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【淡島神社 / 神谷】


雛子の言葉を聞き、その発言を疑問に思いつつも神谷は索敵を並行していた。
それは外敵が来たならば——そしてそれが『抗う者』だとしたら対処しなければと思っての行動だったが……

——それがいけなかった。

索敵をするということは感覚が鋭敏に、そして敏感になっている事と同義である。そもそも前述の通り、神谷は良く言っても下の上の実力しか持っていないのだ。
そんな弱い上に、感覚が敏感になってしまっている(してしまっている)神谷にとって、雛子の圧力はもはや暴力とすら言えた。

「ひ……っ」

言葉にならない声が口から漏れる。
何だ、一体何が起こっている　と、思考が混乱し、表情は凍り付く。
無意識に腕から力が抜け、手にしていたファイルがバサリと呑気な音を立てて地面に落ちる。
そして何よりも、単純に神谷は恐怖していた。自分よりも格段に勝る力に対して、恐怖を感じられずにはいられなかった。恐怖は理由が理解出来ない事等からそれはどんどん加速し、そこに感覚が敏感になっている事の相乗効果が加わって——

「きゅう……」

結果神谷は、漫画のような言葉にならない声を漏らし、卒倒した。
それはもうあっけなくバタリと、そしてまあ見事にその場に倒れ込んだ。