二次なりきり掲示板

Re: ・All the world's a stage『 長文 』 ( No.34 )
日時: 2015/12/26 05:48
名前: 寝退 ◆HyWhrnhVWU (ID: VbOSBaFR)
参照: 屋敷の間取り図こっちにも貼るべきだよなと思いつつ文章がry


【 屋敷 / 2F自室→1F食堂へ / Felix=Silver 】


 窓から差し込む橙色の光が徐々に薄れ、世界が闇に呑み込まれていく。勿論この世界にはそれに合わせて灯される人工的な光も存在するのだが、奥まった場所にひっそりと佇むこの洋館にその光が差すことはない。ならば自分で部屋の明かりを付ければ良いというだけの話なのだが、もう何時間もこうして立ち尽くしているその男は一度も視線を逸らすことさえせずにただ一点を見つめていた。窓から流れ込む夜風は長い金色の髪をふわりと掬い上げ、揺れる細い髪はまた男の背中へと舞い降りる。大きな釜の中で蠢く銀色の液体を見詰めたまま、もうどれ程の時間が経過したのだろうか。始めた頃にはまだ窓から吹き込む風も暖かく、明るい日差しが差し込んでいた筈だ。
 額に滲む汗に服の袖を押し当てるようにして一瞬、ほんの一瞬顔を上げて時計の針を確認したその瞬間。室内に広がる眩い光に、彼は遥か昔の記憶を思い出した。

 あれはもう十年以上も前になるのか。自分が師と仰いだその人が何度もこの光によって希望を打ち砕かれ、しかし彼は諦める事無く自分の夢に挑み続けて、遂には奇跡そのものである一つの結晶を手にした。それが全ての始まりでもあり、終わらせる為の鍵でもある。そう、もう一度あの結晶を手にする事が出来れば全てが簡単に片付く筈なのだ。

「…………っ!くそ、っあー……」

 その場に座り込み盛大に落ち込んだ様子で項垂れると、心の中で誰に向ける訳でもない愚痴を一人延々と呟きながら改めて時計を見上げた。

ーーああ、そういえば明日はあの人の誕生日だった。

 不意に思い出したフェリクスはそのまま時計をぼんやりと眺め、日付が変わった事を確認すると小さく笑みをたたえて立ち上がる。


「……先生、おめでとう」

 窓のその向こう……何処か遠くへと視線を向けながら自分の養父でもあり師匠でもあったその人へ向けて簡単な祝辞を述べると、自分が昼食以降何も口にしていなかった思い出し、顔を洗ってニットのカーディガンを羽織り、長い髪を整えながら部屋を出て食堂へと向かった。



【お久し振りです、参加メンバーが神々過ぎて既に逃げ出したい衝動に駆られている寝退です。とりあえずリハビリから入りますのでまったりお相手して下さる方が居らっしゃれば!どうぞお手柔らかに宜しくお願い致します……!(通過点での遭遇でも大丈夫です!】