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「——いっ」

目の前を確認せずに走っていた為に誰かとぶつかってしまう。その衝突でバランスを崩し手に持っていた袋が手から離れ地面へと落下する。あ、と思ったときには既に遅くパリンと割れた音が響いた。
何個か割れてしまったのかも知れない。その事に再び泣きそうになるが、先ずはぶつかった人に謝らなければそう思っていると此方に手を差しのべられたが、その手をとる前に相手からの声で手を引っ込めた。

「あ、有真君？」

聞き覚えのある声につられて顔を上げると目の前には天道有真の姿があった。何処行ったのかと思っていたがまさかこの街に居たなんて驚きだ。暫くの間目をぱちぱちさせていたが事を思い出したのか「本当に、御免ね」何て言って相手に近寄った。

「え、そんなに急いでたかな。有真君こそこんなところで何してたの？また危ないことに首突っ込んでないよね？」

仕事が出来ない人だとは思われたくなくていつも通りの笑顔を浮かべる。大丈夫、絶対分からない。そう心の中で唱え自分自身を落ち着かせた。案の定袋の中に入っている魔法結晶は何個か割れてはいたがまた買いにいけばいいと自分の中で完結させた。

【いえいえ、此方こそ宜しくお願いします！】