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>>97

唐突な問いだった。
「僕の事嫌いかな」なんて、まさか聞かれるとも思っていなかった。いや、そもそもどうしてそんなことを聞かれるのかすら分からない。そんなことを聞くのは大抵、何か相手の気に障るような事をした時ぐらいのものだ。けれど彼女には、その心当たりが無い。

明華「……どうして……？」

だからこそ、明華は彼に尋ねた。声色は変わっていないものの、どこか悲しそうに眉を下げて、肩に乗せられた彼の頭にゆっくりと触れる。不安そうに揺らぎ、消えては現れる狐火を見て、今の自分みたいだ、なんて、ありもしないことを思いながら。
安心させるようにぎこちなく彼の頭を撫でれば、彼の不安が自分にも伝わってくるようで、何故か胸が少し締め付けられるような感覚を覚える。