ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作小説、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

【街中/源五郎丸　結衣】


背筋を伸ばし、ふっと微笑みを浮かべた女性の姿は、同性の結衣でも素直に『綺麗だ』と感じられた。
そんな女性に誘われた事は、嘘偽りなしに嬉しかった。だが同時に、自分なんかでは不釣り合いだと考えてしまっていた。自分はどうせ、作り物の優等生なのだからと——。

「ああ、いえ私は——」

ほぼ反射的に適当な理由で断ろうとしたが、途中で結衣は言い澱む。
釣り合わないとは思ったが、それと同時に眼前の女性に興味が湧いていた。あのような歌を作れるのならば、ひょっとすると万に一くらいは自分と同じ境遇にあるのではないかと。
……歌声も外見も綺麗なこの人に限って、そんなことは無いだろうとも思ったけれど。

「あの、私なんかで良ければご一緒させて下さい」

一度否定の言葉を言い掛けた事も有ってか、結衣はややバツの悪そうに苦笑いしつつもそう答えた。
……無論仮面は被ったままではあるが。