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Re: あなたのオリキャラでSS 私のオリキャラでもSS ( No.140 )
日時: 2015/10/17 16:18
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: UvhXWElK)

メデューサ様>>


 さて、これでほのぼのだからなぁ……。
 気合を入れて書かないといけませんな。うん、御雨だし。



 バケツをひっくり返したような雨とはまさにこのことだろう。
 分厚い灰色の雲からは、ドバドバと大雨が降り注いでいた。大泣きをしている空を見上げて、御雨ちはやはため息をついた。
 今日に限って雨が降るとは思っていなかったのだ。今朝は晴れていたから油断した。傘を忘れてしまったのだ。

「……走って帰る訳にはいきません。このまま待ちましょう」

 ひとりごちて、玄関の扉に背中を預けて雨がやむことを待つちはや。
 あらかじめ傘を持ってきている生徒や濡れることを覚悟して鞄を傘代わりにして駆けていく生徒を横目に、ちはやはひたすら雨がやむことを待ち続けた。
 途中戦争組のリーダーである、二条蒼空が幼馴染である織川理央と共に「ぎゃあああ雨ぇぇぇぇえええwww」「雨えwwwww」と笑いながら鞄を傘にして走っていく瞬間を横目にしながら、ちはやは早く雨がやまないかと待ち続けた。

「あれー? ちはやちゃんどうしたの傘忘れたのねえねえねえ?」
「……マコ兄……」

 突如として視界の端からニュッと現れた、黒髪紫眼の男子生徒がちはやに話しかけてきた。口調からして何やら危うい雰囲気が漂っている。
 己の兄である真事だ。うざい奴がきたと思いつつも、内心助かったとちはやは思う。
 真事なら傘を持っているかもしれないと思ったからだ。

「マコ兄、傘持っていますか?」
「ん? 持ってねえけど?」

 ドヤというかそれが当たり前ですけど何かと言わんばかりの清々しい回答をしてきた我が兄、真事。畜生、期待した私が馬鹿だったと過去の自分をぶん殴ってやりたくなる。
 だが仕方がない。1人で待つより2人で待った方が遥かに有意義だろう。話し相手がいるだけでも申し分ない。というか、

「ねえちはやちゃん、今日の学校どうだった? 僕ね、ちはやちゃんに1秒で早く会いたくて走って帰ろうとしたんだけどこの雨でね。ちはやちゃんと僕の間に立ち塞がるならたとえ雨だろうとなんだろうと許さんって勢いで帰ろうとしたんだけどね」
「うるさい」
「ハイ!!」

 真事が一方的にベラベラとしゃべってくれるので、それをBGM代わりに聞いているちはや。相槌を打つタイミングも慣れた様子である。さすが妹、うざい兄貴を御す方法は習得しているのか。
 その時だ。

「なんだお前ら、まだ残っていたのか。さっさと帰れ」
「あ、終始に——じゃなかった、御雨先生」

 ぬっと姿を現したジャージを纏った厳めしい顔の男性教諭——御雨終始。ちはやと真事の兄である。どうやら誰かを探している様子だった。

「二条を知らないか。あいつ、今日は補習だと言ったはずなんだが」
「笑いながら走っていきましたよ。織川先輩と一緒に」
「な、何!? クソ、逃げられたか……」

 終始は苦々しげに舌打ちをして校舎内に戻ろうとするが、ふと何かに気づいて「ちょっと待ってろよ」と言い残して去っていく。
 30秒もしないうちに、終始は戻ってきた。その手には折り畳み傘が1本握られていた。

「傘貸してやる。これで帰れるだろ?」
「え、でも……」
「俺はまだやるべき仕事が残っているから帰れない。だから2人で先に帰っていてくれ」

 その台詞は教師としての台詞ではなく、兄としての台詞のような気がした。
 ちはやは傘を受け取り、

「ありがとうございます」
「なに、いいってことよ。気をつけて帰れよ」
「教師としてではなく、兄として貴方にお礼を言いましたが」
「それだったら俺も生徒ではなく妹と弟として気をつけて帰れよと言ったんだが?」

 なんと、してやられてしまった。
 ニヤリと笑った終始は、ちはやと真事の頭を撫でてから校舎内に入っていく。
 折り畳み傘を開いたちはやは、真事へと傘を差しだした。

「帰りましょう、マコ兄」
「ちはやちゃんと相合傘できるなんて嬉しいな!!」
「それしか方法はないんですから」

 先ほどの大雨よりも弱くなりつつある雨の中、2人は自宅への道を楽しそうに歩く。




 台詞を多少改造したかもしれないです。
 ほのぼの、しますかねコレ?