二次なりきり掲示板
- Re: ・All the world's a stage ( No.36 )
- 日時: 2015/12/27 21:48
- 名前: PP (ID: Go.89if1)
【廃墟/2F子供部屋/Kyrie】
部屋の灯りは薄暗く、ひび割れた窓には蜘蛛の巣が張っている。人間ならば住みにくい、と声を揃えて言うのだろう。夜も眠らない都会の眩しさとはまた違った異様さがある。郊外にある、とある教会で過ごした、あの厳かでやさしい明かりがちょうどいいのかもしれない、とキリエは思った。廃墟の夜は怪しく、謎に包まれていた。そしてここは、人知れず人形たちが暮らす本拠地なのであった。
キリエは、おもちゃに囲まれていた。ぬいぐるみ、車、ブロック、ラジコンまで・・・人に作られし形が、きちんと整頓されて並んでいる。
「僕は、マザーに作られた。僕を作ったマザーも、人間に作られた・・・」
おもちゃを見回しながら、そう呟き、そのうちのクマのぬいぐるみ———テディベアを手に取り、優しく抱き締める。
「作られたものには感情がない。僕は君を抱き締めるけれど、君は嬉しいとも悲しいとも言ってくれないんだ・・・」
頭を撫でて、クマに話しかける。クマのつぶらな瞳は、キリエの姿を少し湾曲させて映していた。クマの口元は、不思議そうにきょとんとして閉じられている。
「でも、マザーがそれを壊した。マザーは意思を持ち、作られた側から作る側になった。そして、産みの親を殺してしまった・・・」
でも、大丈夫だよ、僕は君を壊したりなんかしないから。そう言ってテディベアを優しく撫でた。
「ねえ、君は作られる側で、満足しているの?もしかしたら、こんなところで、ひっそりと眠るよりも、人の子に可愛がってもらいたい、なんて思ってるのかもね。それとも、作る側になりたいの?」
ゆっくり尋ねながら、テディベアの顔を見て返事を待つ。勿論返事はなかったが、少なくともキリエはテディベアの心の声を聞いているつもりだった。そんなもの、あるわけないだろうに。自分が物言わぬ人形ではなく物言う人形としてこの世に生を享けた意味を、キリエは理解しているつもりだった。自分達を生み出した人間を一人残らず殺すためだ。でも———キリエは何故そんなことをするのかが分からない。人間たちを殺したら、自分達も数を増やすことが出来ず、やがて滅びてしまうのに。キリエは生み出す側になりたかった。自分の気持ちを、自分がいなくなった後も伝えてくれる者が欲しかった。そんな思いを、伝えたいけれど、こんな気持ち、誰に伝えたら良いのだろう。
クスクス、と笑い声が聞こえた気がして顔を上げる。物言わぬ人形に話し掛けたのを、誰かに見られていたのだろうか。出口の方を向いて、焦って尋ねる。
「そこに誰かいるの・・・?」
【スレ主様、参加を許可して下さり、有難う御座います。始まったようなので居ても立っても居られず、文章を投下させていただきました。参加者の皆さま、宜しくお願いします!!】
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク