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siyaaruden様>>



　大変長らくお待たせいたしました。ものすごく話の構想を考えてた。
　これで少しでもいい話ができたらと思います……一応グロ注意の一言を添えておきましょう。あ、ちなみに莉麻ちゃん目線の一人称小説です。




　生きているのが苦しいと何度思ったことだろうか。
　私は学校で虐められている。無視されるとか、そういう可愛いものじゃない。殴る蹴るは当たり前、便器に頭を突っ込まれたり、弁当をひっくり返されたり、机の上に花瓶が飾られてあったり、靴を隠されたり——言うのも憚られるようなこともあった。お金を求められて、何度もお母さんの財布からお金を抜いたりした。「ごめんなさい」って何度も心の中で謝りながら、そいつらにお金を渡していた。
　みんな、私が虐められているのを見て見ぬふりをしていた。関わってしまったが最後、自分も虐められるからだ。所詮は他人事なのだろう。
　それが、私の日常。私の生活だった。



　登校途中で猫を見つけた。黒くて、可愛い猫だった。塀の上で上品に座っていて、琥珀色の双眸でこちらを見下ろしてくる。

「……ねこ」

　猫は好きだった。純粋に可愛いし、何より自由そうだ。縛られずにどこへでも好きな場所へ赴き、誰にだって愛される。酷く羨ましい。
　ちょっとその黒い毛並みに触りたくなって手を伸ばしたが、触られたくなかったのか、猫は私の手に噛みついてきた。鋭い牙で私の手の甲に噛みつき、爪で引っ掻いた。刺傷と裂傷の２つが、私の手の甲にできる。遅れて、ズキズキと痛みだした。
　慌てて手を引っ込めた瞬間に、猫はひらりと塀から飛び降りて、どこかへと逃げてしまった。猫にも傷をつけられるなんて。どこまで私はみんなに嫌われているのだろう。
　それにしても、血が出てきてしまった。学校に行ったら保健室に行こう。消毒して絆創膏でも貼っておけば、どうせすぐに治る。人間の体ってそういう風にできているのだ。



　簡単な処置だけを施したが、何故だろうか、気分が悪くなってきた。胸がむかむかしているし、頭もぼんやりしてくる。授業中なのに、先生の話が頭に入ってこない。
　ああ、あの猫って野良だったのか。きっと傷口からばい菌が入ってしまったのだろう。どうしよう。いっそ保健室で休ませてもらおうか。いや、でもそんなこと言えない。大丈夫だ、もうすぐで授業も終わる。そうしたら保健室に行って、少し寝かせてもらおう。
　でも、時計の文字が読めない。ふにゃふにゃと文字が歪んで見える。１とか２とか、数字も曖昧だ。長針と短針と秒針が動いているのすら怪しい。先生の声が遠くなる。遠くなる。とおくなる。トオクナル————。
　そこで、私の意識は途切れてしまった。

　目が覚めたら気分はよくなった。なんというか、そう、最高だった。頭の靄が晴れたような気分だ。すっきりしているし、体も軽い。
　ただ、ちょっと周りが騒がしい。何だろう、何か起きたのかな。「警察!!」とか「救急車!!」とか男の人の声が聞こえてくるけど、何のことだかさっぱり分からない。でも、私の気分はとにかくよかった。今なら何でもできそうだ。
　ああ、でも喉が渇いた。お腹も減った。もうお昼休みだっただろうか。今日は気分がいいから、外でご飯を食べよう。



　気分がいいところに女子生徒数人で行く手を阻まれて、私はどこかに連れて行かれた。薄暗いところだった。じめじめしている。こんなところでご飯なんて食べたくない。とても気分がいいのに、害された。
　目の前で女子生徒がニヤニヤしている。誰だっけ。確か深海だっけ。記憶もおぼろげだ、私の中ではどうでもいい位置づけだったのだろう。
　女子生徒が私を囲んで、小突き回す。順に体を揺らしていく。ああ、嫌だ。鬱陶しくてたまらない。

「何よ、何で黙ってんの？」

　深海の声が煩わしい。頭に響いてくる。やめろ、やめろ、ムカつく。
　ムカついたらさらにお腹が減ってきた。目の前の肉は本当に美味しそうだ。齧りついたらどんな味がするのだろう。きっと舌が蕩けそうなほど美味なのだろう。
　喉も乾いてきた。その喉元に噛みついて、甘い汁を啜ってやろう。赤い甘い汁。考えただけでも涎が止まらない。ああ、美味しそう。美味しそうだ。

「何か言いなさいよ、ねえってば!!」

　うるさいな、肉がしゃべらないでよ。
　私は喧しく騒ぐ肉の口を塞いで、押し倒した。じめじめした場所で食事をするのは嫌だったが、まあいい。早く食べたいのだから仕方がない。
　唸り声を上げて、無様に目から透明な汗を流す。最高のスパイスだ。私は目いっぱい最高の肉を味わう為に、大きな口を開けた。

「——ィ、たダき、まァス」

　ぐちゃり。ぐちゃり。ぐちゃり。ぐちゃり。
　ああ、なんて美味しいのだろう!!




　これは一人称で書いた方がよかっただろうか、これでよかったのかどうか心配ですが……。
　とりあえず食わせてみました。書きたかったシーンが書けたので満足しています。