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澪様
「え……？　ああ、いや、そうじゃなくてだな」
それを聞き章継はキョトンとし、察すると慌てていう。

燐曇様
「……からかってんのは、お前の方だろ」
悲しそうな杏子のその顔に、奏吾は理不尽な罪悪感を覚える。
彼は今はただ、忘れられていることへの疑問と悲しみでいっぱいだった。
忘れられていても、覚えられていなくとも思い出すことぐらいはしてくれても良い。
　恋人でないと疑われ、真っ向から『知らない』と否定され奏吾は顔を背け静かな怒りを持って言った。
「もういい」と小さく言うと、ただ涙を堪えているのがばれないようにして足早に歩いていった。