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- Re: 投票お願いします!【準備中】 ( No.4 )
- 日時: 2016/03/17 18:10
- 名前: 哀歌 (ID: bUOIFFcu)
4
登場人物
歌姫 シルヴィア・ヴェルベット
青年 ラファル
もう、歌なんか歌いたくない。
かつての音楽の街・リスェル最後の歌姫、シルヴィア・ヴェルベットはそう訴えていた。
もう一度、ちゃんと歌いたい。
かつての歌姫を夢見た少女であるただの女の子、シルヴィア・ヴェルベットはそう訴えていた。
それがわかっていながら、自分ではどうすることも出来ずにいた。
「...シルヴィア」
「何かしら。ああ、歌わないわよ」
「———そう」
幾度となく突っ撥ねられてきたが、それでも一回でも本物の姿を見せてくれただけマシかな、なんて思ってたらこのザマだ。正直、状況は悪化する一方で、僕の最終目標である「もう一度人前で歌ってもらう」には程遠く、当然いつ達成できるかもわからなかった。
彼女は強いと思ってた。
強くて、真っ直ぐで、何よりも美しいものだと。
そしてそれは、間違ってなかった。
強くて、真っ直ぐで、何よりも美しいものだった。
けれどそれは、彼女を壊してしまった。
強くて、真っ直ぐで、何よりも美しいものだからこそ、ぼろぼろに崩れ落ちてしまった。
「あたしは、もう歌いたくないの」
その言葉に説得力はまるでない。ぽたり、と地面に雫が落ちる。シルヴィアの頬を伝って落ち、どんどん地面に染みをつくっていく。苦しそうに顔を歪ませ、大切な人に対して嘘をつく罪悪感に苛まれているような嗚咽を漏らしながら、なおも彼女は続ける———。
「歌わないわ。...絶対、歌わない...あたしには、もう、歌うのは、無理よ。だってもう、歌うのが...歌うのがっ、嫌になってしまってるんだものね、当たり前よね...?」
苦しそうな顔と声に反し、まるで自分の意志とは関係なく「歌いたくない」と言わされているみたいに、ぺらぺら喋り続けていた。
でも彼女はあの時、確実にこう言った、
『わたしっ、もう一回歌いたいの...!』
あれが彼女の本物の姿であるなら。
あれが彼女の本心であるなら。
もう一度、歌わせてあげたいんだ。
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