20
- 名前: 書喰神 (ID: Bf..vpS5)
私の感想はまず、作品の最初から順に見ていって、気になった点や直した方がいい点を書いていきます。
そして最後に小説全体として、世界観、ストーリー、キャラクター、文章能力を評価して、総評を下します。
なので本来ならば感想を全部書き終わってから返信したかったのですが、予想よりも長くなってしまったので、中途半端ではありますが、一部を載せるとします。
『継ぎ接ぎバーコード』の感想
■No.00 懺悔と黒の約束
まず気になったのは色についての表現。
『割れた蛍光灯が織りなす暗がりの中』であるのに、『毒々しいほど鮮やかな色』とか『白い壁や床をも彩った』という表現方法に違和感。
最初に『どれくらいの間、こうしていたのだろう』と書いてあるので、物語開始時には相応に時間は経っているものと推測できます。そして『血』や『死屍累々』というワード。
血液は時間が経てば経つほど黒くなっていく物です。
暗がりで、辺り全てが血塗れの死体だらけだとするならば、視界はほとんど真っ暗であり、場面としては『漆黒』とか『赤黒い』とか『どす黒い』イメージです。
表現としては、明るさをイメージさせる『鮮やか』や『彩った』というよりは、『黒に黒を重ね塗りする』というような暗さを強調する表現の方がこの場面には合っている気がします。
場面の最初に『色』を強調させるのは、読者のイメージを膨らませるためには良い手法ですが、最初に提示した色と、その後の表現に差異があると読者に混乱を招きます。
今の状態では『暗がりの中』で『自分でも分からないくらい時間の経っている血』が『鮮やか』に全身や床や壁を『彩った』という事になっています。
暗がりで、どちらかと言えば黒に近い赤色の血が、どうやったら鮮やかに彩ったように見えるのでしょうか?
もしくは、白い壁や床がよく映えるとても明るい場所で、身体から噴き出たばかりの血だったら、『鮮やか』とか『彩った』という表現もありだとは思います。
『少年』が白衣を脱ぎ捨てた場所は『割れた蛍光灯が織りなす暗がりの中』ですが、次に『桜色の彼女』が居た部屋はどうなのでしょうか? 少年たちの居た建物は全てが暗がりだった? それとも最初だけで他は蛍光灯は割れていなく、明るくて白が強調される場所だったのでしょうか?
研究員が死んだ時の『彼が創り上げた鮮やかな赤色に沈む』という一文も、暗がりとは思えない、ありありと鮮やかな赤が強調されている表現です。
もしくは『桜色の彼女』と『研究員の男』が居た部屋はまだ明るかったのなら、最初に『明かりの差している部屋』など、暗がりから明るい場所への場面移動のための一文を入れることをお勧めします。
その一文だけでもあると、漆黒なイメージの場面から、彼女の髪の桜色や、部屋の白さ、研究員がたった今出した血の赤色など、色鮮やかな場面へのイメージの移行がしやすくなります。
■No.01 曇天下の爬虫類へ
世界観設定は興味深いですが、ストーリーの流れでキャラクターの行動の所々に違和感を覚えます。
場面の最初、『荒廃した街を一望出来る、半壊した高層マンション。その屋上』にトゥールとクラウスは居ました。
そこに現れた傷だらけ血だらけで意識も絶え絶えの子供。
トゥールは十代前半と推測し、設定では十三歳くらいと書かれていましたね。
読み進めると『七階の高層マンション』と書かれていますね。つまり屋上までは八階分の階段を上る必要があります。
ここで疑問なのですが、出血多量な裂傷切傷だらけの重傷で意識も絶え絶えの、見た目死んでもおかしくないような状態の十三歳くらいの子供が、階段で、八階分の高層マンションの屋上へと上って来られるでしょうか? あるいは、屋上に行かなければならなかった何かはあるのでしょうか? 途中の空き部屋に行かなかった理由は? 例え普通の人間よりも身体能力が高くて可能だったとしても、あの状態で屋上まで行く必要性が読み続けても分かりませんでした。
そしてそれに疑問を思わないトゥールとクラウスに違和感を覚えました。
ジン自身も不思議に思っているようでしたが、ストーリーとしては軽く流しています。
何か深い理由があるのでしょうか?
