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【折橋 深兎】

「...私が負けるかもしれないと思うのは団長だけ。後は勝てるよ、これでも副団長なんだし。」

閉じていた口を開いてそう言えば、また閉じて思考を巡らせる。なるべくなら彼には人を殺して欲しくはない、先程の会話をした後なので尚更である。とはいえ私が手を汚すのは嫌がるだろうし、いやはやどうしたものだろうか。何かいい解決策が思いつければいいのだが...。

クルクルと人差し指を回せば、「あー」とか「うー」とか無意味に唸ってトントンと地面を足で叩く。どちらかが手を染めなくてはいけなくなるだろうし、もし瀕死の状態まで追い込むにしても一人に任せるのは心苦しいものがある。とすれば残る選択肢は一つしかない。

「戦うしか道はないし。交渉で分かり合えるほど優しくないよ、あの子達。...まぁ、2人で戦えばなんとかなるでしょ。」

気楽に考えた方がいい、そう思えばニコリと笑みを見せる。何事もやってみるだけだ、ヤバそうだったらその時に考えればいいだけ。死なないし、死なせない。叶えてやると言ったからにはきちんと彼のお強請りを叶えなければ。

「ふふっ、なんだか騎士みたいだね、そのセリフ。...ありがと、嬉しいよ」