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- Re: 投票お願いします!【準備中】 ( No.3 )
- 日時: 2016/03/14 18:13
- 名前: 哀歌 (ID: bUOIFFcu)
3
登場人物
ダンサー アリーバ、マリアナ
少年 サラ
ただでさえ深い森の、更に奥深く。
ぽつんとひとつ、建てられた館。
怪しくも妖しく、奇しい奇妙な館。
そこに、「彼女」-----アリーバはいた。
「…あら、少年。また迷子かしら…いや、違うわね」
面白いほど簡単に見破られ、なんとなくバツが悪いながら「まあ、はい…」と返した。実は迷子になった日に密かにここを覚え、いつか来てみようと目論んでいたわけだ。意外と早く来れてしまった。
「まあいいわ。あなたがいないと成り立たないのよ、だってあなたは『実体』があるから…。【貴方】には身体がない、だから捧げなければならないの」
半ば虚ろに狂った眼でこちらを見て、ほぼ無意識のうちに発したかのようにすらすら話す、アリーバ。
マリアナではない、アリーバ。
ダンサーとしての名である《マリアナ》とは、アリーバのことだ。社交場や、そうでなくても外では彼女は《マリアナ》である。…しかし、彼女はある時には必ずアリーバに戻る。
ある時。
今は亡き、愛した【貴方】に、舞を捧げる時。
この前ここに迷い込んだときに、僕はアリーバに出会った。マリアナではなく、アリーバに。そこで彼女は踊っていた…。
踊り、詠い、壊れていた。
【貴方】の身体の代わりを僕にし、彼女はいくらでも踊った。踊って踊って踊り回って踊り狂って躍り狂い、やがて僕が踊るのをやめても、自身が倒れるまで踊り続けていた。
そんなことを思い出していると、アリーバがぼそぼそと呟き始める。
「…あぁ、どうして【貴方】はいないのかしら…あたし、ずっと待ってるのよ」
暖炉の前で座り込み、ゆっくりとした口調、蚊の鳴くような声で喋っていたアリーバは、突如顔を振り上げ覚醒した。
バッと立ち上がり、流暢に喋る。
「さぁ、踊ろう。踊って踊って踊りまくって、あたしは罪の意識から少しだけ離れるわ。傷も罪も存在もすべて隠して、貴方…【貴方】のためだけに踊り明かそうじゃない、この夜を。貴方のためだけに踊り狂おうじゃない、この身も心も捧げて!
私は、【貴方】のために全てを滅しても構わない覚悟があるわ!!」
そして狂おしいほどの詩を紡ぎながら、踊り狂う。躍り狂う。
さながら、ネジの外れた人形のように、狂った空虚な瞳で笑い続ける。制御不能な機械のように、ふらふらしてるくせに芯の通った舞を舞う。
「少年。【貴方】のために、代わりの身体となりなさい」
そうして僕の手を引いて誘い、導き、踊り出す。
悲しいくらい優雅な舞を紡ぎ出した。
***
何度もこの館に来てしまうのはどうしてなのだろうか。
来る度に僕が見ることができるのは狂ったアリーバだけ。【貴方】なる存在に心酔し、【貴方】を盲目的に愛しているアリーバだけ。
それは一抹の不安を抱かせるほどに狂気に満ちた空間に放り込まれることと同義で、下手したら僕もそれに当てられて狂い出すかもしれない。
なのにどうしてこう、何度も何度も来てしまうのだろう。
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