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- Re: 長期で小説の挿絵描いて下さる方、いませんか? ( No.76 )
- 日時: 2016/05/29 01:07
- 名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE (ID: C8ORr2mn)
◆サーフェリア編◆
P7
悪夢の名残も消えて、子供は深呼吸した。
そして、痛む腹を庇いながらゆっくりと寝返りをうったとき、自分の手が誰かに握られていることに気づいた。
その腕を視線でたどっていくと、ベッドの脇の床に、見知らぬ中年の男が座っていた。
よほど疲れているのか、子供の手を握ったままベッドの端に寄りかかって熟睡している。
☆P16
シルヴィアは、青白い指先をこちらに向けた。
「……それなら、貴方の名前はルーフェンにしましょう。古の言葉で、奪う者って意味よ」
銀の髪を揺らして、シルヴィアの唇が会心の笑みを浮かべる。
P18
(……色んな、世界があるんだな)
家族すら食い殺そうとするヘンリ村での生活が脳裏に蘇って、ルーフェンはふと思った。
別に、だからといってシュベルテの民が妬ましいとか、そういった感情は抱いていない。
ただ、同じ国の民であるのに、どうしてこうも差があるのかと疑問に思った。
現に、自分は底辺から上流階級での暮らしに移ったのだ。
P29
「わ、私は……」
声が、震えた。
しかし、再び深呼吸すると、ルーフェンははっきりとした声で言った。
「……私は、召喚師の位など、いりません。もし、それで王宮から追放されることになったとしても……それでも私は、召喚師になりたくありません……」
P43
「誰が迷惑だなどと言ったのです。私は、貴方を心配しているのですよ。王宮に入って、まともな生活が出来ているのかと思えば、随分とお痩せになられて……」
サミルは、辛そうな表情を浮かべて、ルーフェンの頬を慈しむように撫でた。
温かくて、優しい手だった。
P57
ルーフェンは、大きめの外套の頭巾で銀髪を隠し、ぼーっとした様子で壁に寄りかかっていた。
「おはようございます。随分とお早いですね」
そう声をかけると、ルーフェンは、頭二つ分ほど高いオーラントを見上げて、ぼそりと答えた。
「……早く目が覚めてしまったので」
P69
「賑やか、というと……?」
「アラン・レーシアス伯が、領主だった時代。彼が、遺伝病の治療法を確立した頃の話です」
その瞬間、女性の目が揺れる。
この質問には、オーラントも驚いたらしく、どういうつもりだ、というようにルーフェンに視線を送った。
P76
その言葉に、ルーフェンはどうしようか迷っているようだったが、同じく諦めたように息を吐くと、言った。
「……アーベリトを、昔のように戻したいんです」
「…………」
「昔の、裕福だった時代に」
P77
「俺は! 召喚師のことなんて、どうでもいいと思ってます」
思いがけず、ルーフェンが大きな声を出したので、オーラントは押し黙った。
P83
オーラントが、眉をぎゅっと寄せて、唸る。
「まあ、ノーラデュースでよく出る病って言ったら、一番は熱射病ですけどね。あとは、食中毒とか、ガドリアとか……」
「ガドリアって……感染症のですか?」
ルーフェンの問い返しに、オーラントは頷いた。
p97
ルーフェンは、息を詰めたまま、目を見開いて、しばらく蝋燭の炎を凝視していた。
P106
怒っている、というよりは、本当に心配しているといった表情で、アンナは再び、ルーフェンの髪を拭き始める。
ルーフェンは、そんな彼女の様子をしばらく見つめていたが、今は大人しくしている方が得策だろうと悟ると、黙ったまま、濡れた袖を絞ることにした。
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