リクエスト依頼・相談掲示板
- Re: 東方で合作しよう!(アンケ2&議題掲載!) ( No.165 )
- 日時: 2016/12/29 19:28
- 名前: 河原辺のの@スマフォ (ID: fmI8cRcV)
淡々と、コンクリートを踏みしめる音だけが聞こえる午前5時。私は、こうやって、学校に行く前に『不思議』を探すことが日課になっていた。理由は簡単、先輩に影響されたからである。
宇佐見菫子。私が通う、東深見高校の先輩。みんなからは不思議な人、おかしい人と思われているらしい。私と一緒だ。この金色の髪。私がハーフであることの証明。この髪のせいで、私は色々なものから仲間はずれにされた。結局人間は自分と違うものを受け入れようとはしないのだ。たかが髪の色ごときでぎゃあぎゃあと騒ぎ立てられる毎日。うんざりだった。
そんな時、偶然出会ったのが宇佐見先輩である。今から1年前、道端で変な文字が書かれたマントと、リボンがついた帽子を被っている不審者に私はであった。宇佐見菫子という名前はしらなかったけれど、これだけ個性の強い人だ、きっと私のように仲間はずれにされているのだろう。なんて、同情までした。かわいそうに、なんて言える立場ではないのに。
けれど、彼女は強い人だった。私が『何をやっているんですか?』と聞いても、
「は? 見ればわかるでしょ? 不思議を探してんのよ。凡人には興味がないのよ、どいたどいた」
「不思議……?」
「そう、不思議。この世の中には、不思議な能力、不思議な道具、不思議な場所がたくさんある! 私はそれを探してるってわけ。わかったらどいて、邪魔なのよ」
私を、凡人と言ってくれたのだ。今まで周りとは違う人間だと思わされてきたのに、彼女はそんなこと気にせず、凡人、と。人間として、ひとまとめにしてくれたのだ。
これほどの喜びはあるだろうか。しかも、彼女は道行く人に嘲笑されても、顔色一つ変えずに、その2つに結った髪の毛だけを揺らしながら、不思議を探していた。
そんな根性は、私にはなかった。私は、甘んじてその嘲笑を受け入れ、影で泣くしかなかった。
強い、と。こんな人になりたい、と。そう、思った。高校も、何も知らなかったけれど、彼女はマントの下に制服を着ていたので、近くの高校をしらみつぶしに当たっていって、やっとわかった。東深見高校。私では少しレベルが高い進学校だったけれど、一心不乱に勉強した。そもそも友達もいなかったし、勉学に費やす時間なんて余るほどあった。
その努力の甲斐あって、私は念願の東深見高校の推薦枠を取ることができた。今までの勉強の集大成を、試験にぶつけた。結果は合格。やっとのことでこの高校に入れたのである。
そこからは宇佐見先輩を探していた。しかし、それはすぐに見つかった。学校の玄関に、『秘封倶楽部——秘密、探しています』というチラシが貼ってあったのだ。秘密を探す。これだけで私はピンときて、書いてあった部室へ突撃し、無事に入部することができたのである。ちなみに先輩は私のことを覚えていなかった。まあ、凡人と言われていたし、仕方がない。
そして、このサークルはオカルトサークルで、髑髏水晶や、ネクロノミコンと書かれた本なんかがたくさん置いてあった。そんな乱雑な部室内で、先輩は高らかに言った。
「この秘封倶楽部に入部したからには、秘密をばんばん探してもらうわよ!」
と。もちろん、私はそのつもりで来ていたので、もちろん、と返した。そこからは不思議探しの毎日だ。大好きな推理小説を読む時間がなくなったのは悲しいけれど、宇佐見先輩がいるから頑張ろう。と、最初は嫌々だったけれど、次第に不思議探しも面白くなってきて、今ではこうやって1人でほっつき歩いているくらい。
側溝に生えている苔から、ビルとビルの隙間から、私は目を凝らして不思議を探す。
——? 今、一瞬あの神社の鳥居が歪まなかったか? 目の錯覚か?
いや、不思議なことがおきているんだ! 私は、これで先輩に話すネタが増えるとわくわくしながらその鳥居に近づく。まだその鳥居は歪んでいて、さらに私の興味をそそった。鳥居に触るって罰当たりなことなんだっけ……? いや、そんなことはどうでもいい、触ってしまえ!
と、手をつけたときには私の視界はぐるり、と回っていた。
目を覚ますと、手には触り慣れない感触があった。青々とした草が、ぼうぼうと生えている。鳥居はどこにいったのだろうか。と、上を向くと、
「あら? 参拝客? 賽銭箱はあっちよ」
「参拝客……?」
「はあ? ここは博麗神社。わかるでしょ? ……いや、わかってないみつたいね。あんた、まさか外来人ね? はあ、面倒くさい……。どうしてこう最近は外来人が多いのかしら」
「……?」
紅白のめでたい格好をした女の子が、こちらを見下ろしていた。私が倒れ込んでいたのは、博麗神社という神社の境内らしい。
とりあえず、ここが何県なのかを聞いてみる。流石に県を跨ぐことはないと思うけれど、一応だ。
「ケン? 誰それ。ここは幻想郷。あんたは、異世界に来たの」
「い、せかい?」
おめでとう、私は無事に不思議を発見することができたみたいです。
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お久しぶりです、河童です!!最近小説更新以外でカキコに来てませんでした…。申し訳ありません!!生存報告と今金短編です!!!
名前間違えました!!!ごめんなさい!!!河童です!!!!
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