例えば誰かから逃げていたとして、心理学的には人は無意識にその誰かから物理的な距離を取りたがるものと言います。ビルの中で、犯人が自分より下の階に居るとするなら、最終的に逃げ場が無くなると理性では考えていても、無意識に上へ上へと逃げてしまうアレです。
しかし今回の場合、元々少年が高層マンションに外に居たとしたら、例えばマンションの一階の空き部屋に隠れるというのならまだ分かりますし、頭が働いていない状態だとすれば普通は平面上の距離を取る——つまりマンションは無視して遠くに逃げると思われます。わざわざマンションの中に入り、八階分も階段を上って屋上まで来るのは無意識下の行動としては不自然です。
あるいはジンに『安全地帯を探せる』などの能力があれば話は別ですが、それもありえないようですし。
私としては、物語としては致命的な不自然さではないかと思いもします。
とは言え、ここはトゥールとクラウスが初めてジンと邂逅した重要な場面なので、このレベルの不自然さを直すのは大変だと思われます。
代替案としては、街が見下ろせる丘にある、あまり高くない二階建てくらいのマンションで、正面の入口は塞がれているために入れないが、建物の横の非常階段から屋上へ上がれる。マンションの近くで襲われて遠くへ逃げる体力も無いために近くの建物に隠れようとしたが、周囲には崩れた建物ばかりでまともに入れるところも無く、消去法的にマンションの非常階段を上がっていった……という感じでしょうか。まだちょっと無理があるかと思いますが。
これはあくまでも一つの案なので、ヨモツカミさんの考えはまた違うかもしれませんし、直すかどうか決めるのもヨモツカミさん次第です。
もし、もしも仮に私の案のように直すのであれば、上記の『ジンがマンションの屋上に来た理由』を上手くストーリーに絡ませる手腕が必要になりますね。そのまま入れるにしても前後の文章との繋がりがおかしくならないようにしなくてはいけませんので。
誤字
『額の左側から鼻筋を通って、右頬まで続く、痛々しい縫い跡。目付きは悪いものの、幼い顔立ちは10歳前半の少年のように見える。』
『10歳前半』 ⇒ 『10代前半』或いは『十代前半』
次。
ジンのセリフに違和感。
「誰だてめぇ!」
「……これ、お前が手当したのか」
「そっか。助かったよ、ありがとうね。僕の名前はジンだ」
「わからない。よく思い出せないんだ。でも、“死神”か……あれも死神みたいなもの、なのかな」
「ありがとう、お世話になりました。僕はもう、行かなきゃ」
最初のジンのセリフだけを順に抜粋しました。
言葉遣いの推移が激し過ぎて違和感を覚えます。
というか「誰だてめぇ!」「……これ、お前が手当したのか」のセリフで口の悪いすれた子供というインパクトが強過ぎるせいで次の「そっか。助かったよ、ありがとうね。僕の名前はジンだ」以下が急に無邪気さが増したように見えて違和感に感じるのだと思います。他の方の感想にもキャラがぶれてるように見えるというのは、此処から来てるのではと愚考します。
「誰だてめぇ!」→「だれ!?」
「……これ、お前が手当したのか」→「……これ、あんたが手当したの?」
など、少し柔らかめの言い方に変えれば、違和感は少なくなると思います。
次。
バーコードの種類の説明。
最初だから色々と情報を伏せているのだとは思いますが、逆に最初としてはちょっと説明不足だと感じました。
実験とは、何をもって『成功』なのか。何をもって『不完全』と定義しているのか。
殺人衝動に駆られるというが、それは実験の副作用に含まれるのか、それとも原因は謎だけど何故かそうなってしまうのか。
そもそもバーコードの色は『いつ』決まるのか? 誰かが基準を決めて機械か何かで実験後に色を付けているのか?
最初に青と判断されても、その後に何かやらかして緑や赤と再判断される事はあるのか? その場合、色を変更される前に逃げたら青のままなのか?
それともバーコードの身体そのものが自身の性質を否が応にも自然と色に表してしまうのか?
この場面で何処まで情報開示出来るのかは分かりませんが、少なくとも私はこれだけの疑問が思いつきました。
あと、これは私のごくごく私的な意見ですが。
バーコードの種類の呼び方に違和感を覚えました。
成功作の『群青バーコード』
失敗作の『翡翠バーコード』
危険な『紅蓮バーコード』
実験体の名称が『バーコード』だったり、能力名が〈シュナイダー〉とか〈チェシャー〉だったりと、この作品固有名詞はカタカナの横文字が多い中、それに漢字を無理矢理くっ付けているように見える呼称に違和感があります。
もっと言えば、名称に統一感が無いです。
それにただ『翡翠』と聞くと綺麗で悪印象が無いイメージが強いですが、この作品では『失敗作』としての扱いを受けるバーコードに与えられている蔑称として使われているので、それも違和感をもたらします。
蔑称なのに宝石の名前を付けるのでしょうか? ただの色としての意味で付けているにしても、失敗作や危険作の呼称にわざわざ難しい言い方をする名称を付けるでしょうか?
