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- Re: あなたのオリキャラでSS 次回の募集は9月28日から ( No.44 )
- 日時: 2015/09/27 22:22
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: gTez.RDd)
ルナ様>>
ギャグは山下の得意と言ったのはいいのですが、題材が題材なだけのほのぼのしそうな感じになりそう……。
いいや、愉快犯ってことでいいんじゃないでしょうか!! 頑張ります!!
『えー、ここで臨時ニュースです。近頃空き家を対象にペンキで「馬鹿」「阿呆」「クソ」などと落書きをする事件が——』
小さなおんぼろのテレビで報道されている臨時ニュースをぼんやり眺めながら、森山陽人は珈琲を啜った。
淡々とした口調で女性アナウンサーはニュースの原稿を読み上げている。声に合わせて画像が切り替わり、空き家の壁一面に黄色いペンキで「馬鹿」という文字がでかでかと書かれていた。ついでにあかんべーの簡単な絵も。
こういう馬鹿な奴もいるもんだな、と陽人が呆れたようなため息を吐くと、カランカランとドアベルが鳴った。誰かが喫茶店に入ってきたのだ。
何気なくそちらの方へ視線を投げると、全身から赤いペンキを被った女が立っていた。
「……オイ、オイそれどうした」
「え、えへへ。ちょっと能力を暴走させちゃって……えへ?」
全身から赤いペンキを滴らせたポニーテールの女——望月美音は照れたように笑った。何故笑える、その状況で。
彼女は水を操る能力を持っている。なるほど、ペンキも液体だ。彼女なら操れるだろう。だが何故ペンキを操るのか、その経緯が聞きたい。
喫茶店の奥へ引っ込み、タオルでごしごしと顔と髪の毛を拭いながら、
「いやー、ちょっとペンキを持った怪しげな男の人がいてね。その人が空き家だったんだけど、その壁に阿呆って書こうとしてたから止めたんだけど……ほら、私ってちょっと不器用じゃない? コントロールが上手くいかなくて、その……」
徐々に言葉が小さくなり、しゅんと小さくなる美音。ごにょごにょと後半はもはや何を言っているのか分からなかった。
しかし、彼女がその男の愉快な行動を止めようとしていたのは分かる。美音は不器用で、能力をたびたび暴走させてしまうのだ。彼女なりに努力はしているのだろうが、その行動が裏目に出てしまうことが多々ある。彼女に振りまわされるのはもはや日常と化しているほどだ。
陽人は何も言わなかった。責めようともしなかったし、同情もしなかった。ただ一言、「そうか」とだけ言っておいた。
「その格好で接客するな。シャワー浴びてくるなり何なりしてこい。シャツにもペンキついてるだろうが」
「うん、そうだね!! うわー、これ絶対落ちない。捨てるしかないのかな……お気に入りだったのになぁ……」
美音はペンキがべっとりとついたシャツを見ながらため息を吐き、とぼとぼと奥へと引っ込んでいった。
ずず、とまた珈琲を啜り、ふと陽人はおんぼろテレビを見やった。
映像はいつの間にか変わっていたが、ニュース内容は変わっていない。落書きする事件のことを報道しているのだが、表示された映像を見て陽人は珈琲を鼻から噴出しそうになった。
小さなペンキ缶の中から、赤い竜が飛び出している映像だった。
赤い竜のすぐそばには見知った女の姿が。竜は大きな口を開けて地面に尻餅をついている怪しげな格好をした男へと噛みつこうとしていた。
「……これは、不器用ってレベルか?」
不器用な女がペンキの竜を作って男へと威嚇するものなのだろうか。陽人は頭を抱えるのだった。
水を操るってあったんで、ペンキを操らせてみました。ギャグ感が滑りました。ごめんなさい。
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