二次なりきり掲示板

Re: 【募集中】− TWILIGHT−『オリジナル中文』 ( No.48 )
日時: 2016/06/30 21:09
名前: 紋白蝶 (ID: zflF3NFd)

>>47


『デニス・フライリヒラート / 十一区』



相変わらずの日差しに身を焼かれても、鈍重なデニスの精神は火傷することがなくなっていた。周りのことなんて一切考えず猫のごとく自由勝手に路の端っこに尻を下ろす。端っこならいいだろう、このでかでかとした図体で道をふさいでいるわけじゃなし、それに町人たちだってきっと目先のことに夢中になってデニスに構う暇はない。人に踏まれるほど、人が踏めるほど軟でも地味でも無いデニスだし、まあきっと此処でちょっと一息ついても問題ない。そう思っていた。

がそごそとポケットを探ってみるとそこから2枚のメモがぐしゃぐしゃになって取り出される。一枚目には近場にあるというスーパーへの道順及び地図が記されたメモ、もう一つは仕事の先輩たちが先のデニス顔負けに自由勝手に書き散らかしたお使いメモ。インスタントラーメンとかドーナツとか夏野菜のヘルシー弁当とか、ピザまんとか、思い思いの昼食がそこにある。

「……ふう」

そこにある一つ一つが、当たり前のように人間の食べ物であることが、デニスにはわずかに憂鬱だった。そりゃ、当然か。自分を昼食の遣いに出したのは間違いなく人間達なのだから。思い出してしまう、己が人間であったこと。尚且つ今は人間ではないことを。
嫌な考えに囚われる前に、デニスはメモを乱雑にポケットにしまった。さて、もう少ししたら立ち上がろう。そう思って気を抜いていたデニスだったが。

「……あ?」

丸で愛想の無い粗野な返事、尚且つ元々の極悪な目つきで声のする方に顔を上げれば、其処に居るのはまだ十代後半頃の年若い少年だった。右を見て左を見ても、自分以外に少年が話しかけそうな人間なんて一人もいない。
声が、微笑みが、態度が、いかにも温厚そうな少年の顔をデニスは眉間にしわを寄せながらじっと目を凝らして見つめた。思い出そうとしていた。自分とは生い立ちが大分違っていそうな、もっと解り易く言い換えれば接点なんて見当たらなさそうな少年だがもしかしたら何処かで会ったことがあったのだろうか。
しかし駄目だ、考えるのなんてデニスの一番苦手なことじゃないか。
話がしたいと言う少年に、デニスはそうしてしばらく考え込んだ後、考えるのを諦めた様に言い放った。

「……いやよくねえ。誰だアンタ」