物語を一つの世界として考えた場合、『バーコード』という呼称や『シュナイダー』などの能力名を考えたのは、実験を行った科学者たちか、実験を行わせた権力者のどちらかだと読者は推測します。
実験体を『バーコード』、つまり大量生産品の識別子として呼称するような者が、『翡翠』とか『紅蓮』とか小洒落た名称を付けるでしょうか? もっと機械的に、簡単に区別出来れば良い、とか考えそうなものだと私は思います。
もっと単純に『ブルー・バーコード』『グリーン・バーコード』『レッド・バーコード』とか、もっと言えば『青バーコード』とかでも良いと思います。
失敗作のグリーンを揶揄って『雑草野郎《ウィード》』とかのスラングを作ってもいいですしね。某劣等生みたいに。
もう一度書きますが、これは物語的な違和感ではなく、あくまでも私的な意見なので、気にしなくてもいいです。
ですが、作中に登場する名称は当然作者が考えますが、設定としては『作中の誰かが考えた名称』なので、統一感を持たせる事は重要です。
- Re: 【募集】貴方の小説に感想を書こうか ( No.7 )
- 日時: 2019/06/22 16:12
- 名前: 書喰神 (ID: Bf..vpS5)
次。
以下の文章に疑問。
『トゥールが翡翠バーコード──失敗作たる由縁。
〈能力〉の発動が、解けないのだ。』
この説明も、失敗作たる理由としては弱いと感じます。
先程も書きましたが、まず『実験とは何をもって成功か』を明確にしなければ失敗を論ずる事は不可能と思います。
ゆえに、最初に『バーコードとはこのような状態のものを作るのが目的』で実験が始められたとか、成功作の理想像を書いてくれると、それと対比して「こうだから失敗作なのか」と読者は理解できます。
今回、トゥールは身体の部分的爬虫類化が解除できない——人間の状態になれない事を失敗の理由として挙げられています。
ですが、バーコードが軍事利用を目的として実験されていたのならば、そもそも爬虫類の能力を問題無く使えて殺人衝動が無いのならば、それは十分に制御可能な兵器も同様なので、軍事利用を目的として作り出した側から見ればバーコードとしては十分「成功作」の範疇にあると思います。
しかし、作中では『人間の姿になれない』→『見た目が人間らしくない』という理由だけで失敗作と断じているように見えます。
いくら兵器として何よりも強力で従順でも見た目が化物なら失敗作でしょうか?
凄く弱い能力しかないけど見た目が人間にしか見えない従順な者は成功作でしょうか?
『バーコードと人間の親の間に産まれた子は必ず翡翠バーコード、不完全なバーコードとして産まれる。』
と作中にはありますが、実験的な「失敗」と、人間的な「欠陥」がごちゃ混ぜになっているように私には思えました。
作中のこの部分では、トゥールがバーコードとしての失敗作という点から始まって、すぐに人間のバーコードに対する嫌悪感に切り替わってしまっているので軽く流されてしまっている印象ですが、このバーコードの成功失敗の意味合い云々は作中の至る所でごちゃ混ぜになっているのを見受けられます。
成功失敗の定義はしっかりしましょう。設定の練り込み不足です。
1-5 誤字
『しかも表抜けするほどのお人好しだ。』
『表抜け』 ⇒ 『拍子抜け』
次。
1-6にて、トゥールに“死神”と呼ばれたジンは『今更惚けたところで無駄だろう』と考えたとありますが、何が『今更』なのでしょうか?
