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- Re: あなたのオリキャラでSS 募集期限9月26日午後0時まで ( No.37 )
- 日時: 2015/09/26 18:13
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: gTez.RDd)
siyaruden様>>
こ、今度こそ!! 今度こそ納得のいく作品になりますように!!
でもほのぼのだからきっとうまくいくはず!!
よくあるファンタジー世界の片隅にて、1組の男女が言い争いをしていた。
「ここで野宿じゃと!? ふざけるな、妾を誰だと心得る!!」
「へーへーへー、魔界の姫君ですがお前が道を間違えたから野宿する羽目になってんだろうがそのでかい胸に手を当てて過去を振り返れ!!」
夕闇が迫る鬱蒼とした森の中。ほーほー、と梟の鳴き声を掻き消す勢いで激しい舌戦を繰り広げる少年と少女が1人ずつ。
少年の方は20歳前後。ぼさぼさの黒い髪に銀のメッシュが特徴である。闇夜の中でも炯々と輝く琥珀色の瞳を吊り上げて、怒りを露わにしている様子だった。
少女の方は10代後半ぐらいだろうか。夜の闇の中でも目立つ銀色の髪が特徴だ。美麗な顔立ちは怒りの色に染まり、艶のある桜色の唇からは淑女には考えられない罵詈雑言が並びたてられる。そして彼女の服装は、この鬱蒼とした森の中でも一際浮いていた。
彼女はなんと、ドレスを身に着けていたのだ。黒と金を基調とした、ゴシックパンク風のドレスである。もはやそれをドレスと呼んでもいいのか分からないが、とりあえずドレスなのである。
少年の名はネエロ・フォーリングダウン。傭兵をしている少年である。
少女の名はイリス。彼女が言うには「魔界の姫君」らしいのだが、オフレコで頼む。
「なっ……なっ!? ききき貴様!! 妾は魔界の姫君じゃ、地べたで寝られる訳がなかろう!!」
「自分のせいだと言うことを棚に上げてんじゃねえよ。お前が『こっちから行った方が集落に行けそう!! な気がするのじゃ!!』とか何とか抜かすからだろうが」
むー、と頬を膨らませるイリス(魔界の姫)。
ことの発端は2つに分かれている道だったのだ。あいにく地図は役に立たないぐらいに下手くそな絵レベルだったので道に沿って歩いていたら2つの分かれ道を発見、イリスが右の道を選んだのである。
右の道を選んで歩いていたのはいいのだが、小屋も何もないところで日が暮れてしまい、立ち往生してしまったのである。下手に動けば刺客に殺されるどころかその辺をうろついてる魔獣に頭から美味しくいただかれかねない。夜通し歩いて集落を目指すより、この場に留まった方が安全だとネエロが判断したのだ。
「絶対に嫌だ!! 妾はベッドで眠りたいのじゃ。広いベッドで眠りたいのじゃ!!」
「あるじゃねえか大自然という名の広いベッドが」
「これをベッドと呼ぶ貴様は馬鹿か阿呆か!? 広くて柔らかいベッドで寝たいのじゃ!! それぐらい理解するのじゃこの戯けがァ!!」
キーッ!! と髪を逆立てん勢いで怒るイリスを鮮やかに無視して、ネエロは野宿の準備に取り掛かる。
自分のことを無視しているネエロに腹が立ったイリスはドスドスと1歩1歩地面に攻撃をしながら、真っ暗な道を歩き出した。チラリと背後を見ると、やはりネエロは無視して野宿の準備中だ。薪を集めて光源を確保してから、今度は食材の調達と言わんばかりに周囲をきょろきょろと見回している。イリスのことなど眼中にない様子である。
ネエロの態度のますます腹が立ったイリスはさらに1歩踏み出す。チラリと背後を確認する。ネエロがこちらを見ていないことに腹を立ててさらにもう1歩。チラリと背後——その繰り返し。
「……何見てんだよ」
「……別に」
イリスの視線が気になったのか、ネエロはイリスへと問いかける。
しかし彼女は頬を膨らませたまま、ぶっきらぼうな返答をした。やはりネエロの態度が気に入らない。
「……何さっきからこっちをチラチラ見てんだよ。何が気に食わないんだお前は」
「全体的に」
「…………」
ハァ、と重々しくため息をついたネエロはガシガシと乱暴に自分の黒髪を掻いた。
「地べたで寝るのが嫌なのかよ。誰もさすがに地面でじかに寝ろって言ってねえよ。ちゃんと布団代わりになる布は敷くから。寝袋もあるんだしよ」
「…………」
イリスは唇を尖らせ、不満であることをアピールする。やはりまだネエロの態度が気に食わない。
しかし、彼女は分かっていた。この男、言わねば分からないのだと。
「……そなたが添い寝してくれるのなら、か、考えてやらんこともないが」
「分かった分かった。添い寝してやるから帰ってこい、イリス」
「し、仕方ないのう!!」
好意を寄せる男からの「帰ってこい」という言葉を聞いて帰らない女などいないだろう。それに添い寝をしてくれるという言質まで取ったのだ。
意気揚々とネエロのもとへ帰還するイリスの機嫌はすっかり直っていた。鼻歌も聞こえん勢いで、焚火の近くに体育座りをしている。
彼の気持ちを引きたいが為にツンデレな態度を取るイリスの心情を知ってか知らずか、ネエロはイリスに聞こえないように「めんどくせ……」とつぶやいたのだった。
御免なさいとしか謝るしかない。ごめんなさい!!
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