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パウロの独特な言い回しには慣れっこだったので、少々場違いな言葉選びでも驚かない。千尋はパウロと静馬が会話しているのを流すように聞いていた。静馬が一太郎を馬鹿にしているその時に、共にネタの火に油を注ぐでもなく、かといって一太郎の肩を持つでもないその姿勢は若干冷たいのかもしれない。
静馬の一言に少し顔が固まった。千尋は大体いつも一太郎のそばにいるので分かってしまう。静馬兄さんの言っていることと一太郎兄さんの実際が一致しない。違う、違う・・・兄さんは乱闘騒ぎを起こしたりなんかしないよ！と言ってしまっては、静馬兄さんが作った流れを壊しかねないので、内心声を上げようか迷いながらも、若干困ったような笑みを浮かべた。

食卓にて、一太郎はコーヒーを飲む準備をしていた。電気ケトルに水を入れてスイッチを押し、お湯を沸かす。その間に、適当な所からインスタントコーヒーのボトルを取り出し、一匙分自分のコップに入れる。此処には誰もいないようで、落ち着く。誰かと話すよりも一人でいる時間の方が好きだ。