二次なりきり掲示板

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.56 )
日時: 2016/03/01 21:29
名前: 朧月 (ID: nLPrrFyW)

【龍ノ宮 撫子/国境】

「丹よ、詫びることは無いぞ?あても同じ事を思っとったしな。」

後ろにいた弟の軽口、そして悪いと思ったのか謝罪したのを聞いて撫子はクツクツと喉を鳴らす。めんどくさいことは嫌いだが楽しいことは好きな彼女としては、弟である丹の発言を面白く思ったのだろう。目を細めて一度だけ視線をよこし、ぺろりと赤い舌を覗かせる。こんな表情もするような人があの無気力とは思えないが、同一人物であることは事実であるのだから世の中不思議な。きっとこの戦が終わればまたいつものような彼女に戻るのであろう。


「何かあったも何も、先に仕掛けてきたのはそっちじゃろう?」


耳に届いた声がとことなく聞き覚えがあって、嫌な予感を感じながらも軽い口調でそう返した。刀を握る手に力が入るのは、きっとこの不信感を押し込めたいからだろう。
久しぶりに感じる恐怖は一体全体どこから来るものか、かすかに揺れた刀先に目を細めれば自嘲気味に笑みを漏らして前を見据える。


「...怪我でもしたら、帰って説教コースじゃからな。お主も、あての前で怪我でもしたら問答無用で手当させてもらうぞ。」


囁かれた言葉に一瞬悩んだ後、仕方ないというように息を吐いて構えていた刀を下ろす。兄には困ったような笑みを見せ、現れた二人のうちの一人...撫子的にはとても気にかかっていた男には呆れたような視線を向けた。
悪い予感は的中したらしく、自分が思っていた最悪の事態を凌駕するようなことが起こってくれて頭が痛い。「丹よ、あてが居らんこうなったらバカ兄者たちのことよろしく頼むのう?」なんて後ろにいた弟に言えば、軽い足取りで後ろへと下がって兄へ場所を譲った。視線は一度この場で自分以外の女である慧理へ、なんとなく目が合った気がしたのでゆるりと口元に微笑を浮かべれば視線を逸らした。特に興味が無いということなのか、はたまたただの気分だったのかは知らないが。

ゆっくりと、握っていた刀を鞘へと収めて息を吐く。ガンガンと痛んでいた頭は多少なりとも落ち着きはしたが、それでも胸に渦巻く気持ち悪さは拭えない。
この二人が誰かなんて、兄の表情なんかを見ていればあらかた察しはつく。それに自慢ではないが洞察力は高いほうだと自負しているため、記憶を巡らせて重ね合わせればなんとなくだけれども分かるものなのだ。


(何が起こっとる?...流石にあてだって、嫁ぎ先の候補に上がった奴のことをすぐに忘れるほどバカじゃない。それが兄者の友人ともなればなおさらじゃ。)


ただ静かに、視線は兄たちに向けたまま思考を巡らせる彼女はやはり冷静で。昔見た姿とはまるっきり変わってしまった事への驚きもあるが、何よりも二人が刃を交えなければならないかもしれないということが気がかりであった。
きっと自分と父しか知らない嫁ぎの話、それに上がったのが今目の前で兄と対峙している来都である。ほんとに何度か話をしたぐらいだったし、兄の友人と言うだけで深い関わりもない。それなのに父が勧めてきたのは、その人柄と自分の言動を考えたゆえだったのだろう。
恋愛感情を抱いた覚えはない、けれど興味がなかったと言えば嘘になるほどには意識をしていた。後にも先にも、撫子がこういった話に肯定的な返事をしたのは来都だけである。とはいえ、その理由は「兄者の友人だから」という単純なものなのだけれど。


【お答えありがとうございます。もし何か不備や至らぬ点がありましたら、何なりとおっしゃってください。

お疲れ様です。テストは大変ですよね...お体をお壊しにならぬ程度に頑張ってくださいっ。】