二次なりきり掲示板

Re: 【募集中】− TWILIGHT−『オリジナル中文』 ( No.47 )
日時: 2016/06/24 23:52
名前: ちゃんてぃこ (ID: lmeOXcX7)

>>35
『アロスト・ノークス / 十一区』

照り返す強い日差しの中を潮風が通り抜ける。それは、風が気持ちいいと言えるような爽やかなものではなく、どこか息苦しさを感じてしまうものだった。常夏の海辺、その言葉は活気と力強さと、少しの爽やかさとを孕んでいると思っていた。確かに前の二つは合っている。後者は自分の中の幻想であったとアロストは思い知る。実際には、暑くて暑くて倒れてしまいそうだという感想しか思い浮かばなかった。人混みに入ってしまえば最期だなと体感する。

学校の休暇を利用して遠出をして、あわよくばそこの風景を絵にしようと思っていたが、アロストの心は見事に挫かれた。こんな暑い中では、とてもじゃないが作業に集中出来やしないだろう。

滝のようにとめどなく溢れ、肌を流れる汗を袖で拭う。生まれてこの方春区から出たことのないアロストにとって、この暑さはなかなかに耐え難いものであった。

どこかで休憩しよう。
人と人の間を縫うようにしてかき分け、どうにか人の少ない道の端へ逃れることに成功した。

「はぁ……しんどいなぁ。」

深い溜息を吐き、ふと顔を上げる。そこにはグラデーションの掛かった落ち着いた緑色の髪をした、見るからに大柄の男性が座り込んでいた。思わずぎょっとする。いくら道の端の人が通らない空間であるにしても、そこに堂々と座り込むその存在はアロストにしてはそれなりに異形なものであった。
春区はどちらかと言えば景観を重視する意識があるため、道端に座り込む人間を見掛ける事はないからであろう。

そこで、アロストに話し掛けてみたい欲が生まれた。普段は自分から人に話し掛ける事はないのだが、変わった人にはこういう欲が湧くのだ。

「こんにちは。少しお話いいでしょうか?」