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Re: 神よ。私は美しい……【ポケモン対戦小説】 ( No.33 )
日時: 2015/08/20 02:56
名前: 高坂 桜 ◆hjAE94JkIU (ID: dUayo3W.)


「翼サイド ミーティング」

 中堅の相手、館上閃は、『闘神』チームでは唯一の一年生。実力は一般的に見てそこまで低いわけではないようだが、しかしこれまでの彼女の対戦を見てみても、プレミなどが少なくなく、戦績は芳しくなかった。
 そんな彼女の戦術は、いわゆるトンボルチェン。10パートナーズの時点で電気タイプにかなり偏っており、かなり露骨にボルトチェンジをしてきそうな面子ばかりである。
 雫のパートナーズは耐久が低めであるがその分、素早さが高い。しかし相手のパートナーズは、スカーフなども搦めて雫以上素早いポケモンが揃っており、上から叩かれてサイクルを回されることは止めがたいように見える。
 パートナーズ単位で不利が付きまとう状況だが、雫とて伊達に翼たちをここまで引っ張ってきたわけではない。ちゃんと相手への対策は用意していた。


「『闘神』サイド ミーティング」

 一勝一敗と、なんとか初っ端からのリーチを止めた『闘神』チーム。その中堅と参謀を務める閃は、困っていた。
 次の対戦相手である古浦雫は、ある意味では迅や華音を超える注目選手だ。今までの一から三試合目まで、彼は奇想天外な戦術で相手を攪乱し、勝利してきた。
 地雷的な技構成のポケモンが多く、はっきり言って何を仕掛けて来るのか全く読めない相手だ。これまでの対戦データを洗い出しても、変態型を多用する、反射技を好んで使う、カメックスの選出が比較的多い、程度のことしか分からない。
 要するに、実際に戦ってみないと相手の戦法を予見することはまずできない相手なのだ。
 そのような変態型使いには、数値でものを言わせたり、上から叩くことで、妙なことをされる前に倒すのが定石だ。幸いにも閃のパーティーはそれができる構築になっており、後者の手段で雫に対抗する算段を立てる。
 まずは相手全員に上を取れるメガライボルト、高火力で上から叩けるスカーフサザン、瞑想ヤミラミなどの対策として挑発ゲッコウガを確定。後は、メガガルーラでゴリ押されることを避けるために、物理受けのサンダー、メガガルを上から抜群で叩け、相性補完としてコバルオン。自由枠は、相手に特殊アタッカーが多く、耐久も低めなため、高火力を押し付け後受けさせない眼鏡ニンフィアを加えて、パーティーを組む。
 ファイアローも刺さってはいるが、一撃で倒せない耐久を持つポケモン(カメ、ガブ、ガル、タクンあたり)も少なくないため、パーティー入りをやめた。
 相手の戦術がまったくの未知なので不安が残るが、閃はそうして、中堅戦へと出向く。



 中堅戦が始まる。この折り返しを取れば王手がかかるため、どちらも落としたくない一戦だ。
 雫の連れて来た六体は、カメックス、ヤミラミ、マフォクシー、ドータクン、ゲンガー、ウォッシュロトム。
 電気タイプがこれだけ多いにもかかわらずカメックスがいて、逆に避雷針のライチュウがいないのは意外だった。さらにヤミラミゲンガーの並びから、閃は重力催眠を警戒する。
 重力起動要員がヤミラミとドータクン、そしてゲンガー、マフォクシー、ドータクンが催眠術を撃ち、サイクルを回させない気だろう。
 ウォッシュロトムは恐らくファイアロー対策、カメックスは鉢巻を巻いて地震でも撃って来るのかもしれないと予想。
 本当に重力催眠なら、催眠術で眠らされると相当まずいことになる。閃のパーティーも耐久が特別高いわけではないので、なにもできずに蹂躙される。向こうもも対策してはいるが、ファイアローを連れて来るべきだった。
 恐らく先発はヤミラミだろうが、幅広く相手を見れるライボルトを先発。さらにメガゲンガーでも上から叩けるサザンドラ、挑発で重力催眠を封じられるゲッコウガの三体を選出する。
 そうして、中堅戦は始まった。



 雫の先発は、閃の読み通りヤミラミだった。閃はとりあえず、ボルチェンでサザンに代わり、悪波でヤミラミを削る。
 スカーフサザンは火力不足と言われるが、ヤミラミではサザンの悪波は受け切れない。脱出ボタンではないため、死に際に重力を撃つのだろうが、メガゲンガーが出てきてもスカーフサザンなら上から悪波を撃てるため、さしたる問題はない。
 しかしヤミラミが死に際にはなったのは、重力ではなく雨乞い。起動役という予想は当たっていたが、起動する技を外した閃は、ヤミラミを落とすことに成功するも底知れない不安に襲われる。
 続いて出てきたのはドータクン。まさか浮遊と雨で弱点を二つとも消したアタッカー、という線だろうか。しかしドータクンはサザンに有効打がない。閃はこのまま悪波で押して行けると思い、悪波を連打。
 しかしドータクンはナモの実も合わせてサザンの攻撃を余裕で受け、トリックルームを展開。この時点で閃は、己の失策を悟った。
 ヤミラミの雨乞い、ドータクンのトリックルーム……この二つの技から導き出される雫のエースは、決まり切っている。
 ドータクンは大爆発で退場し、雫の三体目のポケモンは、カメックス。
 トリルを展開されてしまったため、閃のポケモンはカメックスを抜くことができない。上から殴られ続けるだけだ。
 しかもカメックスはメガシンカせず、眼鏡をかけた潮吹きを放つ。死に出しされたゲッコウガも、雨と眼鏡の火力でタイプ相性が意味をなさず、一撃で消し飛ぶ。
 ラスト、最初にメガシンカしたのみのメガライボルトが出て来るも、トリルターンを稼ぐことも出来ずにゲッコウガが散ったため、メガライボルトはカメックスの上を取ることができず、雨眼鏡潮吹きの前に一撃で消滅するのだった。