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メデューサ様>>


　５度目ましての俺ら戦争第５回目!!
　常識人のキャラと天然ボケボケキャラがきたので是非とも使ってみようと思います。ええハイ!!



　宮園高校には能力を用いていたずらをするという集団がある。
　その名も『戦争組』。筆頭者たる二条蒼空は重力を操ることができる男子生徒である。その他不可思議極まる能力を持った生徒たちが集いに集って、今や戦争組は威力を拡大してきている。
　しかし、能力を持っていると言っても彼らは高校生。つまりは勉学に励まなくてはいけない身分である。
　当然、戦争という名のいたずらをしていれば、勉強という名のツケが回ってくる訳で。


「ぅおおおれえええらあああせんそぉぉおお…………ハァ」
「黙れ二条。真面目にやれ」


　数学と英語の問題が印刷されたプリントに額をこすりつける黒髪碧眼の男子生徒、二条蒼空。その隣には金髪の男子生徒である浅比奈奏人が突っ伏している。ピクリとも動かない。死んでいるようだ。
　彼ら２人の前に仁王立ちをしているのは、筋骨隆々とした男性教諭だった。スポーツ刈りにしていて、若干目つきの悪い双眸をさらに悪くして２人の生徒を睨みつけている。蛇に睨まれた蛙という慣用句を思い出す光景だ。
　名を御雨終始という。「お前体育教員じゃねえのかよ!!」と突っ込みたくなるような台詞を言おう、彼の担当科目は日本史である。

「日本史教員が数学と英語のプリント持ってくるんじゃねえよ……せめて日本史だったらよかったのに……戦国時代の知識をひけらかしたかったのに」
「ゲームか？　漫画か？」
「ゲームッスね。最近新しいの出たじゃないッスか。千利休が二重人格で襲ってくるあれ」

　机に突っ伏しながら、蒼空がふよふよと空中に指を彷徨わせる。
　ちなみに現在、２人は数学と英語の補習の真っ最中だった。理由はサボリではなくて、授業妨害。「腹が痛いから保健室行かせてください」と言ったから保健室に行かせたら、２人揃って廊下で「俺ら戦争!!」と奇声を上げて走り回ったのだ。生徒のみんなは「ああまたか」程度だったが、数学と英語の先生は大層ご立腹だった。
　そこでこの補習である。補習という名の罰である。終始が監督に選ばれたのは、終始が見張っていると２人も逃げないからである。

「いいから真面目に問題を解け。他の連中はすでに下校したんだろ？」
「薄情ッスよね。同じ戦争組なのに、リーダー放りだして下校とか」

　蒼空は唇を尖らせるが、まあ当たり前のことだと思う。誰だって補習になった友人を助けようとは思わない。
　その時だ。
　補習をしていた教室の扉が、軽くノックされた。別にノックしないでも普通に入ってくればいいのに、わざわざノックするとは一体誰だろう。

「こんにちは〜、二条君と浅比奈君と〜、御雨先生〜」

　ガラリと引き戸を開けて入ってきたのは、こげ茶のロングヘアーが特徴の女性教諭だった。おっとりとした声音で蒼空、奏人、終始の名字を呼ぶ。
　蒼空と屍から復活した奏人は普通に彼女へ挨拶をしようとしたのだが、終始の勇ましい声によってかき消されてしまう。

「こ、こ、恋澄先生!!　ご無沙汰しております!!」

　バッと直角になるほどの立派なお辞儀をした終始。
　彼女、恋澄やよいは柔らかな笑みを浮かべながら、

「今日は１年生のクラスで調理実習があったんです〜、教師の皆さんにクッキーをお配りしていて〜、よければどうぞ〜」
「ほ、本当ですか!!」
「ハイどうぞ〜」

　やよいは小さな袋を、そっと終始へと差し出した。
　まるで割れ物のように袋を受け取った終始は、あまりの嬉しさに膝をついて神様へ祈りだした。滝のような涙を流し、「おお神よ……」と呟く。
　その光景を見た蒼空と奏人は、そろって口笛を吹いた。

「ひゅぅ、先生よかったじゃん」
「ひゅぅ、先生よかったじゃん」

　そう言って２人は窓枠に足をかけた。
　ハッと我に返った終始は、慌てて窓の方へ振り返るが時すでに遅し。彼らは飛んでいた。
　この教室は２階にある。そして彼らは能力を行使していたずらをする戦争組のトップと幹部である。当然ながら彼らは無事に着地を果たし、スタコラサッサと逃げ出した。
　終始の監督している補習の場から逃げ出すということは、すでにプリントの内容は終わったのか。終始は一応プリントを確認してみた。


『ばかがみるー』


　ぐしゃり、とプリントが握りつぶされた。

「真面目に補習を受けろやお前らァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

　その日、終始の絶叫が校舎内全体に轟いたという。




　
　楽しかった（キリッ