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- Re: 第1回*小説大会!! ( No.6 )
- 日時: 2016/01/05 16:48
- 名前: 紫音 (ID: HKLnqVHP)
- 参照: http://私も投稿します。題名は、カニバリズム
昔から、見続けたのは褒められる双子の姉と4つ上の兄の姿。
姉の奏音は手伝いをよくして、まだ習ってないのに字だって読める。
兄の梨音は小学校での成績もいいらしく、二人は親のお気に入り。
一方の私はどうだ。
奏音のように手伝いはしない、字だって読めない。
唯一奏音に勝てるのは足の速さだけど、そんなのは両親は望んでいなかった。
『何でお前はこんなに出来が悪いんだ』
『奏音ちゃんを見習って、少しはお手伝いしなさいよ』
毎日のように言われた。『奏音ちゃんや梨音を見習いなさい』。
手伝ったところで転んで皿を割ったら怒鳴って頬を叩かれる。
文字を書こうと紙と鉛筆を使うと、『無駄遣いするな』と怒られる。
私はいったい何をすればいいんだろう。
何をしたって怒られる。手伝わなくても怒られて、手伝っても怒られて。文字の練習をしたって怒られる…。
私はきっと【要らない】存在なんだろう。そう思った。
・
ある時を境に、父親はあまり家に帰らなくなった。
母さんが言ってた。『ウワキしたんだ』って。
幼い頃の私には意味が解らなかったけど、何となく、しばらくは帰ってこないんだな。とは分かった。
働きに出ていた父が返ってこないと我が家にはお金が入らない。
母さんは専業主婦だから家で働いていて外へは働きに出ていない。
お金が入らないから、色々節約しないといけない。
最初に削ったのは私の食事。
いきなり食事が出されなくなったことには驚いた。
奏音もお兄もいつもより量が少ないが食べさせてもらえていた。
でも、私は米粒一粒も貰えなかった。
「和音、私のご飯、一緒に食べよう?」
母さんが出かけたときに奏音が言った。
基本的に母さんは私達と一緒に食事をしないからどこかにこっそり隠してあったらしい。
「でも、奏音がお腹すいちゃうよ」
「んーん。いいの、和音と一緒に食べれれば!」
ニコッと笑って奏音はそう言った。
久しぶりのご飯。
全く食べてなかったからとっても美味しく感じた。
暫くの間、奏音の食事を分けて貰っていた。
でも、母さんが次に削ったのは奏音の食事。
一緒に食べるものも無くなり、母さんが居ない時は二人で水を飲んで腹の足しにしていた。
偶にお兄も食事を分けてくれたけど、二人で分けると全然足りなかった。
・
ある日の夜、父さんが急にやってきた。
『離婚届』って書いてある紙を持ってやってきた。
その夜はとっても煩かった。
「何でそうなるの!」
「いいからココにサインしろ、俺はもうお前とは無理なんだ!」
居間の方では父さんと母さんの喧嘩している声が聞こえる。
眠れない。
何も食べてないからお腹が空いて全然眠れない。それに加えて今日はこの煩さだ。
パチン と何かを叩く音がした。
そーっと今の方へ行き、中を覗くと倒れている母さんの姿が見えた。
ぐったりとして、起き上がる気配はない。
「おい、生きてるよな。おい!」
倒れた衝撃で頭を打ってしまったのか。
母さんは父さんの呼びかけに答えず、倒れたままだ。
「くっそ…」
殺してしまったか、と思ったのか父さんは玄関から逃げようとする。
何となく、足を引っ掛けて転ばせる。
そしたら母さんと同じように起き上がらない。
ずっと倒れたまんま。
倒れた父を見て、やっと自分のやったことに気づいた。
【 人 を 殺 し て し ま っ た 】
「ぇ…あ…お父さん…?」
倒れた父を見て思わず泣いてしまう。
頭からは赤い血が流れ出ている。
きっと死んでしまったんだろう。そう思った。
【 これは死体だ 】と意識した瞬間にとっても美味しそうなお肉に見えた。
キッチンにあるナイフを持って来て父さんの身体に刺して____。
朝には母さんの身体も食べ終わっていた。
部屋に充満する血の嫌な臭い。
「わ、おん…?ねえ、それ、何?」
起きてきた奏音が怯えたように聞く。
「お父さんとお母さんの骨。肉は…」
【私が食べちゃった。】
_fin カニバリズム【食人性愛】
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