二次なりきり掲示板

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.57 )
日時: 2016/03/01 23:34
名前: あまちゃづる (ID: GlabL33E)
参照: http://テスト…お疲れ様です( ;‾▽‾) 頑張ってください!^^

>>56

 【 国境 / 龍ノ宮 丹 】

 丹は姉の視線に表情を和らげた。普段の撫子は、血の繋がったきょうだいである丹にも分からないことが多い。軽口に笑う彼女はいつもより身近に感じられた。
 こんな場面でなければ、もう少しこんな姉と話してみたかった——しばらくそんな時間は取れないような気がするけれど。
 皆で、落ち着いていられる時間をまた取られるようになったなら、兄姉ともっと過ごしてみようか、と思う。弟妹を特別可愛がる丹だが、比べて兄姉との関わりは薄めだ。嫌っているわけでは勿論ないのだけれど、この国を背負うだろう兄も、不思議な雰囲気のある姉も、接する距離を丹なりに考えていた結果である。


 丹は視線の先に並ぶ男女を眺めて、そっと息を吐いた。和やかにきょうだい間の親交を深める機会なんて当分来そうにない、なんてことすら考える。 
 まるで絵巻の鬼のよう。変貌したその姿を例えるならきっと、この表現で間違いないだろう。
 見間違うわけはない。外交の場での重要人物だ。例え目立つところの容姿が変わっていても、細かい情報を拾えば誰かなんてすぐ分かる。会うたび、言い方は悪いけれど——立場上観察していた相手だからなおさら。
 予想をはるかに過ぎた再会に、困惑だとか悲しみだとかはあまりない。それより先に立つのは怒りだった。表情を消して、その苛立ちを落ち着かせようとゆっくり呼吸する。

(白々しい、と思うなんて失礼に当たるだろうけど……)

 向こうの第一皇子、来都の言葉は、丹の警戒を加速させる。その姿、魔物の状況、思い当たらないなんてあるはずがないのに、この皇子は確実にわざととぼけているだろう。兄姉の返しを聞きながら、丹は軽く眉を寄せた。
 兄が前に出るのを黙って見送り、丹は刀の切っ先をさげて構えを解いた。兄と、兄の友人としての来都のやり取りを遮るのは躊躇われる。双方、どんな形であれ、今の立場の違いを飲み込む機会にはなるだろう。……兄の安全より、その心情を考える自分も馬鹿だろうけれど。ただ、進んで前に出る兄に警戒心が足りないのはあるだろうから、帰ったら小言を言おうと心に決めた。

「任せて。姉上様も、私が居ないときには兄上様やきょうだいをよろしくね……全く、猪突猛進なのだから」

 姉にはからりと笑って見せても、兄が動揺しているのが分かるだけ、丹の頭は冷えていく。
 一歩引いて兄と来都のやり取りを眺めていた丹は、ふと、視線を感じてふっと息を吐いた。向こうの第一皇女からの、じっと見定めるような視線には遠慮がない。何を期待されているのかは知らないが、己の価値を軽く見られるようなことになったら困る。自分を隙とでも思われたら、両親にも、きょうだい達にも申し訳がたたない。何も読み取らせてやるものか、と丹は愛想笑いを浮かべて首を傾げた。実際の戦闘には正直自信はないけれど、こういった腹の探りあいならまあ出来る。困ったふうの笑いの裏、一応隠すそぶりは見せながらも、観察するような冷静な目で慧理を眺める。
 彼女と対峙するには相性が悪い。それは前から……外交のときから思っていたこと。優先順位をきっぱりと来都に定めている慧理には口車が通じにくいように思える。駆け引きで彼女を操れる気がしない。戦場で相手をするには難しいな、と丹は目を逸らした。
 刀を握る手に力を入れ直す。ずっしりとしたそれが自分に似合うとは思わない。鍛練を怠りはしていないのに、何度振るってもどこか手に馴染まない刀を持て余しているのだろうか、どうも落ち着かない。
 慧理から視線を外せば、微笑みを浮かべた来都が自分を見ているのにかち合った。これには純粋に戸惑う。すぐに視線は烈旋隊へと移ったので、まあ視線は通過しただけなのだろうと納得して、丹も気にはしなかった。
 兄の声は揺れているように聞こえた。外交上の重要人物以上の関係をあちらと築いていたのだから、やはり衝撃も大きいのだろう。その動揺もはっきり伝わる。
 丹はにこりと微笑んだ。うわべだけの愛想笑いの目は酷く凪いでいる。当然だ。だって丹は顔見知りぐらいの相手と道が分かたれたやるせなさなどより、自国を攻撃し、兄の信頼を蹴るような、その行為を腹立たしいと思う。
 情報が欲しい。兄に口添えしようと開いた口から出た声は、自分で考えていたものより静かで冷えている。

「兄上様の仰る通り、私も気になるなあ。しばらく見ない間に随分様子が変わられたようだけれど……ご説明は頂けないのかな?」

 すかさず繕うように朗らかな声で「久方ぶりにお会いしたのだもの。お話をしたいでしょう」と茶化して続ける。実際どちらと交えても、戦いとなっては厳しいのだから、穏便にしておきたい。
 兄の後ろに控えたまま、丹は今思い出したように刀を鞘に納める。どうせ丹の刀の腕なんて知れているし、抜刀したままでは物騒だろう。魔物の近くで武器をしまうのに抵抗感はあるけれど仕方ない。

>>45
 早とちりしましたうおお恥ずかしい!!((( 了解致しました! 丁寧なご対応ありがとう御座いますm(_ _)m】