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>>125

————夢を見る。

明華「……ん…………」

内容はそこまで重要視するようなものではないのかもしれない。けれど辛く、苦しく、悲しいものではないということだけは、彼女の変化のない様子から見て取れる。先程の事など忘れてしまったかのように気を抜いて、安らかな寝顔を見せている。時折ゆっくりと寝返りを打っては、起きる気配も無く、ただ眠りに落ちていた。

「…………ぅ……？」

けれど突然、彼女はゆっくりとではあるが目を開いた。まだどこか眠そうに半開きになってはいるが、確かに目を開いている。
そして剣に気付くと、数回ほど瞬きをして、す、っと彼の頬に手を伸ばしては、まるで小動物でも愛でるかのような手つきで、優しく撫でる。眠たそうな、ぼんやりとした表情ではあるが、しっかりと視線だけは彼の方を向いていた。

——ああ、だけど、


「…………ぇ……ん……」


彼女が捉えているのは、本当に彼なのだろうか。


「…………で…………ちゃ……」


夢の内容は、選べないものだ。

不明瞭な呟きを二回繰り返すと、ぱたり、と彼女の腕は落ち、彼女の目もまた、閉ざされてしまった。
大方、寝ぼけていたのだろう。またしばらくは、明華が起きる様子は無かった。