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Re: 第1回*小説大会!!【今日〆切】 ( No.14 )
日時: 2016/01/13 17:55
名前: レモネード伯爵 (ID: w6TIyM.w)

亡霊山



私の名前は確か、琴葉だったはず。
小学五年生で、友達はいなかった。
そんな私は、ある秘密を持っている。
それは────

【幽霊が見ること、話すことができる】

みんなに嫌われるから言わないけど、実際、私は嫌われてもいいと思っている。
もともと私には、幽霊しか友達はいなかったから、人間なんてどうでもよかった。

「琴葉、絶対に能力のことはばれないように気をつけるんだよ」
「ばれたら、母さん達は普通に暮らせなくなってしまうからね」

両親は、私の能力で自分たちの立場が危うくなるから、私の能力を知られないようにしていた。
でも、そんなの知らない。そんなの、大人気ない。
そう思った私は、学校でも、公園でも、どこでも幽霊を見つけたら喋ったり、遊んだりしていた。
私の能力は私の自由に使っていいじゃん。
だから私は、自分の能力をしょっちゅう使った。
それから2ヶ月後には、みんなにばれた。
私は、ありのままに過ごしていたから、ばれた後も自由に生活していた。
でも、母さんと父さんの居場所はもうすっかりなくなった。
しばらくすると、母さんと父さんは、私の近くから消えていなくなった。
私の元から逃げたんだ。
せいせいした。私の能力のことばかり気にしていたから、すっごく目障りだったんだよね。
でも、その後、一人で暮らすより、幽霊もいた方が楽しいんじゃないか、って気がした。
……………いっそ、幽霊と暮らしてみよう。
そう思った私は、すぐに幽霊をたくさん呼んだ。
小さい子から老人の幽霊。小動物からいろいろな動物まで。
私は幽霊たちと一緒に山で暮らした。
それはそれは賑やかで楽しい暮らしだった。
最初は少なかった幽霊たちだったけど、次第にいろいろな幽霊が私の元に集まった。
でも、私だって人間だから、いつか死ぬとわかっていた。
だけど、自殺すれば、幽霊たちと暮らせるかも………。
そんな考えが私の頭の中に沢山出てきた。
それから長い年月の時が過ぎた。
私のいた山は、いつの間にか『亡霊山』と呼ばれるようになっていた。
私は、亡霊山と呼ばれ始めた頃の始めに、幽霊に囲まれて自ら死んだ。
だって、幽霊たちと一生暮らしたかったから。
でも、今の私は、成仏のされなかった霊なのか、
それとも、あの世へ送り込まれた霊なのか、私にはまだよくわからない───。


【完】亡霊山