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- Re: 投票お願いします!【準備中】 ( No.1 )
- 日時: 2016/03/12 20:13
- 名前: 哀歌 (ID: bUOIFFcu)
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登場人物
生徒会長・端宮 一乃/はしみや ひとの
一般生徒・樫野 未空/かしの みそら
こんな時に会長がどこに行くかなんて知れていた。
「会長」
「…あら、ばれちゃった?」
屋上の扉を開け放ち、会長を呼ぶと、「素」の会長がそこにはいた。
眼鏡を外し、制服を着崩し、髪を無造作に晒している。
「当たり前ですよ。…どうしたんですか、授業中に教室から飛び出したりして」
「ミソラ。そんなものに理由は要らない。ただ、飛び出したくなったの」
会長は俺のことなど どこ吹く風といった様子で断言する。それが真実か虚実かなんて、俺には判断出来なかった。
否、判断出来るほど会長との仲は深くなかったのだ。
「ミソラ」
「…何ですか?」
「ミソラ。私、君の名前、どうやって書くのか知らないんだけど」
何を言い出すかと思えば、名前の話だった。拍子抜けしてしまうが、会長からしたら特に大事な話をしたいってことでもないわけで、普通に会話をしようというようだった。
もっとも、会長との会話はよくわからないことが多いが。
「未知の未に、空。普通に空です。それで、未空」
「未空…」
そう言うと、会長はゆっくりしたモーションで蒼く澄み切った空を見上げ、呟くようにして話し出す。
「ねぇ、未空」
「はい?」
「未だ知らず、と書いて未知なら、未空は何だと思う」
「…はい?」
またこの会長は、不思議なことを訊くものである。
ゆっくりとこちらに顔を向け、その端整かつ精巧な顔の大きく澄んだ目でこちらをぼんやりと見据えた。
「未知と書いて、未だ知らず。…なら、未空と書いて、君はなんて読む?」
不思議なことを聞きはするが、それは俺の心をグサリと突き刺した。
会長は、知っているのだろうか。
未だ見ぬ空…俺が最も忌み嫌う空は、他ならぬ俺自身だと。
もしかしたら、俺の名前がどう書くのかも本当は知っていて、そんなことを言い出したのだろうか。
「んなの…知りませんよ」
そうとしか、返せなかった。
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