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Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 〉 ( No.58 )
日時: 2016/03/09 17:15
名前: ワルハル (ID: cx1920xY)
参照:  

>>52


<龍ノ国・神羅香織side>

 辺りには鮮血が舞っている。それらが地に着く前には、香織はすでに次の獲物を狩っていた。
 一瞬でその命を枯れさせることが可能な急所のみを的確に狙い、確実に瞬殺していく。それはもはや、一つの芸術といっても過言ではない程の動き——まるで、剣舞だった。

 急所を狙うのは決して慈悲などではない。効率と安全、ただそれだけの為に、そこを狙う。要するに、彼女にとって戦いとは、スピードが命なのだ。

 彼女からすれば魔物というのは、苦痛すら与えられる事も許されないモノ。もしくは、存在すら許されない、生まれてくる事すら罪である存在。例えそれがどれだけ理不尽であろうとも、香織はその考えを曲げた事は無い。

 ふ、と新人たちをメインにして組まれていたはずの一部隊に目を向ける。それぞれ小さなチームに分かれて、魔物を確実に、慎重に殺していっているようだ。
 この分なら問題も無いだろう——香織は再び視線を戻そうとしてその動きを止めた。

「……何をしている」

 彼女の視線の先に居るのは一人の少女と一匹の魔物。魔物はまだ生きているにも関わらず、少女はそれをじっと見つめている。
 確実に殺さなければ、後で何があるか分からない。香織はそれを、経験でよく知っていた。

 考えるより先に、体が動く。背後に来ていた魔物を一閃すると、その最期には目もくれず、走りだしていた。

 無意識のうちに魔物との距離を目で測り、その行動パターンを計算する。死の淵に追いやられた魔物——いや、動物は、本能からだろう、相手を道連れにしようとする。

 男なら、問題無いのかもしれない。だが、女は別だ。
 どうやっても訓練された男に力で勝る事などない女は、技を磨くしかない。技を磨き、短期決戦を臨む。そうしなければ——戦いが長引けば長引くほど、死ぬ確率が増える。

 脳裏に、今は亡き戦友の姿が浮かぶ。何故だろう、いくつもの勇ましい姿、笑顔を知っているはずだというのに、思い浮かぶのは彼らが簡素な棺に横たわった、最期の——もうすでに、終わった後の顔。

 ——またもや無意識のうちに体が動いていた。

(一刻でも早く、あの魔物を殺さなければ——)

 柄にも無く、そんな焦りが頭の中を駆け巡る。

(もう二度と、死なせるものか。魔物に仲間は——この国の民は死なせない)

 そこにあるのは、異常なまでの魔物に対する嫌悪、後悔、そして——恐怖。

 香織は大きく右手を振りかぶる。目で測った距離からすると、今からの行動に何ら支障は無い。
 銀が彼女の手から滑り、なめらかな弧を描く。その刀は陽の光を反射しながら、魔物の首めがけて、飛来した。



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お久しぶりです。テストも終わってパソコンもなおりましたので、早速投稿してみました。