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Re: あなたのオリキャラでSS リク締め切り ( No.206 )
日時: 2015/11/07 23:57
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: 6KsExnZ3)

siyaruden様>>



 大変長らくお待たせしました。別にサボっていた訳ではございませんが、ちょっと仕事が忙しくてですね。
 いえ、言い訳はしません。それではやりましょう。ええ!!




 硝煙と死臭が漂う病院内。窓ガラスは割れ、清潔だっただろう院内は惨憺たる状況だった。
 壁や床に鮮血がこびりつき、時には肉片も落ちている。おそらくは誰かが食われたのだろう。患者か、医者か、はたまた看護師か、それ以外か。今となっては分からない。
 人気のない病院は、誰だって怖い。自衛隊である宗像とて、それは同じことである。
 ナースセンターの受付の影に隠れ、9ミリ機関拳銃を構えて気配を探る。暴徒やゾンビの気配はない。張り詰めていた空気を吐き出した。

「……手塚、とうとう俺たち2人きりになっちまったな」
「……そうですね」

 隣にしゃがみ込み、同じように拳銃を構える年若い青年が1人。部下の手塚である。
 周囲は紅の色に染まり、無惨に食い千切られた誰かの死体が転がっている。何度見た光景だろう。宗像も手塚も、同僚が目の前でゾンビに食われる光景を見ているのだ。もうこの赤い世界には慣れっこだった。
 慣れた自分を殴り飛ばしてやりたいのだが。

「撃っても撃ってもキリがない。銃弾にも限りはある。無制限に銃弾がある訳じゃない……俺たちももうすぐ死んだあいつらのところに行けるだろうよ」
「何弱気になってるんですか。隊長らしくもない」
「……そうだな。俺らしくもない」

 無精髭が生えた頬をぴしゃりと打ち、宗像は立ち上がった。手塚に移動する旨を伝えて、ナースセンターから飛び出す。
 周囲に視線を巡らせ、機関拳銃を構える。水を打ったように辺りは静かだ。息遣いはおろか、心臓の音さえも聞こえてきそうだ。
 ゾンビの気配はない。宗像は息を吐き、手塚をハンドサインで呼び寄せる。ハンドサインを読み取った手塚は、拳銃を構えたまま宗像のもとまで駆け寄り、彼の背後を警戒する。

「いいか、手塚。お前は……死んでくれるなよ」
「それはどうでしょうね、この状況では誰が死ぬかも分かりませんし」

 飄々と不謹慎なことを言う手塚を睨みつけると、やはり笑いながら「すいません」と謝罪してきた。
 その時だ。
 手塚が黒瞳を見開いた。口をポカンと開けて、それから血相を変えて宗像を突き飛ばす。何が起きたのか分からず、咄嗟に反応することもできなかった宗像は、荒れた床に転がった。

「手塚……何、を」

 血の匂いがした。
 肉を喰らう音がした。
 ぐじゅる、ぶち、という嫌な音が、宗像の脳を犯す。目を塞ぎたくなるような光景が広がっていた。
 手塚が、部下が、ゾンビに食われている。

「————」

 息ができなくなった。
 手塚の手から、拳銃が滑り落ちる。ゴトン、という重苦しい音を合図に、宗像は弾かれたように行動を開始した。
 銃火器を構えて引き金を絞る。ブーッ!! と立て続けに銃声が響き、銃口が火を噴いた。9ミリの弾丸が吐き出され、手塚を食らっていたゾンビを蜂の巣にする。
 どちゃ、とゾンビが本物の死体に戻ったところで、手塚も解放された。血だまりの中に沈む青年の体を抱きかかえ、宗像は叫ぶ。

「手塚……ッ!! オイ!!」

 首元の肉が抉れている。神経は断絶し、骨はひしゃげている。もはや手塚の命は、ない。
 見開かれた瞳をそっと閉じてやると、死した彼の頬に水滴が落ちた。

 それが己の涙だと気づくのに、宗像はそれほど時間を要しなかった。





 うーん、待たせた割には低クオリティですみません。