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- Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.24 )
- 日時: 2015/08/20 02:41
- 名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)
メンバーも集まり、地区予選へのエントリーも済ませ、遂に全国大会への第一歩が踏み出せた翼たち。しかし予選までまだ時間がある、その間は、雫を筆頭として各人の強化を行うことにした。パターンは三種類あり、一つはポケモンの育成。全国大会は10パートナーズルールという、ポケモンを10種類登録し、その中から出場ポケモンを対戦ごとに選んでいく形式を取るため、自分に最も相応しいパートナーズを選んでいかなくてはならないのだ。これは雫も含め全員に共通することである。二つ目は予選までに各地で行われる個別の大会に参加し、大会の雰囲気、初対面の相手との対戦に慣れること。そして三つ目は、各人の弱点克服。これについて雫は、個別でメニューを用意した。対戦経験の浅い夏奈と、ブランクで読みの精度などが鈍っている華音は、それぞれ経験を積むため、勘を取り戻すために、ひたすらレーティングで対戦。翼と未歌は、お互いに対戦することになった。
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雫は真っ先に未歌の弱点を克服することを考えた。まず最初に翼と対戦させることで、未歌の弱点——予想だにしない展開に弱い、崩されてからのリカバリが効かない——を浮き彫りにする。実際、翼の新メンバー(実際に新メンバーにするかどうかはタクさんと相談)に思いもよらない動きを見せられ、未歌のサイクルは崩されてしまう。そこから立て直すことも出来ずに敗北寸前まで追い込まれる。その一戦で、未歌自身も薄々感じていた、彼女の決定的な弱点が露呈する。
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とりあえず未歌の弱点克服のために、弱点が露呈する状況に彼女を慣れさせることにした。そしてそのために、二つの要素を雫は用意する。一つは自分、未歌と対戦し、テンプレなどとは程遠い、正に型破りなポケモンたちを用いて、彼女の読みをことごとく外させる。もう一つの要素は、サイクルを崩されてからのリカバリ。相手の予測不能な一手でそれが起こることが多いのだが、しかし純粋に読み負けて、ポケモンを一体戦闘不能にされて構築として崩されることの方が多い。むしろ大事なのはこちらだ。大会でも相手をメタるためだけのポケモンはいるだろうが、基本的にはテンプレートに近いポケモンが多いはずである。未歌が雫に徹底的に負かされると、雫は後の対戦を翼に任せ、いつもより早く学校を出た。
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向かったのはとある高校。門の前で立っていると、一人の女子生徒が出て来る。雫はその少女と親しげに言葉を交わすと、一つの約束を取り付ける。そして翌日、昨日の少女が部室に現れた。彼女は雫の先輩のような存在で、この中学校の卒業生らしい。彼女がここに来たのは、母校が懐かしくなったから……ではなく、未歌の特訓の相手をするためだった。
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果たして未歌と少女の対戦が始まった。相手の序盤の動きは、概ね未歌の思った通りの動きだった。目立ってマイナーなポケモンはおらず、構築もおかしな点は見られない、技構成もテンプレートっぽい。意表を突かれるようなことはなさそうなので、胸を撫で下ろす未歌。しかし、途中で少女の動きに変化が訪れる。技も行動も、特におかしなところはない。だが、次々と未歌のポケモンが戦闘不能になっていく。未歌からの攻撃はほとんど通らない。こちらの行動が完全に読まれているのだ。サイクルを崩され、そこから立て直すことも出来ず、そのままあっけなく押し切られる。結局、未歌は少女に完敗だった。聞くところによると、少女は三年前の全国大会でチームを準優勝に導いた立役者で、相当な強者らしい。
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特訓のためとはいえ、連日負け続きの未歌は少しピリピリしていた。何度も翼や雫、少女と対戦しているが、予想外の展開になったり、サイクルを崩されてから、なかなかリカバリすることができない。そんな自分に、腹が立っているのだ。夏奈は経験を積んで着実に強くなっている、華音もかつての力を取り戻しつつある。翼も恐らくは……しかし自分は——と帰り道で思っていたそんな時、後ろから声を掛けられる。少女だ。帰り道まで彼女は着いてきていたようだ。そして「焦らずに、今自分がチームのためにできることを考えて、その通りにすればいい」と諭される。いきなりそのようなことを言われても、なかなか簡単には割り切れないのが人間の性だが、しかしその言葉で未歌は、自分のすべきことを見つめ直すのだった——
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