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Re: あなたのオリキャラでSS 新規のお客様募集 ( No.79 )
日時: 2015/10/04 22:28
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: gTez.RDd)

コトコト様>>



 さて、大変長らくお待たせいたしました。メカクシティアクターズの小説をさっそく書かせてもらいましょう。
 宣言通りメカクシコードがテーマソングとなっていますが、何だろう……コレジャナイ感が半端じゃねえぞ……。




 わざと伸ばした前髪に、フードを被って視界を完全に覆い隠す。それが未和珪奈ことケイのスタイルだった。
 何故、と問われればケイは寂しげな声音でこう答える。「そうじゃなきゃ、死んじゃうから」と。
 何が、と問われればケイは口を噤んだ。小さな少女では答えるのが難しいのか、とかそういうのではない。ただ単純に、言いたくなかったのだ。
 ケイという少女に与えられる希望なんか、この世界のどこにもない。神様から奇怪な『目』を与えられてしまったが故に、彼女へ与えられるべき希望が全て潰えたのだ。


 フードの下から伸びるコードが、歩くたびにケイの胸元で揺れる。
 いつも聴いている曲がある。世界的に有名である機械の少女が歌っている、とある曲。ケイはそれが好きで、何度も何度も繰り返し聴いていた。
 こんな白昼堂々小さな女の子が往来を歩いていると、周囲から変な目で見られるが、知ったことではない。ケイには前髪とフードのおかげで、冷たい世界を見ることができない。鼻歌を歌いながら流れる音楽と共に揺れ気味でビートを刻む。ちょうどその歌の詞と同じように。

「今日は何か面白いことないかなぁ」

 前髪の隙間から代わり映えのしない世界を覗き、それからふと知り合いの少女の顔を思い浮かべた。
 ケイの世話を焼いてくれる、ちょっと意地悪だけど優しい女の子。
 そうだ、彼女の為にマカロンを買って行こう。マカロンは彼女の大好物だ、きっと喜んでくれるに違いない。ニヤけてしまいそうな口元を押さえて、ケイは雑踏の中に紛れていく。



 コンビニで購入したマカロンの袋を揺らしながら、ケイは見知った人気のない道を歩く。この道を行けば、友人たちに会える。そう思っていた。
 しかし、今日はなんて日だろうか。
 目の前に邪魔な『人間』がいる。

「オイオイ、こんな昼間に子供が出歩いてるぜ」
「学校はサボリですかー?」
「いーけないんだー」

 髪を金色に脱色し、顔中にピアスの穴を開けた怖い男たちが数人。にやにやとした笑みを浮かべて、ケイへ歩み寄ってくる。
 怖い怖い怖い。ケイの胸中が恐怖で彩られる。耳元で流れる音楽に集中できない。ああ、この先には友達が待っているのに。どうして。
 ケイの小さな体に手が伸ばされる。怖い、怖い、怖い!! フードが取っ払われて、ケイの金髪碧眼が外気に晒される。長い金の前髪の隙間から、涙に濡れた青い双眸が見えた。
 ケイが『怖い』と思ったのは、純粋な恐怖ではない。「この人たちを殺してしまうのが怖い」からだ。
 彼女の青い双眸を見てしまった、そして彼女の双眸に映り込んでしまった男たちは——

「う、うぅ……!?」「が、ぁ!!」「あああっ!!?!」

 一斉に胸元を押さえて、苦しみ始めてしまった。バタバタとその場に倒れて、ビクビクと痙攣してから動かなくなってしまう。
 コンビニのビニール袋を握りしめて、ケイは慌ててフードを被り直した。頬を伝う涙を乱暴に拭ってから、動かなくなってしまった男たちの横を急いで通り過ぎる。
 コンクリートの道をひたすら走って、アパートの扉を叩き開けた。狭い部屋の主へ向かって、ケイは叫ぶ。

「セナー!! ど、どうしよう、どうしよう!!」
「ケイ……?」

 出迎えた緑髪の少女——セナは、震えて座り込んでしまった小さな少女を優しく抱きしめた。
 嗚咽を漏らして泣くケイの背中を撫でて、セナはただ「大丈夫よ」と何度も呼びかけるのだった。





 メカクシコードがテーマだと無理あった。ごめんなさい、非常にごめんなさい。
 セナちゃん最後しか出てこなかったってのも謝罪したい。二言しかしゃべってないしこれ。あと応募用紙見てみたら、セナちゃんの方が前髪長かったのね。ケイちゃんの前髪を長くしちゃった。設定無視ごめんなさい。