普通に考えて、死に体の子供と、既に何人も殺してる“死神”を同一視するのは難しいと思います。例え事前に「紅蓮バーコードは殺す」と不謹慎な事を言っていたとしても。
トゥールが『元々ジンのことを知っていた事』も『ジンの黒いバーコードの事を知っているという事実』も、この時点ではジンは知らないはずです。
一度は見逃す事に決めてこのまま穏便に事を済ませたかったのなら、一度は惚ける事をした方が普通なのではないかと思います。
何をもって『今更』と思ったのか? 何で『無駄』と思ったのか? この場面でのジンの心理状態が全く分かりませんでした。
一度「何を言ってるの?」と惚けて、トゥールが『元々ジンを知っている事』と『ジンの黒いバーコードを見た事』を言った後で、『今更惚けたところで無駄だろう』と考えるのならばまだ分かりますが、最初の時点ではそう判断する証拠が不十分です。
つまり心理描写不足です。
次。
私の理解力不足かもしれないですが、屋上でのトゥールとジンのやりとりにて理解不能な事が幾つかありました。
トゥールは以前から望まれない存在だと言われて自分も生きるべきではないと思っていた。だから死にたかったけど、守るべきクラウスが居たから今まで死にたくても死ねなかった。……で合っていますか?
ここまではまだ理解できます。
ですが、『トゥールは6年前に桜色の髪の不思議な少女に出会って、ジンの事を知って、ジンに殺されようと思った』という点はまったく理解できませんでした。
いえ、展開としては良いのです。殺されるために助けたというのも、ストーリーの展開としては良いと思います。
しかし、その理由が全くの謎です。
トゥールはジンに、自分を殺す代わりにクラウスを助けてくれと言いましたが、これは『ジンと出会う前に、クラウスを置き去りにして全く知らない場所へ行って自殺する』事と何の違いがあるのでしょうか? 私には違いが分かりません。
もしくは『ジンに殺される事』に何か意味があるのかもしれませんが、それも文章を読んでも全く理解できませんでした。
例えば、トゥールと桜色の髪の少女との出会いの回想を入れて、ジンに殺される事の意味をそこで書いてくれたのならば理解は出来ます。
ですが現状ですと、どうしてトゥールはジンに殺されようと思ったのか。何故、今までジン以外の要素で死のうと思わなかったのか。
クラウスを守るために今まで死ななかったのだとしたら、ジンが現れた瞬間、クラウスを残して死のうとした、今までと矛盾した行動の理由は何だったのか。
これらが全く分かりません。伝わってきません。
キャラクターの心理描写が全く無いのに、ストーリー展開の雰囲気だけでテンポよく進んでしまっている感じです。
ゆえに、この後のジンとトゥールの言い合いも、地の文で心情を見てる読者でも矛盾が多くて理解できてないのに、こいつらお互いが何言ってるのか理解しているのだろうか? と二人の思いが擦れ違って見えてしまいます。
以下、会話文だけを抜粋して注釈を入れました。
「俺はお前の事知ってたんだ。話に聞いた見た目と名前で、直ぐに分かった」
「6年前。名前は最後まで教えてくれなかった。桜色の髪の……不思議な少女だった」
「俺を殺してくれないか」
トゥールの言葉が足りなさ過ぎます。脳内補完するにも限度があります。
トゥールの心情の聞こえないジン側からしたら、「殺して」発言は急すぎます。
むしろなんで『命を奪うだけの存在である“死神”』とジンに思われている桜色の髪の少女に殺して貰わなかったんだよと思うのが普通だと思います。
どうして此処からジンに殺されたいと思ったのか、本当に殺されたいならそれが一番に説明しなければならないことでは?
「俺はお前に殺されるために、お前を助けたんだ。だから“お前のバーコード”のことも、見ないふりをした」
「そう。変な感じはしてたよ。僕が紅蓮バーコードの可能性も考えずに助けるなんて馬鹿な奴らだと思ってたし、包帯を巻くとき気付くよね」
今までの話の流れから、バーコードの色は世間からの評価が決まる、バーコードたちにとって重要なものだと推測できます。
黒いバーコードという通常ではありえない存在だと理解しているなら、治療を受けた直後に見られたという可能性に真っ先に思い当たるのが普通では?
もし「変な感じはしてた」というなら、治療後にバーコードの色を確認している場面でそれらしき伏線を入れておくと良いかもしれません。
「でも、お前のさっき言った、殺されたいっていうのが本気なら、確認する必要も無いんじゃないの」
「あの場では、そういうことをしたくなかったんだ」
ジンの質問の意味も、何を確認する必要が無かったのか、よく分かりません。
赤か黒かを確認する必要が無かったという意味ですか?
トゥールも質問の答えになってない、と思うのは私だけでしょうか?
とりあえず、疲れたので続きはまた後日。
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