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Re: あなたのオリキャラでSS 10月19日18時募集開始 ( No.181 )
日時: 2015/10/26 22:57
名前: ・スR・ス・ス・スD ◆kp11j/nxPs (ID: aUfirgH8)

モンブラン博士様>>



 ゴッツイ兄貴と不思議ちゃんのコラボレーションとか本当にすごいですよね。ちょっと見てみたい気もします。
 しかしこの話を書いているとドーナツが食べたくなってくる。甘味テロや。




「ドーナツ美味しい」

 とある休日に道端でバッタリ出くわしてしまった星原夏と不動仁王。
 星原は無表情でチョコレートドーナツをむしゃむしゃとものすごい勢いでかっ食らい、ポロポロと食べかすがこぼれている。22歳——つまり成人してから丸2年が経過したにもかかわらず、少々食べ方が汚、いや荒っぽいと言うかなんというか。ものすごく慌てて食べているような気がする。
 その様をかなり高い位置(身長198センチ、実に星原と30センチの身長差あり)から見下ろしながら、不動は顔を顰めた。そう、彼は甘いものがすこぶる嫌いである。ちなみに『すこぶる』はすでに死語である。

「……それは、甘いものが嫌いな俺に対する拷問か?」
「私がどこでドーナツを食べようと勝手」

 彼の言い分ももっともである。立って食べようが座って食べようが、甘いものが好きな相手の前で食べようが嫌いな相手の前で食べようが、それは彼の自由なのだ。それを邪魔される権利など、どこにもない。
 しかし、どうやら星原夏という青年(男の娘)には、TPOという常識が存在しないらしい。時と場所と目的を考えてドーナツを食べようとしない。いや、目的は多分ドーナツを食べることだと思うが、時と場所を考えようとしない。
 むしゃむしゃとチョコレートドーナツを頬張り続ける星原夏。言わずもがな無表情。
 それを苦々しい表情で見下ろす不動仁王。こちらも仏頂面である。
 ……世にも奇妙なにらめっこの完成である。

「ところで」
「む?」

 突如、星原が口火を切った。不動がじっと見ている間、すでに36個目に到達したチョコレートドーナツをぺろりと平らげて、星原は紙袋を不動の眼前に突き出した。星原が近頃好んで食べるドーナツ屋の紙袋である。
 反射的に紙袋を受け取る不動。その中を確認してみると、やはりドーナツ。嫌がらせか。甘いものが嫌いだと言ったはずなのに。
 食べ物が可哀想だと思うが投げ捨ててやろうかと思ったのだが、星原の一言に不動の動きがピタリと止まる。

「激カラ☆ヒーハードーナツ。星野には不評だった」
「星野……?」

 弟の名前を出され、不動は眉をひそめる。
 おそらくこのドーナツを食わされたのだろう。袋から出してみると、何やら若干赤みを帯びている。香りもスパイシーだ。甘いものが苦手な不動でも、このドーナツなら食べられるだろう。
 やや赤いドーナツを見つめ(というよりほぼ睨みつけ)、それから星原を一瞥して「ふん!」と鼻を鳴らす。

「まあ食べ物に罪はない。食ってやろう」
「素直じゃない」

 ばくり、と大口で頬張る不動。そして37個目のチョコレートドーナツに手を伸ばす星原。
 2人はしばらくの間、会話もなくただ見つめ合ってドーナツを食べていた。





 本当にドーナツを食べたくなってきました。これ言うの何度目でしょうね。