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- Re: 小説を紹介して欲しい。 ( No.9 )
- 日時: 2020/08/03 17:47
- 名前: 憑 ◆R1q13vozjY (ID: gznRsWt8)
【魂込めのフィレル】2
世界観はよく練られているな、という印象です。恐らくはこの物語で使われていない部分もしっかりと考え抜かれているのだろうと思います。特に矛盾も見当たりませんでした。
物語の本筋にあまり関わってこない部分でポロポロと世界観に纏わる言及が見られたので、年表みたいな感じで歴史表かなにかでも作っている感じかな。作っていなかったとしても、アンダルシアの歴史について細心の注意を払っているように感じました。
歴史の作りの丁寧さだけでなく、地名とか町の名前もしっかり名付けられているところとか、町の特色と荒ぶる神々の特性(扱う魔法とか性格)とを絡めているところも独特な世界観を確立させていると思います。イルキス君みたいに僕もこの世界を旅してみたいなと思いました。序盤でフィレル君が世界地図を描いたり、フィラちゃんが「ここが○○なら、××が近いからそこに行きましょう」みたいな意味のことを言っている箇所があったので、流沢さんの頭の中でアンダルシアの世界地図がしっかりと想像できているか、図か何かで書き表している(メモをしている)感じだなと思いました。
魔導士の種類が豊富なところとか、エルクェーテの町の描写から「魔法が当たり前で浸透している世界」というのがよく伝わります。魔法周りの説明もその都度詳しく述べられているので、世界観の理解に手こずるとか、話に全く着いていけないということは無かったです。そしてなにより、物語で重要になってくるフィレルの絵心師の力とフィラの舞の魔法については、実際に魔法を使っているところを描写し詳しく地の文で説明されているので、すんなりと理解することができました。個人的にフィレルの生み出したリンゴ、食べてみたいですね……。めちゃめちゃ美味しそうだなって思って食べたくなったので、読んだ後リンゴを買いに行きました。
あと個人的に好きだなぁ、と思ったのは、神様が封じられたときに石に閉じ込められるところです。虹色の鎖が巻き付いて、宝石になる……凄く綺麗だなぁ、と。宝石の色も神によって違っているし。描写された色もそれぞれ似合っていると思いました。神が封じられた宝石が神殿にあるっていう情景、とても幻想的で素敵です。
魂込めのフィレルはどのキャラも、口調なり性格なり行動の様子なり、様々な観点においてキャラがたっていると思います。割とぽっと出みたいなキャラとか名前が出ていないモブ的なキャラでも、「あ、これ誰々だな」って感じで分かりやすいし覚えやすいですね。
あと意識的に、兄弟関係(血縁関係)にある者同士は名前を似せているのかな?とも感じました。ファレルとフィレル、ロアとノア、イルジェスとイルキス、ティムとティラ。エイルとレイドはそこまで名前が似ている印象はありませんが姿が酷似している感じですね、双子だし。
主要人物はフィレル、ロア、フィラ、イルキスの四人ですね。戦闘シーンを読んでいるとフィレルとイルキス辺りはかなり相性良さげだなぁと思いました。息が合っているというか、二人の戦い方のスタイルがハマっているというか。
フィレル君はギャップの塊!!って感じの印象です。普段の様子を見るに元気で明るくて、悩みなんて一つも無いみたいな感じですが、戦いのシーンとか、ロアが傷付けられたときとかはそんな感じが無くなってるなと思いました。ロアの失われていた記憶がどんどん暴かれて、ロアが自分から離れていくのを嫌っているところは年相応的で可愛いなぁと思いました。普段の態度から問題児的な扱いをされていましたが、実の所フィレルは天才気質っぽさ、観察眼が優れている所がありますね。イルキスとの戦いの時に幻影を見破ったところとか、いざという時に頼りになる感じとか。一言でフィレルはこう!って言いきれない複雑な性質を持ってるなと思いました。案外侮れない子だと思います。フレイリアさんとイシディア君に、亡くなってしまったシュウェン君の似顔絵を渡すシーンとか、大切な人を守るために慣れない戦い方(剣術を用いた戦法)で神と対戦するところとか、徐々に自分本位ではなく周りのことを考える心優しい少年にどんどん成長していってるのが見て取れました。身近な人のことを思う気持ちは序盤から強かったですが、四章でまさかシュウェンの似顔絵を描くとは思わなかったです。最終的には自分から離れて欲しくないとあれほど願っていたロアを自らの手で封じることになり……初めの頃のフィレルだったら、アークロアと今までのロアと重ねてしまって封じることが出来なかったんじゃないかなと思います。
ロア君は、苦労人・兄貴気質(面倒見が良い)・ツンデレ気味みたいな感じかな。フィレル君のことをよく想っていて可愛がっているのが分かるのですが、ロア君の普段の言動的にそんな素振りが見られないよな、と。でも重要なところだとフィレル君のことをめっちゃ大事に思っているのがよく分かりますね。フィレル君が禁忌を犯さないように庇おうとするところや、旅に着いていくと宣言するところとか。最後には「アークロアになり果ててしまう前に封じてくれ」と懇願する。今まで旅をしてきた人達のことは勿論、フィレル君のことをこの手で殺したくなかったからそう言ったのかな……と思いました。基本的にはクールで本音をあまり見せない(素直ではない)感じがします。でもってかなり真面目な印象です。主要キャラの中で一番好きです。
