リクエスト依頼・相談掲示板

Re: あなたのオリキャラでSS 次回の募集は9月28日から ( No.45 )
日時: 2015/09/27 22:47
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: gTez.RDd)

俊也様>>


 設定を読み直してみたらまさかの俊樹ちゃん銀髪宣言ですと……!!
 銀髪少女hshsなので張り切って書かせてもらいますね。ええもちろん!!




 冬の夜は寒い。
 クソがつくほど寒い。足も震えるし手も震えるし吐く息も白くなるし、というか動きたくなくなる。

「〜〜〜〜!! 寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い!!」

 夜道を歩きながら灰原俊樹がマフラーに顔を埋める。雪のような美しい銀色の髪が、プルプルとかすかに震えている。
 鼻の頭を真っ赤にして、俊樹は呻き声を上げた。

「この世から冬なんてなくなればいい。いや、かといって夏も嫌だ。いっそ四季が二季になって春と秋だけになればいいんだ……」
「……俊樹、だい、じょうぶ……?」

 そんな俊樹の隣を歩くのは、銀——というより白髪の美少年だった。長い前髪から覗く瞳の色は青に近い紫色の瞳。吸い込まれそうな夜の色だ。細腕が抱えているものは小学生ぐらいの大きさがあるウサギのぬいぐるみである。
 小紫由乃。
 俊樹とはクラスメイトであり、気の置けない友達である。

「大丈夫じゃねえよクソ寒い。ありえないぐらいに寒い」
「……あっためて、あげ、ようか?」
「ハ?」

 どうやってあっためるんだ、と問いかけようとしたところで温もりが生まれた。
 いつの間にやら由乃は俊樹の背後に回り、彼女を背中からギュッと抱きしめた。背中の方が由乃の体温でポカポカと温かくなってくる。
 至近距離で由乃に顔を覗き込まれた俊樹は、思わず彼の顔から目を背けてしまった。顔が寒さで真っ赤になっていてよかった。由乃に抱きつかれてドキドキしていることを誤魔化せるから。

「……どう?」
「お、おう。温かいぞ。だけどこれだと歩きにくいな……」
「……そう、だった」

 由乃もそのことには失念していたようだ。天下の往来で何をやっているのか。
 すると、由乃は俊樹の肩口にグリグリと額を押しつけた。まるで猫のようだ。

「何してんだよ、由乃。ちょっと離れろ」
「やだ……俊樹」

 さらりとした前髪から覗く、紫色の瞳。それが欲の色を滲ませていて、俊樹は思わず息を飲んでしまう。
 薄い唇から覗く牙。見え隠れする赤い舌が、妖艶に蠢く。

「ねえ、……血、ちょうだい……?」

 吐息混じりに紡がれた、欲求。俊樹は思わず由乃の拘束を振り払ってしまう。
 俊樹に振り払われたことで、由乃はしゅんと俯いてしまった。今の彼は吸血鬼ではなく、叱られた子供のようだ。
 しかし俊樹は由乃を嫌ったりしない。恥ずかしくて振り払ってしまっただけだ。その証拠に、俯く由乃へ手を差し伸べた。

「ほら、由乃。寒いから早く帰ろうぜ。外で血を吸うとか勘弁しろよ。ただでさえ肌を露出したくねえのに」
「……!! う、うん……」

 差し出された手を握る由乃。俊樹はそんな由乃の手を引いて、帰路を辿るのだった。



 これラブコメだろうか……怪しいな。