二次なりきり掲示板

Re: 『 龍桜戦記 』〈 長文以上中文未満 / イベント中 〉 ( No.94 )
日時: 2016/08/02 14:43
名前: 六巴 (ID: lmeOXcX7)
参照: http://きょうだいの絡みがそろそろ見たく…((

【 龍ノ宮 東雲 / 龍ノ国 】

 普段から華やいでいる龍ノ国であるが、ここのところはそれ以上に賑わっていた。


 ここ龍ノ国で毎年行われる龍鬼祭。その名前から分かるように龍ノ国と鬼ノ国の平和を願った祭りであり、龍鬼大戦後から続いている伝統ある行事だった。

 先日の奇襲から幾分日は経ち、一時期よりも落ち着きを取り戻していた龍ノ国では、この祭りを開催することが決まった。その決定に異議を唱える声が無かった訳ではないが、こんな時だからこそという意見が通ったのだ。

 東雲自身、それには賛成だった。
 この期に及んで祭りなどと悠長に構えている場合ではない、という意見も分からなくはない。確かにそんな事態ではないのも理解しているつもりである。これでもその状況を最前線で目の当たりにしたのだ、嫌でもその緊張感と圧迫感は肌が覚え、禍々しいものが渦巻く中に凛と立つその白銀と紫の混ざった艶やかな黒は未だ脳裏に焼き付いている。
 それでも、突然の出来事に疲弊しきった国民の癒しになるのなら、少しくらい楽しく過ごしたって良いだろう。そして、まるで図ったかのように魔物の攻撃が止んだのだ。魔物が何かを考えて行動することは恐らくないであろう事を踏まえると、この静寂は来都が仕組んだに違いない。そうだからといって、安心できるのかと言われれば弱いが。
 根拠も何もない、いわゆる勘だった。


(まあ、それで良かったのかもしれないな。)

 国全体を使った祭りは、それでも活気付いていた。多くの人が集まった通りは賑わっており、龍や鬼に姿を変えた人々で溢れ返っている。人と人の僅かな隙間を潜り抜け走る子どもや、若い男女から年配の夫婦の姿が映る。色とりどりの浴衣が忙しなく行き交う中を、甘い林檎飴の香りがかき混ぜられるようにして宙を漂っていた。屋台には大人一人がやっと通り抜けられるか否かなほど、多くの人でごった返している。 夜になれば明かりが灯り、昼間の忙しなさは不思議と感じられなくなる。そういった祭りの二面性は嫌いではなかった。

 お面越しに覗く祭りは、昨年見たものと大差はないように思えた。飾り結びされた赤い紐が風で揺れた際にくすぐるように微かに首に触れ、手で軽く払う。いつものように息の詰まるような服装とは違い、ゆったりとした浴衣であるが故の動きやすさに違和感すら感じる。そこで、今は自分もその群衆の中の一人だということを思い出す。人々を遠くから眺めるのに慣れてしまったのか、それがなんだか不思議な気分であった。

 しかし民の中に混じってその一員として過ごすなんて、こんな機会はなかなかにない。命の次に大切であろう神器まで置いてきたのだ、楽しまなければ損というやつだろう。

「うん、そうだな。とりあえず腹ごしらえといこうか。」

 甘い香りに誘われるように、東雲は子どものように踊る心を密かに隠して群衆の中へと紛れて行った。



————


>>ALL様
恐れ多くも東雲で絡み文を投下させて頂きました。どなたか絡んで下されば嬉しく思います…!