二次なりきり掲示板
- Re: 【募集中】− TWILIGHT−『オリジナル中文』 ( No.49 )
- 日時: 2016/07/10 23:33
- 名前: ちゃんてぃこ (ID: lmeOXcX7)
>>48
『アロスト・ノークス / 十一区』
まず自分から話しかけたにも関わらず、その返事だけでアロストは心臓を鷲掴みにされた気分だった。そもそも返事ととっていいものか分からない声と共に、その鋭い目はアロストを視界に入れる。怖いという言葉が素直に頭に浮かび、ああ、と喉まで出掛けた情けない声を飲み込んだ。
以前足を運んだ旅先でも誰かに自分から声を掛け、冷たくあしらわれたのを思い出す。旅先でこうも積極的になってしまうのは何故であろうか。普段の自分からはなかなか想像も出来ない行動であり毎度少々の後悔と苦さを味わっているというのに、これで何回目だろう。きっと新しい地で、自分を知っている人間が一人もいないという事にちょっとした開放感と高揚感を覚えてしまうからだ。
いや、そもそも今回はまだ冷たくあしらわれている訳ではなくただ知り合ってもない人間から声を掛けらたからこういう反応なのではないか。知らない人間から突然そんなことを言われれば俺だって驚くだろう、きっとそうだ。しかも見た目だけで相手を決め付けるのはあまりに失礼だ。
この間約十五秒余り五秒。沈黙がいい加減痛くなってきたところで男性からトドメとも言えよう言葉が返ってきた。その言葉を聞くや否や思わず「ですよね。」と口の中で呟く。自分の情けなさを心から痛感した瞬間である。
「すみません、俺はアロスト・ノークスって言います。実は春域から遊びに来たんですが、予想以上に暑くて休憩しつつどなたかとお話出来ればなぁと。」
こんな状況でも案外喋れるもんだと感心する一方、緊張でのそれなのか暑さでのそれなのかもう区別も出来ない汗がだらだらと全身を流れる。先程まで夏区の暑さを呪っていたが、それでも今は夏域で助かったのかもしれない。いくら汗をかこうとも、暑さでのそれで片付くからだ。自分の情けなさを悟られることもないだろう、と思うも、先程の自己紹介で声が震えていた気がしないでもない。それでも気のせいであることを願った。
もはや固まってしまった笑顔のまま、ちょっとは静かにしろよと、働き過ぎで止まってしまいそうな心臓を理不尽に責めた。
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