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Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.31 )
日時: 2015/08/20 02:52
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

『闘神』チーム戦は一戦一戦ごとにプロットを書き分けていくことにしました。対戦内容に結構触れていますが、とりあえず形にしただけなので、詳細は後で話し合って決めましょう。
 というわけで、とりあえず先鋒戦です。まだ次鋒戦までしか書けていませんが。



 初戦を突破し、ヤーロン教団、御剣姉弟たちとの対戦も勝ち抜き、遂に決勝へと駒を進めた翼たち。
 全国大会出場への切符をつかむための最後の関門は、やはり『闘神』率いるチームだった。
 前評判や事前調査から、『闘神』こと紅林迅のことは聞いていたし、顔も知っているが、こうして対面するのは初めて。空気だけで飲み込まれてしまいそうなほどの気迫だった。
 そんな折、応援席組の御剣姉弟がやって来た。翼たちを激励しに来たらしい。
 その時ココは、一昨年対戦した迅の姿を見て昔を思い出し、ふと話しかけてみるのだが、
「負けた人間のことなど覚えてはいない」
 と一蹴。さらに、これに鋏弥が憤慨し、乱闘になりかける。
 なんとか鋏弥を(翼が物理的に)なだめてその場は事なきを得るが、他にも天祢や陽介による挑発もあり、穏やかでない空気のまま、両チームともに控室へと入っていく。


「翼サイド ミーティング」

 事前調査や天祢の10パートナーズ、そして今までの対戦内容からして、角南天祢が天候スイッチの戦法をとることはほぼ確定だった。彼女の性格的にも、それは貫き通してくるだろう。
 彼女のパートナーズは天候利用を重視するあまり、パートナーズとしてのバランスはあまり良くないが、その穴を自由枠やプレイング、そしてどの天候で来るのかが分からない、という点でカバーしている。
 天候ごとに使用ポケモン、タイプ、戦術がガラリと変わるため、全ての天候に対応しようとすると強行突破されかねない。なので幅広く対応するよりは、こちらに刺さっている天候を考えて決め打ちした方が良いという結論が出た。
 夏奈のパートナーズ的に、最も出てきそうなのはメガリザードンY。なので晴れ軸メインで来ると予想し、もうひとつ、なにか他の天候を組み合わせてくるだろう。霰軸はあまり刺さっていないので、来るとすれば砂か雨。晴れと雨はかなりアンチシナジーなので、比較的組み合わせやすい砂が添えられるだろうか。
 というわけで、晴れ+砂軸で来ると予想する。なので相手のエースとなるのは、天候始動要員にして単体でも強力なメガリザードンY、そしてバンギラスだろう。
 天候始動要員が既にアタッカーレベルの火力があるため、積みバトンは不安定そうだ。なのでここは、裏選出であるバシャナットサンダー軸で行ったが良いと雫が助言するが、夏奈はこれを拒否。
 自分がこの戦法で戦うと決めた積みバトンで、今度こそ天祢に勝ちたい。そんなことを宣言する夏奈。
 全国出場を決める大事な一戦、しかもその初戦で無謀なことを言っているというのは分かっている。一試合も無駄にできないこの状況で、自分がわがままを言っていることは百も承知だ。しかしそれでも、夏奈は意地を貫き通したかった。
 そして、そんな後輩の意思を無下にする翼たちでもない。夏奈の意思を汲み取ったうえで、積みバトン中心の選出を決め、夏奈は先鋒戦に出陣する。


「『闘神』サイド ミーティング」

 閃の情報によると、東雲夏奈の10パートナーズは一見すればバシャナットサンダー軸だが、その実態は積みバトン構築だという。ミミロップのコスモパワーや、バシャーモのビルドアップなどを積み、後続のエースアタッカーにバトンを渡して無双する構築らしい。
 事実この戦法で、一回戦の強豪選手を相手に三タテしている。なので閃は、積みの起点を作らないように注意した方がいい、と助言するが……
 ぽっと出の一年の言葉を聞くような天祢ではない。彼女は閃の言葉をガン無視し、バトンなんて来ないと言い切り、自分で選出を決めて行く。
 だが彼女とて、無意味に反発したわけでも、根拠もなくバトンが来ないと言ったわけではない。自分のバトルスタイルは恐らく相手も分かっているだろう。天祢のパートナーズには高火力なポケモンが多いので、普通の積み構築よりも手間のかかるバトンなんてしている暇はないし、そんな暇を与えるつもりもない。だからこそバトンは来ないと考えたのだ。仮にバトンで来たとしても、バトンを渡される前に潰せばいいだけとタカを括っていた。
 そんなこんなで選出を決め、天祢も対戦へと向かった。



 チームの勢いをつける、大事な大事な初戦。
 対戦前から天祢のとラッシュトーク染みた発言があり、いまだ剣呑な雰囲気のまま、先鋒戦が開始された。
 分かってはいたことだが、やはり天祢は強い。天候始動要員ですらエースアタッカーレベルのパワーがあり、高火力と天祢の挑発の嵐に晒され、対戦的にも精神的にも押されていく夏奈。
 しかし彼女は諦めずに勝機を探す。
 そして、天祢がバンギラスを繰り出したその時、彼女は勝ち筋を発見した。
 夏奈は天祢のエース、バンギラスに対してミミロップを繰り出す。そして、特殊ベースバンギラスの弱点である火力不足という点を突き、コスモパワーを積んでいく。そしてバンギラスを起点として、バトンを繋いだ。
 まさかバトンで来るとは思っていなかった天祢はこの対処に遅れ、バトンタッチからの無双を許してしまう。
 バトンを渡されたエースアタッカーは、高火力と罵声の嵐を乗り越え、天祢のポケモンをすべて薙ぎ払うのだった。