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Re: 徒然主の鑑定処【いずいず様完了】 ( No.27 )
日時: 2017/10/27 17:33
名前: 黒崎加奈 ◆KANA.Iz1Fk (ID: OypUyKao)

 もう8月の終わりですね。お前、早く仕事しろよという声が聞こえてきました。宿題は最終日に1日で終わらせるタイプの子供でした。黒崎加奈です。
 どうでもいい前置きはこのぐらいにしてサクッと本題に入りましょうかね。遅くなりました。2か月間お待たせいたしました……。

 完結作品って一気に読めるから良いなあと思ったとか、そういうのはいったん置いておいて。公募に出されているだけあって、特に文章ルールとかでとやかく言う部分も見当たらないので、つらつらと参考程度のことを書き殴っていこうと思います。


全体的にみて気になったところ(参考程度)
・文章の長さ
 地の文の描写、特に状況説明の文章が長いかなと思いました。こうしている時に、こういう理由で、こんな目的があって、Aという場所で、Bだった。長い部分だとスマホ版で5行近く1文で取っているところがあります。時々なら気にならないのですが、1レスの間に何回か出てくると少し読みづらいかなと。特にプロローグや1章など説明が多く出てくるところで気になりました。なんというか、意味のまとまりごとに読点で区切られているし、読みやすいけれど長い感じです。
「これは、一昨日スーパーで安く売られているのをたまたま見つけ、試験勉強でインクが切れかけているのを思い出して買った、今日初めて使う私のペンだ」
 無理やりつなげた文章に仕上がっていますが、こんなイメージです。作中の文章はもう少し分かりやすかったのですが。1文の中に情報を詰めすぎているのかな、という印象です。
 登場人物の洋服や容姿、車内からの景色、など情景描写は細かくはっきりと伝わるので、全然気にならなかったです。状況説明だけ、今より少し短めの文章を心掛けるとよりよくなるのかな、と思いました。

・設定のアウトプット
 気になった単語や描写の説明が登場するのが遅いかなと感じました。恐らくシリーズになっている他の作品を読めば大体は分かるのでしょうが、あくまでも依頼された作品しか読まずに見ると、謎だらけです。また、現実のものを参考にすると少し説明が足りていないのかな、という場所も。特に国の位置関係、アレクの目的地は結局どこなのか、列車内の座席のグレードについての説明、ホテルについての説明、この4つが引っかかりました。
 国の位置関係は頭の中で地図を作るのがかなり難しかったです。ほぼほぼアレクの目的地と被るのですが、国の名前がポンポン登場し、南北に走る列車とロマンス。島国なのかな、と思えば大陸という描写が来たりと、全体像が掴みにくかったのもあるかもしれません。ざっくりと全体の位置関係を初めに描写してあると、逃避行の臨場感が出やすくなるかなと。個人的に逃避行は地理関係が分かっているほうが、「ここを移動しているんだな」「こんなに移動したんだ」といった具合にのめり込めると思っています。
 すでに読まれているかもしれませんが、有川浩さんの『図書館戦争』4巻目は東京〜大阪間の逃避行が地理関係含めてめちゃくちゃ分かりやすいです。読者の頭に日本地図がインプットされているから、移動の際に地図の視覚イメージとして浮かび、逃避行が現実的になる。架空の国と地域なら、まずその地図を用意する、ということですね。地図のどの地点からどこへ向かうのか、移動中に地図が完成していくタイプの話は、視点人物がその場所の地理に精通していないことが前提であるほうが好ましいです。だって、日本人がいきなりヨーロッパの田舎町に連れていかれて、別の田舎町に明日までに調べずに行けって言われても、普通は無理じゃないですか。そういう感じです。うまく伝えられている感じがしないのですが。
 列車内の座席は、有り金をすべて使い込んで取った、という描写からかなり高いところなんだろうなと予測はつきました。ただ、個人的にそんなに高いなら普通は1部屋1団体では? とか考えてしまうわけです。ましてやコンパートメントなら個室だし、旅客列車なら尚更その傾向があるよなと。なので、さらっと3号車の普通席や1号車の完全個室席、など比較対象になる言葉が欲しかったです。単に「3号車に席を取ればよかった」だけだと、ぼんやりとしたイメージしか湧かずにもやもやしたままでした。
 最後、ホテルについての説明です。これ、わりと重要だと思うのですが、ほぼほぼ説明がなかったのが本当に残念です。『女王陛下に知らせますか?』の方を参照したうえで読めば、まだ繋がるのかもしれませんが、この話単体だと全くどんなホテルなのかが分からないです。
 まず、電車の中でいきなり予約とか確認もせずに部屋が取れるのでしょうか。一介のホテルマンに告げた程度で、即部屋が取れるなんてあまり現実的ではないよなと。また、ミスタのホテル内階級や仕事内容も気になります。ホテルマンと言えば、普通は部屋まで荷物を運んだりというイメージしかないです。やはりせっかく特別感のある素敵な設定のホテルなので、もう少しどんなホテルなのかについて作中の冒頭で触れられていると、ミスタにより親近感が湧いたりするかなと。派生して騎士団がどういうものなのかも、ざっくりで良いので1文欲しかったな、と。宿泊客の便利屋、みたいな印象しかこのままだとありません。

 大きく見るとこの2つになります。すごくいい設定を思いついていらっしゃるのに、それを説明しきれていないせいで中途半端になっている印象です。もったいないなと。シリーズになっている話でも、途中の話から読む読者の方はいるので、どの話でも簡単に説明があるほうが絶対に良いと思います。
 私が言ってもいいのかは謎ですが、設定と人物描写はいずいず様の長所だと思いますよ。
 さてと、完結しているので簡単な話の感想をば。ネタバレなんて気にせず書きますので、覗いている方は読み飛ばしてくださいね、なるべく配慮はしますが。

 タイトルに騎士団、とあったのでゴリゴリのバトルファンタジーかと思いきや、まさかの逃避行でびっくりしました。言葉から隔離されてきた少女にとって、幸せとはなんなのか、と色々考えてしまう作品だったと思います。個人的に、魔女の依り代となるにあたって、実は一番良い結果になっているのかなという結論です。作中にもありましたが、言葉を獲得し、目の前のものを認識していくと同時に、自我が生まれていくのではないでしょうか。きっと少女に自我が存在したら、依り代となったときに魔女とぶつかり合ってしまう、そんな失敗の過去があったらおもしろそうだな、と勝手に想像したりしていました。
 すごく素敵な世界観で、人の繋がりの強さと脆さ、そういったものがしっかりと描かれていて、一気読みしてしまうタイプの作品でした。騎士団に入団した後のアレクのお話が読んでみたいな、なんて感想なので書いてみます。無視してくださいませ。登場人物が生き生きしていて、理不尽な出来事に対して不機嫌になったり、少女の様子を見て照れたり、読んでいてとても共感できました。
 ぜひ、他の3作品も読ませて頂こうと思います。


以上でいずいず様の小説「知恵と知識の鍵の騎士団」鑑定結果とさせて頂きます。
確認の意味合いも兼ねて、一言で構いませんので返レスしてもらえたらなと思います。宜しければまた足を運んでくださいませ。

※この鑑定結果に対する質問・批判等は作者様本人からのみ、受け付けます。