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- Re: 『指名制』恋する物の怪『募集中』 ( No.124 )
- 日時: 2016/08/18 09:35
- 名前: 燐曇 ◆qPaH7fagTg (ID: louOLYa3)
- 参照: 旅路。
>>109
呟きが宙に浮いて溶けていった数秒間、ぼんやりと狐火を見つめていた明華は少しだけ、剣の真似をするように目を閉じた。眠るわけではなく、視界に何かが映ることが邪魔であるように感じて。
何も見えない。味は無い。音は彼と自身の吐息だけ。それから彼の温もりと、彼の匂いだけで、後は何も無くなってしまった。少しだけ締め付けが楽になったような気がして、肩に乗る彼の頭が、ちょっと重たいなあ、なんて呑気な事をふと考える。
————呟き。
明華「!」
ほとんど反射的に、驚いたように彼女は眼を開いた。何に驚いたのかは彼女自身もよくわかっていないのだが。
しかし、明滅を繰り返す狐火以外に変化の無い光景があるだけだったため、彼女はまた目を閉じた。
「…………」
耳元で聞こえた呟きはきっと、寝言だろう。
起こさないように黙して、やんわりと剣の頭を数回ほど撫でれば、彼の微睡が伝わって来たような気がして、彼女もまた、意識を手放そうとした。
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