二次なりきり掲示板
- Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.33 )
- 日時: 2016/02/10 00:36
- 名前: 朧月 (ID: nLPrrFyW)
>>32
ため息を一つ、肩をゆったりと下げた姿勢で立っていた撫子は目の前の光景を無関心な瞳で見つめていた。
荒れ狂う魔物、それを必死に食い止める烈旋隊、阿鼻叫喚とも言えようこの光景が彼女にとってはただの風景でしかない。
兄に半強制的に連れてこられたこの戦の地、言ってしまえば興味が無いのである。彼女からすれば戦などというものは「自分には関係がないこと」であり、それを見せられたところで同情も哀れみも感じないのだ。冷たいと言われようと、それでも第一皇女かと言われようと、これが龍ノ宮 撫子という女が21年間で築き上げてきた性格であるから直すのは難しい。
「なんじゃ...向こうには魔物の指揮を取れる奴でも居るのか?」
兄が声を出したのと、その場の空気が変わったのを感じてやっとそちらに意識を向けた。ピタリと止まった魔物達、先程までの騒音が嘘のように静まり返った戦場は不気味である。これならまだ血が飛び交っていた方が良かったかもしれないと、撫子は心の中で呟いてその半目をさらに細めた。
この静けさは嵐の前触れだ、それもとてつもなく大きくて一瞬にしてすべてを飲み込んでしまいそうな大嵐。気を抜けば簡単に巻き込まれてしまうであろう。
だからこそ少しおちゃらけた声音で、その空気を変えるようにそう発言した。この不気味な空気に飲み込まれてはいけない、飲み込まれれば最後生きては帰れないと本能が悟る。
「警戒せにゃいけんのは兄者の方じゃよ。いうても龍ノ国の第一皇子や、前じゃなく後ろ...んや、あてと丹の間を歩き。何かあった時に守れんやろうが。」
軽い失笑を一つ。呆れたような目を兄である東雲の背中に向ければ、横にいた丹に「背後は任せたぞ?」と一言言ってから歩みを早めた。生き残っていた烈旋隊の隊員から静止の声が聞こえるも、やる気なさげに片手をひらりと振って、自ら兄の前へと歩み出る彼女に死の恐怖というものはあまり関係ない。自分が命尽きるのは一向に構わないし、所詮成り行きで生きているのだから生きている意味もないのだ。しかし兄は違う、この国を背負い立つ人物であり周りから頼られている人。自分が影であれば兄は光であり、そんな人物をこの場で死なすのは第一皇女として許せるものではなかった。
珍しく腰にぶら下げている鞘から刀を抜いて、自らが編み出した構え方をし歩みを進める。不穏な空気、肌をピリピリと刺激するこの感じが撫子は苦手だった。あまり気分がいいものではないのだ、獣がこちらの様子をじっと伺っているように思ってしまっておちおち寝てもいられない。
(ま、妹に守られるのは嫌やろうけど。我慢してーや?)
1度振り返って兄と弟に微笑みかければ、すぐに前を向いて怪しい人物がいないか視線を掛け巡らせた。本当にたまには、兄と弟が危険な目にさらされるかもしれないというこの現状だからこそ、撫子は気力を出して動こうと思ったのである。
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ひとまず開幕おめでとうございます。
拙い文章で読みにくい面もあると思いますが、なるべく皆様の足を引っ張らぬよう頑張っていきたいと思っております。これからもよろしくお願い致しますね。
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