二次なりきり掲示板

Re: 『 ブレーメンズ ・ オーケストラ 』【始動】 ( No.104 )
日時: 2018/03/30 21:28
名前: 紺野 (ID: wI63C0Ow)
参照: 在籍整理で空いた枠でもう一役追加しようかと画策中、

【 本編開始お待ちしておりました…! 少々遅くなってしまいましたが、参加させていただきます! しかしなりきり文久々すぎて感覚が掴めません……。暫くごちゃごちゃした文になってしまうと思います、すみません;; 】





 『 劇場から酒場に向かう途中/シグルド=トルストイ 』


 礼をするのは指揮者のみ。それは昔から決まっている礼式。おれ達はただ誇らしく胸を張って、何者にも代え難いお客さん達の笑顔を目に焼き付けるだけでいいんだ。小劇場に響き渡る歓声と拍手喝采はまるで一つの音楽のようで、単調で純粋に心地よくて……、いつも演奏が終わったこの瞬間は頭の中がほわほわする。お客さん達が幸せそうに笑っていてくれる時が、おれも何より幸せだから。


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 満足げな表情で舞台上からはけ、楽屋に戻り荷物を纏め搬入口を通ってシグルドは劇場をあとにした。沈みかけの夕日の赤さや民家から漂ってくる夕飯の、……これは恐らくシチューの美味しそうな匂いに一々「綺麗だなぁ」「美味しそうだなぁ」という言葉をもらしながら町を歩く。演奏終わりの気分はいつも上々。鼻歌混じりに向かうのは勿論、酒場。考えながら足を動かす彼の脳内からは検討会の事はすっかり抜け落ちていた。完全に忘れていたわけではないのだが、元々色んな国の音楽が聞きたくて祖国を飛び出し、そして仲間達と出会った身。そこに音楽と、音楽を求める人がいるならば行き先にこれといった希望やこだわりは無いし文句もないのだ。仲間達から希望の場所が挙げられれば基本それに頷いてきたので、今回もそうやって次の目的地が決まるのだと思うと意識は自然と検討会後の宴会へと向けられた。
 因みに、相棒ともいえるヴァイオリンはケースに収まって彼の背中で揺れている。楽しい楽しい宴の席には、それに見合ったBGMがあった方が盛り上がるはず……! シグルドにとっての演奏会はまだ終わっちゃいないらしい。弾きたくて弾きたくて仕方が無い衝動を、鼻歌のボリュームを上げることで紛らわせた。


 夜になりかけの小さな町は何故だか昼間よりも活気づいているように感じる。夜に近づくにつれてぽつりぽつりと明りを灯し始める街灯と呼応するように、人々の表情も明るくなっていた。それが嬉しくてひとり蕩けたような笑顔で歩みを進めていると、前方からお気楽そうな歌い声と相の手が聞こえる。
——この声は。聞き覚えのありすぎる声にニイッと口角をあげると軽やかな足取りで駆けていく。

 「ふっふふーん、ふふふふーん! だーんちょっ! だーれだ!」

 鼻歌のリズムを真似て、半ば後ろから伸し掛るような勢いで飛びつくと相手の両目を覆ってみせた。


 >>アンドリュー、ALL様