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siyaruden様>>


　こんばんは、そしてお待たせいたしました。
　壮絶なバトル!!　そして共闘!!　ということで、さっそく書かせてもらいます。
　地下鉄——という電車の中ではなくて、駅構内という世界観で書かせてもらいますがそれでいいですよね!!




　電光掲示板はちかちかと端々が明滅するだけで、ここがどこであるかも伝えていない。
　乗り場を案内する看板は割れていて、その下にはプラスチックの破片が散らばっている。内蔵されている蛍光灯もちかちかと瞬き、今にも消えてしまいそうだ。
　ゴミはホームのあちらこちらに散乱し、コンクリート片が転がっている。壁や床は真っ赤に染まり、地下世界だからか、辺り一面には死臭が充満していた。

「……ハァ、ハァ……クソッ」

　噎せ返りそうなほどに血と死臭が立ち込める駅構内に、玖條桐葉はフラフラになりながらもなんとか両足で立っていた。
　艶のある黒髪の毛先には鮮血が付着し、美しい顔立ちもまた返り血で染まっている。敵であるゾンビを睨みつける猫のような目は橙色を帯びていて、今もなお炯々とした輝きを放っている。
　血を滴らせている薙刀を構え直し、桐葉は悪態を吐く。

「これだけ殺しても、まだ数は減らないのか……!!」

　彼女の周囲にはゾンビの屍が散乱している。首が切断されているものもあれば、臓物を撒き散らして動かないものもある。どいつもこいつも血の海の中に沈み、呻き声１つ上げない。完全に死んでいる。
　それでも、桐葉を囲むゾンビの数は一向に減らない。桐葉を食おうとして、誰の血かも分からない赤く染まった手を伸ばす。
　桐葉はその手を、問答無用で切り落とした。血の飛沫を散らせながらも空中を引き裂いた薙刀の刃は、あっさりとゾンビの腕を落とす。ぼちゃ、と腕が血の海に落ちて、波紋を呼んだ。

「アァァァァアアアアアアアアアアアアアアァァアアア」

　母音だけの悲鳴を上げて、痛さに悶えるゾンビ。ゾンビになっても痛覚はあるのか、と苦しむゾンビを見下ろして桐葉はそんなことを考えた。
　しかし、相手が苦しんだのもつかの間。すぐさまゾンビは桐葉の足へ食らいつこうとしてくる。涎を垂れ流して、口を大きく開き、彼女の健康的な足へと齧りつこうとして——

「させるかァッ!!」

　ゾンビの脳天へ薙刀を突き刺した。ゴキィッ、ゴリィという嫌な音が響き、硬い骨を砕く感触が薙刀から伝わってくる。
　脳天を貫かれたゾンビは、間もなく絶命した。血の海に体を横たえて、ピクリとも動かなくなる。だが念には念を入れて、桐葉は動かなくなったゾンビの首を落とした。切断面からはとろとろと血が流れ、血の海をさらに広げていく。
　ゾンビを１匹仕留めたところで、人数は変わらない。桐葉の体力もそろそろ限界が近づいてきている。息を吸い込むたびに肺が軋み、手にした薙刀が鉛のように重く感じる。足が棒のようになって、思うように動けない。
　ここでゾンビに食われて死ぬのか。
　桐葉は悔しくて、唇を噛んだ。ゾンビに食われて死ぬなんて、真っ平御免である。だが、この状況をたった１人で切り抜けられるはずがない。
　また１匹、ゾンビがか弱き少女へと牙を剥いた。薙刀を振ろうにも、ゾンビの方が早かった。血と肉の臭いがする大口が眼前まで迫り——

　——そこで、小太刀がゾンビの側頭部を的確に貫いた。

　一瞬何が起きたのか、桐葉には分からなかった。
　側頭部を射抜かれたゾンビは、ゆっくりと血の海へ沈んでいく。ばしゃ、と赤い飛沫が飛んで、桐葉の革靴とニーソックスを汚した。

「間に合ってよかったわ」

　颯爽と現れたのは、黒髪赤眼の美女だった。右手に握られた刀が、蛍光灯の光を反射して鈍く輝いている。靴が汚れることも厭わずに血の海を踏みしめて歩いてくるその女を、桐葉はよく知っていた。
　忌々しい、己の最大の宿敵。
　気づけば自然と、彼女の名を呼んでいた。

「真霧朔夜……貴様、何故ここに!!」
「ゾンビの集団から逃げていたの。そうしたらここまできてしまったわ。ちょうどよかった、手を貸してくれないかしら」

　つい、と朔夜の深紅の瞳が駅構内の奥へと投げられる。
　桐葉へ迫るゾンビとはまた別のゾンビ集団が、こちらに向かってくる。完全に囲まれてしまった。

「２人いれば、この程度の雑魚なんてすぐに片付くでしょう？」

　真紅の瞳で射抜かれた桐葉は、極小の舌打ちをする。
　ここで宿敵に弱音を吐いている姿など見せられない。意地でも負ける訳にはいかない。桐葉の心に火が灯った。
　薙刀を構え直して、朔夜に背を向ける。敵は大勢、こちらは２人。はた目から見れば不利な状況なのは分かっているが、死ぬ訳にはいかないのだと己に言い聞かせる。

「不本意だが——力を貸せ、真霧朔夜!!」






　頭痛くなってきた。今回はこれで勘弁してください。