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Re: あなたのオリキャラでSS!! ルナ様モンブラン博士様完成です ( No.21 )
日時: 2015/09/23 18:16
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: gTez.RDd)

siyaruden様>>



お題がファンタジー、バトル、バイオレンスでのジャンルはシリアスなのでちょっとこじつけ部分があるかもしれません。
でも頑張って書きました!!



 悲鳴。怒声。銃声。罵声。あらゆる雑音が不協和音を奏で、耳を犯す。耳を塞いでも雑音は隙間から入り込んで、神経をすり減らす。
 やめて。やめて。やめて。やめて。怖い。怖い。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い。
 姫君にとって、何のことだか分からずにただただ王宮の外でぶつかり合う雑音に怯えるしかなかった。豪奢で、だが薄暗い自室。天蓋つきの寝台の上で、掛布を頭から被って枕を胸に抱く。小刻みに震える体を抱きしめ、ギュゥと硬く瞳を閉ざす。闇の中に閉じこもれば、少しは楽に慣れる気がした。気休めにしかならないのだが。

「イリス、イリス」

 誰かが姫君の名を呼んだ。
 それはあまりにも小さくて、遠くから聞こえてくる優しい声。だが、怯える少女の耳にその声は届かない。脳へと到達した雑音を追いやるべく、さらに身を縮める少女。

「イリス。イリス、起きろ」

 起床を促す。
 誰がそう言っているのか。誰が声をかけてくれているのか。少女はゆっくりと顔を上げた。
 涙に濡れた視界が捉えたのは、広い自室に立っている、この場にいるはずのない少年の姿。巨大な魔剣と魔銃を携えた、己の逃避行に付き合ってくれている傭兵。己を守ってくれる、不器用だけど優しい彼。
 助けてほしくて、縋りたくて、少女は手を伸ばした。『助けて』という思いをありったけ込めた声で、彼の名を叫ぶ。


「ネエロ!!!!」


「お、おう……どうした?」

 気が付くと、少女は虚空に手を伸ばしていた。頬が濡れている。おそらく泣いたのだろう。
 見慣れた王宮の天井ではなくて、安宿の木の天井。窓から差し込む月光が、狭い部屋を青白く照らし出す。少女の身を受け止めているのは天蓋つきの豪奢な寝台ではなくて、どこにでもある古ぼけた小さな寝台だ。柔らかな掛布もない。
 視界の端には、見慣れた少年の顔があった。ボサボサの黒髪に銀のメッシュが入った、琥珀色の瞳を持つ少年。虚空に伸ばしていた手を引っ込めて、少年の腕を掴んだ。

「だからどうしたんだって。夢見が悪かったのか? 魘されていたぞ」
「……そうじゃな、少しどころかとても怖い夢を見た……」
「何だよ。目の前で人が殺されるとかそういうバイオレンス極まりない夢か?」

 茶化すように笑う少年に、少しだけ安堵する。
 安堵したら、眠気が襲ってきた。今日は刺客に追いかけられて壮絶なバトルを繰り広げたのだから、疲れがたまっている。恐ろしく眠い。
 うつらうつらと舟を漕ぐ少女の瞳をそっと押さえられる。「おやすみ」と心地の良い声音が眠りの世界へと誘ってくれた。
 少女の意識は、微睡の中に堕ちていく。



「ようやく眠ったか」

 銀のメッシュが入った黒髪をガシガシと乱暴に掻きながら、ネエロはため息をついた。それから壁に立てかけてある魔剣を手に取って、姫君が眠る狭い部屋を去る。
 安宿を出たところで、幽鬼の如く立っていた刺客と目が合った。


「やれやれ。こんなところ、お姫さんには見せられねえな」

 自嘲気味につぶやき、ネエロは魔剣を構えた。
 よくあるファンタジー世界の端の端。深夜の宿屋の前にて、人知れず切り合いが行われた。勝者は傭兵。敗者は刺客。しかし、その事実を魔王の娘は知る由もない。




 シリアスがただのグロホラーだろこれ。口調とかその他もろもろ間違っていたらすみませんでした!!