フィラちゃんは大人びてますね。しっかり者でどちらかといえばお姉さん的な雰囲気です。扱う魔法がサポート的な役割だからそう思うのかもしれませんが、どちらかと言うとフィレル君たちを鼓舞し引率する立ち位置の子だなと思いました。過去に仲間、特に恋焦がれていた人を目の前で失うところを目撃してしまっているので、そういう心の傷をえぐるような出来事があるとやっぱり普段の威勢が良い感じもちょっと勢いを失うんだなって感じでしたね。フィレルたちのことも大切に思っているけれど、昔の仲間を度々想っては名前を呼ぶシーンがあったので、かなり仲間思いな子だなと思いました。あとは、責任感がとても強い子だと思いますし、頼られることが好きなように見えます。
イルキス君はなんというか、掴みどころがない感じですよね。何を考えているか分かりにくい……ややミステリアスな感じの印象です。なんか胡散臭い、信用しにくい、みたいな。彼は幻影使い、っていうのがよく似合いますね。ぴったりだなと思います。ギャンブルに指運師の力を使うのは「なるほどな」って思いました。ギャンブルに自称嘘つきで、神に愛された子ってなんとなくけったいさがありますね。でも自分で風来坊とか気まぐれだからねって言いながらなんだかんだパーティから抜けてなかったんで、一度関わったことはやりきる感じだなって真面目さがうかがえました。フィレルたちのこと案外好きそうだし気に入ってそう。いや、気まぐれっぽいし、彼に関してはよく分からないな……。
主要キャラ以外で個人的に好きだってなったのはシュウェン君と蝶王様、ライヴですね。ライヴの好きポイントは上記で話した通りです。
シュウェン君はこう……なんかめちゃくちゃ可愛いです。小柄で気弱そうな子なのに、しっかり者で……。図書館の本のくだりから博識な感じにも見えるので、一度話してみたいなぁとも思います。色々な話が聞けそうで話すの楽しそう。普通に友達になりたい。神殿道中でフレイリアさんを魔法でサポートするところとか、皆を守るために自ら命を散らすところは物凄くかっこよくて、惹かれました。あと個人的に「えっ好き」ってなったのは、フレイリアさんに対してですます口調になるところです。フレイリアさんに学院案内を任せられてウキウキな感じになってるのも可愛い、近所のお姉さんに懐いてる子供みたいで可愛いです。可愛いな……。見ていてほっこりしました。
蝶王様はひたすらにカッコよかった。頼れる偉大な存在、って感じでした。常に冷静で落ち着いているので、そこにいるだけでなんか安心します。フォルトゥーンとの戦いのときにサラッと引っ掛け問題を解くところ、カッコよすぎんか???あと蝶王様の生き様が好きです。十年ほどで死んでしまう儚い存在なの、あまりに僕の好みを把握しすぎているな……って思いました。ストライクゾーンにぶすぶす刺さります。これはフィレルたちと旅していた蝶王様じゃないけど、フィラちゃんをからかってシルークの声で喋るところとか、この蝶王様意外とお茶目な人なのか!?!?!?って感じでした。好き度が急上昇しましたね。
後はところどころ引っ掛かりというか、「ん?」となる部分があります。
No.14
地の文で先に名前が出てきて、後に会話で自己紹介するパターンは珍しいですね。
初見で読んだ時は、突然「イルキス」と地の文に名前が出てくるので、どっかで読み飛ばしたかな?と思いました。多分誤植か何かかな?とは思うのですが、仮に演出のひとつだとすると読者を混乱させるなぁ、って感じです。
No.71
『「兄さんさ、元気してた? 僕はいつも通りだけど……兄さん、元気ないように見えたの」』
この台詞が発されたときの状況を考えると不自然に見えます。多分僕の感じ方の問題もあるでしょうが、その場に兄さん(ファレル)が居ないような口ぶりだなぁと思いました。台詞だけになるとよりそんな風に見えます。まるで第三者に兄の様子を訊いてるみたいな。「見えたの」が「見えるよ」「見えるなぁ」みたいな感じだったら、本人に対して言っているようにも見えますが。
あと読んでいて気になったのが表記揺れがありますね。括弧の種類を区別しているのには何か理由があるのかなー?と思いますが、いかんせんどういった基準で括弧が分けられているのか推測出来なかったのでちょっと不思議だなぁと。
一例を挙げると、
No.44
窘《たしな》める
No.47
楔 (くさび)
っという感じに。
以降は誤字脱字等だと思われるものです。
No.11
『笑うその顔の輝かしいこと、穢れないこと』
穢れない、という言葉自体はありますがこの場合だと、穢れないというとニュアンスが変わってくるのではないかなと。
正しくは「穢れのない」だと思います。
No.28
『大好きな領主様と、新しい世界への誘いざない』
No.54
『彼らは鮮やかすぎる・・・・・・余計な辛みをしてきたりする者はいなかった』
漢字間違いだと思われます。
あとは、No.60とNo.61は同じ内容のように思います。
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