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Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.32 )
日時: 2015/08/20 02:53
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)

 逆転勝利を成し遂げ、初戦制した夏奈を称える翼たちだが、いつまでも浮かれてはいられない。これは団体戦、チーム戦という枠の中では、まだ始まったばかりだ。皆、すぐに気を引き締める。


「翼サイド ミーティング」

 次鋒の相手、黒堀陽介だが、その戦法は単純明快。メガヘルガーをエースとした晴れ軸だ。
 とにかく晴天時のメガヘルガーの火力が凄まじく、無双状態が整い、ひとたび暴れ出したら手が付けられなくなる。
 しかし、無双状態が整えば手が付けられなくなるのは、こちらの次鋒のエースも同じだった。
 幸い、華音のエース、メガルカリオなら、一度でも悪巧みを積めればメガヘルガーは突破できる。そして相手のパートナーズ的に、無双体制の整ったメガルカリオを止められるようなポケモンはいない。
 なので今回は、変な小細工などはせず、素直に火力でぶつかることにして、華音は次鋒戦へと向かって行く。


「『闘神』サイド ミーティング」

「今の黒堀先輩では、相沢さんには勝てません」
 と、開口一番、後輩から告げられたのはそんな言葉だった。
 実力的にもパートナーズ的にも、この時点で黒堀陽介は相沢華音に負けている、と閃は言い放った。
 事実、実力を加味しなくとも、パートナーズ単位で陽介はほぼ負けていた。特殊メガルカリオに一度でも積まれた時点でゲームオーバーである。
 しかも壁張り役だろうクレッフィは誰も先制できず、エーフィも挑発を跳ね返されるので、強引に積まれてジ・エンドの可能性が高い。
 ……しかし、それをなんとかするのが参謀の役目である。
 何度も言うが、陽介はパートナーズの並びから、既に華音に負けているのだ。なので自由枠を上手く使わなければならない。
 ここで閃が提案したのが、ギルガルド。ルカリオのメインウェポンを両方半減以下に抑え、壁張り役のエーフィにも強い。クレッフィが壁張りだと厄介だが、炎アタッカーに怯えて出て来れないと思うしかない。
 実際、ギルガルドは華音のパートナーズには結構刺さっており、ほとんどのポケモンに対して強く出れるポケモンだ。
 だが、ルカリオさえどうにかしてしまえば、あとはメガヘルガーの火力で無双できる。
 そのことを踏まえたうえで、陽介も次鋒戦へと赴いた。



 始まる次鋒戦。このまま一気に勝ち越したい翼たちと、初戦の負けを取り返したい『闘神』たち。
 華音は自由枠のギルガルドに攻めづらさを感じるが、しかしこの自由枠はまったく予想していなかったわけではない。こんなこともあろうかと、ルカリオにはラスターカノンを切って悪の波動を仕込んでいる。
 陽介のパートナーズは鋼の通りがすこぶる悪く、鋼技を搭載する意義は薄いと考え、それならば特殊受けクレセリアや、怯みによる勝ち筋を残すことも考えて、悪の波動を採用した。今回はそれがいい形で嵌ったようだ。
 序盤からスムーズに壁を張り、無双体制を整えた華音は、ギルガルドへと悪の波動を放つが——悪波持ちメガルカリオは、『闘神』側も意識していた。
 耐久調整を施されたギルガルドはその一撃を耐えきり、弱点保険を発動。さらにボディパージを積む。
 まさかのパージギルガルドに驚きつつ、無双状態を整えつつあるギルガルド。壁が残っているので、保険が発動しても一撃では落とされはしない。しかし悠長に相手するのも危険なので、早く落としてしまおうと決着を急いだその時。
【ギルガルドの道連れ!】
 ボディパージと弱点保険を迷彩にして放たれる道連れ。ギルガルドも無双体制を整えたと思わせて、本当の狙いはこれであった。
 ルカリオを道連れにされてエースを失った華音に対し、エースを最後まで温存していた陽介は、サンパワーによる超火力を叩き出すメガヘルガーで残るポケモンを焼き払い、勝利を収めたのであった。